11, Sep 2014

ニッシャ印刷文化振興財団
本館・印刷歴史館 展示品のご案内

日本写真印刷株式会社(以下、日本写真印刷)の本社敷地内にあり、当財団もセミナーや展示見学会などの事業活動で利用している建造物は、1906年(明治39年)に建築され、2012年(平成24年)12月9日に開催された文化庁の文化審議会文化財分科会の審議を経て、登録有形文化財に登録された。現在は通称「本館」として印刷技術の歴史を語る貴重な収蔵品の数々を展示している。

本館外観

日本写真印刷(株)本館について

日本写真印刷(株)の本社があるこの地は、遠く平安京時代、都の中心に位置し、嵯峨天皇や宇多天皇など歴代の天皇の退位後の住まいとされた朱雀院の跡地にある。 そして1906年(明治39年)、紡績会社(旧京都綿ネル)の本社事務所として建てられたこの建物は、すでに100年以上の歴史を有する大変貴重な明治時代の建物で、1948年(昭和23年)に日本写真印刷が引き継いでからも、第一本社棟が竣工する1980年(昭和55年)まで34年間にわたり長く本社棟として使われてきた。
その後、2003年頃から専門家による本格的な構造調査に着手し、2008年(平成20年)12月耐震補強を含む保存修理工事が完成、翌年の会社創業80周年に合わせ印刷歴史館も開設された。2011年(平成23年)12月には文化庁から国・登録有形文化財の登録認定を受け、今後長く文化と歴史を象徴した建物として保存され続ける。

本館に関する歴史

1895年(明治28年) 京都綿ネル(株)設立
1898年(明治31年) 当地に工場建設、操業開始
1906年(明治39年) 本館(事務所)を建設
1929年(昭和4年)   日本写真印刷(株)創業者・鈴木直樹氏が印刷業を開始
1946年(昭和21年) 日本写真印刷株式会社設立
1948年(昭和23年) 日本写真印刷(株)が当地(土地・建物)を取得
1980年(昭和55年) 第一本社棟竣工
2008年(平成20年) 本館の保存修理工事完成
2009年(平成21年) 印刷歴史館開設
2011年(平成23年) 本館が国・登録有形文化財に登録

意匠を凝らしたバルコニーを支えるエンタシスの石柱

意匠を凝らしたバルコニーを支えるエンタシスの石柱

疎水が流れていた1916年(大正5年)当時の正門と本館

疎水が流れていた1916年(大正5年)当時の正門と本館

屋上に設置された太陽光パネル

屋上に設置された太陽光パネル

職人の手作りによる上品な花房模様の天井

職人の手作りによる上品な花房模様の天井

1階の印刷歴史館入り口

1階の印刷歴史館入り口

2階のレセプション・ホール

2階のレセプション・ホール

印刷技術の変遷をたどる第二展示室

印刷技術の変遷をたどる第二展示室


印刷歴史館展示品のご案内

百万塔・無垢浄光陀羅尼経(実物)

奈良時代に銅板か木版で印刷された、制作年度が判明する世界最古の量産印刷物。恵美押勝(藤原仲麿)の乱で亡くなった戦死者を弔うため、第46代孝謙天皇の勅願を受け、檜と桜の木で100万基の小塔と4種類計100万枚のお経の印刷を開始。6年後の770年、第48代称徳天皇(孝謙天皇重祚)から東大寺、法隆寺、興福寺、薬師寺など当時の奈良十大寺に10万基づつ奉納されたもの。その後の戦禍や災害により現在では法隆寺にのみ残る。この展示品は1908年(明治41年)、法隆寺の伽藍改修費用を工面するため、寄付金の謝礼として市場に出た962基のうちの1基で貴重な実物品。

百万塔・無垢浄光陀羅尼経(実物)

グーテンベルク印刷機(複製)

1445年、ドイツの金細工職人ヨハネス・グーテンベルクが鉛を主成分とした金属合金で活字を鋳造、アルファベット鉛活字を初めて作る。その後1455年にブドウ絞り機をヒントに手押し印刷機を発明、同時に油性インキも開発した。この発明で彼は世界の印刷の祖と称され、火薬・羅針盤とともにルネサンス3大発明とたたえられた。この展示品は、ドイツの木工会社「ラッファー工房」に制作依頼、グーテンベルク博物館に展示されている印刷機(実機はすでに存在せず)とまったく同質の仕様で作られ、携わった木工職人が来日して組立てたもの。同博物館館長の監修も受けている。

グーテンベルク印刷機(複製)

42行聖書(ファクシミリ版)

グーテンベルク印刷機によりラテン語活字を使って印刷された42行聖書の復刻本。この展示品はファクシミリ版と呼ばれ本物に限りなく近づけた特製品で、文字以外の色鮮やかな飾り絵はすべて手描きによる。グーテンベルクが印刷技術を開発するまでは、聖書やその他の書籍はすべて専門家の手によって1文字づつ手書きされていた。当時180冊が印刷・製本され、現在では世界に48冊のみ残る。1987年(昭和62年)、ニューヨークでのオークションで丸善が7億8千万円で落札し大きな話題に。現在は慶応義塾大学図書館に保管されている。

42行聖書(ファクシミリ版)

木活字、字母と鉛活字(実物)

中国宗時代の慶歴年間(1041~1048年)に使われていたとされる木製活字の実物で、ドイツでのオークションで入手したもの。木を彫刻したもので、繰り返しての使用には適しておらず、文字面の摩耗がみられる。一方13世紀前半の高麗朝鮮王朝時代に銅鋳造活字を用いた記録があるが、本格的には1445年にグーテンベルクが発明した鉛活字である。硬い金属に文字を彫刻した父型を作ったあと、銅のような柔らかい金属に打ち込んで母型(字母)を作る。そこに鉛合金を流し込むと活字ができる。展示品は1985年(昭和60年)ころまで当社で使われてきた字母と鉛活字。

木活字、字母と鉛活字(実物)
木活字、字母と鉛活字(実物)
木活字、字母と鉛活字(実物)

ゼネフェルダー石版印刷機(実機)

1798年、ドイツのアロイス・ゼネフェルダーが石版を使って印刷する技術を開発。ドイツ・バイエルン地方で産出する炭酸カルシウムを主成分とした水成石の上に、脂肪性クレヨンで描写したあと、硝酸アラビアゴム溶液を塗布。ローラーを使い油性インキをのせると、水と油の分離作用でインキが付着することを発見。現在の平版(オフセット)印刷の原点とされる。当時、ロートレックなどを中心とするリトグラフ作家の手で、多くの作品がこの印刷機を使って制作された。この展示機はロートレックの印刷工房で使われていたタイプと同型機で有識者鑑定済み。3日間の燻蒸処理をして設置。

ゼネフェルダー石版印刷機(実機)

1. 古事記上・中・下(複製)

奈良時代の712年(和銅5年)、当時語り部によって伝えられてきた天皇神話を、太安万侶の執筆によって忠実に記述し全3巻にまとめたもの。その8年後の720年には日本書紀が出されている。展示品は当時に近い和紙を使い、忠実に再現された復刻品で全3巻を糸で綴じ(和綴じ本)ているのが特徴。

2. 東海道五十三次(複製)

1832年、江戸から京都へ天皇に馬を納める公式派遣団の一員として東海道を旅した歌川広重が、53の宿場を起点に数多くのスケッチをし、保永堂を版元にして出版された木版画の集大成品。江戸時代の初期、活字による刊行物が一時ブームになったが、日本字の多種さ、複雑さから広がらず、浮世絵など木版印刷の全盛期が続いた。

3. 嵯峨本徒然草(複製)

嵯峨本とは江戸時代の初め、京都嵯峨の豪商角倉家が本阿弥光悦らの協力を得て古活字を使って出版した私刊本。展示品は1934年(昭和9年)に当社前身の鈴木尚美社で印刷された復刻本。

4. 言林

1949年(昭和24年)に発刊された戦後初めての新仮名使いによる本格的な国語辞典。2,300頁を超える膨大な活字量に対応した出版物で、発売と同時に大きな話題となり、再版を繰り返した。

5. 友禅きもの見本帳「優」

当時、年に1回発行されるきもの見本帳は、モデル撮影から手がける大変に大掛かりな仕事であり、原反見本に合わせた厳しい色調を求められた。展示品は1957年(昭和32年)に制作されたもの。

古事記上・中・下(複製)

古事記上・中・下(複製)

東海道五十三次(複製)

東海道五十三次(複製)

嵯峨本徒然草(複製)

嵯峨本徒然草(複製)

言林

言林

友禅きもの見本帳「優」

友禅きもの見本帳「優」


ハイデルベルグ活版印刷機(実機)

1927年(大正15年)、ドイツ・ハイデルベルグ社のプラテン印刷機(第一本社棟1階ロビーに展示)が初めて日本に上陸。自動給紙が可能な大量印刷機として日本の印刷業界の発展に大きく寄与した。その後1950年代後半から数多くの大型活版印刷機が導入され、簡単な端物から原色版まで何でもこなす万能機として人気を博した。当展示機は1968年(昭和43年)に導入された四六半裁判機で、当時では画期的な1時間に4,600枚の高速印刷と最高品質を誇った活版印刷機。当敷地内工場で40台前後が「原色日本の美術」や「国宝」などを印刷していた。

ハイデルベルグ活版印刷機(実機)

本館・印刷歴史館見学のご案内

所在地 〒604-8873 京都市中京区壬生花井町3
開館時間 午前10時から午後5時まで(土・日・祭日は休館)
申込方法 事前に電話かFAXでお申し込み願います。入場は無料です。
申込先 一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団事務局あて
電話 075-823-5318
FAX 075-823-5317

一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団について

一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団は、印刷文化・技術に関する助成・支援などを通じて、京都における印刷文化・技術の継承・振興および向上発展に寄与することを目的に、2009年(平成21年)、日本写真印刷(株)名誉会長の故・鈴木正三氏の寄付によって設立された一般財団法人です。

鈴木正三氏

日本写真印刷(株)名誉会長
故・鈴木正三氏


ニッシャ印刷文化振興財団
本館・印刷歴史館 展示品のご案内





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