31, Mar 2010

iPhoneに対応。日本製電子ブック作成ソフトの新たな可能性「ActiBook」

Amazon社の電子書籍閲覧端末「Kindle」が、日本を含めた海外で販売を開始したとともに、また今年1月に、Apple社がタブレット型コンピュータ「iPad」を発表したことが大きな話題となり、日本でも電子書籍市場が急速に拡大してきている。こうした市場状況の中で、当社サービスである電子ブック作成ソフト「Digit@link ActiBook(デジタリンク アクティブック)」が、様々な電子書籍の製品の中で、どの様な位置づけにあり、今後どの様に進んでいくかを説明する。

執筆:北村 健一(スターティアラボ株式会社 代表取締役)

ActiBook

はじめに

昨年末に米国Amazon社の電子書籍閲覧端末「Kindle(キンドル)」が日本を含め海外でも販売されたことを契機に、今、日本における電子書籍がひとつの大きな転換点を迎えている。
株式会社インプレスR&Dが発行した電子書籍ビジネス調査報告書2009によると電子書籍の市場は、2008年時点で約464億円と言われており、2004年の市場が45億円だったことを考えると、4年間で10倍もの成長を遂げている。
今さら説明の必要はないかもしれないが、電子書籍とは、紙媒体の書籍等を専用の端末もしくはPC等で閲覧できるもので、書店に行かなくても、直ぐに書籍をダウンロードして購入、閲覧できることや、本の場所を抑えられる、絶版の書籍も読むことができるなどのメリットがある。
既にアメリカでは、電子書籍は一般的なものとなってきており、前述の「Kindle」は、最もアメリカで普及している電子書籍閲覧端末で、2010年現在では40万冊もの書籍が電子化されている。「Kindle」普及の背景には、「Kindle」自身から直接電子書籍を購入できる形である点や、日本との法制度の違いもあり、電子版の書籍は通常の書籍よりも安価に購入できることが理由として言われている。
これまで日本でも、ソニーの「LIBRIe(リブリエ)」やパナソニック「ΣBook(シグマブック)」が2004年ごろより発売されていたが、「Kindle」の様に端末から直接電子書籍を購入できなかったことや、電子書籍化された書籍数も少なく、普及にはいたらなかった。
しかしこの「Kindle」が、日本を含めた海外で販売を開始したとともに、また今年1月に、Apple社がタブレット型コンピュータ「iPad」を発表したことが大きな話題となり、日本でも電子書籍市場が急速に拡大してきている。
本文書では、こうした市場状況の中で、当社サービスである電子ブック作成ソフト「Digit@link ActiBook(デジタリンク アクティブック)」(以下「ActiBook」)が、「Kindle」や「iPhone(アイフォーン)」「iPad(アイパッド)」といった様々なアクターがいる中で、どの様な位置づけにあるのかを説明し、次に製品開発の理念やコンセプト、電子書籍の閲覧以外にも様々な用途で活用される電子書籍の活用事例を紹介、そして最後に今後の展望を述べたい。


北村 健一 Kenichi Kitamura
北村 健一 Kenichi

平成17年7月
スターティア株式会社内で新規事業としてインターネットメディアコンテンツグループを設立。

平成18年8月
電子ブック作成ソフト「Digit@Link ActiBook(デジタリンク アクティブック)」の提供開始。提供後数年で、採用実績が500社を突破する。

平成21年4月
スターティアラボ株式会社設立。
代表取締役に就任。


参照サイトURL:

http://ebook.digitalink.ne.jp/


「電子書籍の中のActiBook」

それではまず、「ActiBook」の位置付けから説明をする為、簡単に電子書籍を取り巻く状況を説明したい。
電子書籍には、大きく二つの形態がある。
一つは、「Kindle」の様な専用電子書籍端末を使用した専用端末型。
もう一つは、電子コミックの閲覧サイトなど、インターネット上のひとつのコンテンツとして、PCや「iPhone」などの携帯電話から閲覧するタイプである。
専用端末型のメリットとしては、専用端末から直接電子書籍を購入できることや、端末の中に書籍をストックできることなどが上げられる。「Kindle」では、約1500冊もの書籍を保存しておくことができる。
PCや「iPhone」などの携帯電話から閲覧をするタイプのメリットとしては、既に利用しているパソコンなどの端末を利用することができる為、279ドル(25,000円程度)で販売されている「Kindle」の様な専用の端末を購入する必要がなく、利用までの敷居が低いという点が一番のメリットになる。
前述したように、日本では、一時期電子書籍用の専用端末を売り出そうという動きがあり、実はアメリカよりもいち早く電子書籍の普及に取り組んだ国であった。SONYの「LIBRIe(リブリエ)」やパナソニックの「ΣBook(シグマブック)」など、大手企業各社が参入を行ったが、販売不振により撤退を余儀なくされた。
大きな理由としてあげられるのは、出版業界における流通制度の課題や日本においては、高度な機能を有した携帯電話が大多数の国民に普及しており、そこから電子書籍(コミック)を閲覧するという文化が既にあった為とも言われている。

こうした背景の中、弊社製品である電子ブック作成ソフト「ActiBook」は、PCや「iPhone」などの携帯電話から閲覧するタイプに該当する。
大きな特徴としては、本ソフトを購入するだけで、何冊の電子ブックを作成しても別途費用がかかることはなく、また作成した電子ブックを販売することもできる点にある。
この「ActiBook」が普及する前の電子ブック作成ソフトは、冊数ごとに費用が発生する従量課金型のモデルを採用する企業が多かったが、他社製品との差別化、そして電子書籍市場の拡大を目的に、買い切り型のソフトウェア販売モデルに踏み切った。
結論的には、このモデルが主に出版社のニーズを捉え、500社以上もの企業に導入されるにいたることになった。
それでは次に、「ActiBook」の開発の理念やコンセプトについて紹介したい。


「ActiBook」開発の理念・コンセプト

当社が電子ブック市場に参入したのは2005年であり、もともとは「ActiBook」を提供する前に、他社の電子ブック作成ソフトの販売代理店として提供を行っていた。契約ユーザは100社程度まで増加したが、ある日その企業が当製品の提供の中止をすることとなり、製品のサポートも打ち切るという話が持ち上がった。
しかし、既に提供を行っているユーザをそのままにしておけず、自社開発の話に進んだ。そこで生まれたのが、この電子ブック作成ソフト「ActiBook」である。
この「ActiBook」を自社開発する上で、電子書籍をこれから世の中に広く普及する為にはどうしたら良いかと議論があり、結果的には下記の3つを重視して行くという方向性に決定した。
まず一つ目に重視した点は、制作者側の使い易さという点である。
どんなに良い書籍やコンテンツであっても、まずはそれが電子書籍化されなければ、電子書籍は世の中に普及せずに終わってしまう。
その為、当社ではまず電子書籍を作成する制作者側が使い易い点が重要であると考え設計を行った。
管理画面はパワーポイント並みの簡単な操作性に仕上げ、PDFのデータがあれば、誰でもでも電子ブックの作成が可能となっている。
先日、販売を開始した「ActiBook」の簡易版、「ActiBook easy (アクティブック イージー)」では、最短3クリックで電子ブックを作成できる程にまで、制作までの簡単・手軽さを重視した。
これが可能となったのも、制作者様視点にこだわり本当に必要な機能のみを残すという視点を持っていたからこそであると感じている。
2点目に重視した点は、サービスの提供形態にある。
「ActiBook」では、管理画面の使い易さだけでなく、サービス提供体系にも注意を行った。
それが、先ほど記述した買い切り型のソフトウェア販売モデルである。
当時は、電子書籍の作成ごとに費用がかかる従量課金型が主流であったが、そうした形式は、出版社やポータルサイトの運営者が、電子ブックサービスを開始しようとすると、大きなコストがかかってしまい、なかなか開始ができないという問題や、サービス開始後も電子書籍を作成する度に、費用がかかることから、どうしても制作を控えようという意識が働いてしまい、爆発的な普及にはいたらないという実情にあった。
しかしながら、当社の提供形態である買い切り型のソフト販売モデルでは、制作すればするほど、長期的なランニングコストを大幅に抑えられる為、より電子書籍が多く制作されるようになったと考えている。
現在では、こうした買い切り型のモデルが一般的になってきているが、若干ながら当社の電子書籍の普及に微力ながら尽力できたのでと感じている。
最後の3点目が、カスタマイズの容易さである。
既に海外でも電子ブック作成ソフトは提供されており、当初は、開発コストを考えた場合自社開発ではなく海外製の製品を取り扱うということも検討した。
しかしながら、本に対するニーズや文化、流通方法など日本独自の状況があり、日本国内のシェアを確保していくには、この様な市場に柔軟かつタイムリーに対応できることが重要と考え、あえて自社開発に取り組んだ。
UIを含むデザインのカスタマイズや、広告ページの挿入、電子ブックから外部のホームページやECサイトへのリンク設定などが可能になったことも、直接お客さまからの声を聞き入れ、自社製品に直ぐに採用できるという点が大きい。
特に、SEO対策ができる電子ブックというのは、当時「ActiBook」が日本初(スターティアラボ調べ)であったが、これも自社開発にこだわったからこそ、早い段階で市場に投入できた理由といえる。
以上の3点が、「ActiBook」を開発する上での重要な部分となった。


「ActiBook」の導入事例

それでは、次に「ActiBook」を既に利用されているお客様の事例をご紹介したい。ここでは、当社の電子ブック作成ソフトが使用されている500社の事例の中から、厳選した2社の事例を紹介する。
まずは出版業界における「ActiBook」の活用方法として、日本最大級の雑誌販売サイト「fujisan.co.jp」の事例をお話したい。
「fujisan.co.jp」は、6700誌もの雑誌を取り扱う日本最大級のオンライン雑誌販売サイトである。本サイトでは、デジタル雑誌として電子ブック化された雑誌を取り扱っており、ニューズウィークをはじめ、250誌ものデジタル雑誌が販売されている。
このデジタル雑誌の販売で使用されている電子ブックが「ActiBook」である。
もともと本サイトでは、海外の電子ブックソフトを利用していたが、海外のメーカーであるため、迅速かつきめ細かな対応が難しく、またライセンス契約の関係で、ユーザへの提供価格が高くなってしまうという課題があった。
こうした中、10社程度もの電子ブック作成ソフトの比較検討を行い、当社の「ActiBook」が採用されることとなった。
採用された理由として、大きな理由は、国内のメーカーである為、細かい要望にも迅速に対応できるという点や、出版社への導入実績が当時100社以上あったということも安心感につながった。
「ActiBook」の利用開始により、ストリーミング型のデジタル雑誌販売も可能となり、利用者は特別なソフトをダウンロードする必要なくとも、電子雑誌の閲覧が可能になりパソコンに不慣れなユーザーも利用しやすくなっている。
また「fujisan.co.jp」においては、デジタル雑誌があることで、紙の雑誌が欲しくなるという状況が生まれ、逆に紙の雑誌の売れ行きが伸びたという結果になっており、デジタル雑誌の売上高について正確な数値の公表は行っていないが、全売り上げの5%をデジタル雑誌にするという目標のもと拡販を行っている。
この様な、電子書籍のポータルサイト関連では、他にもmsn®が運営を行っていた「MSNマガジンサーチ」でも採用が行われ、ターザンやHanakoなどの雑誌が電子雑誌として販売された。また今年3月の頭には、角川グループパブリッシングの代表取締役兼CEOの角川氏の著書をインターネット上で全文無料閲覧できるというプロモーションが実施され、そこにおいても「ActiBook」が利用されている。

次に電子ブックというと、本の電子化というイメージが強くなりがちではあるが、ここではIR関連で活用されている事例を紹介する。
東証一部上場企業で、ディスクロージャーならびにIR関連物のコンサルティングを手がける宝印刷株式会社では、「ActiBook」をサービスメニューの一つとして使用している。
宝印刷株式会社は、IR関連資料の作成や印刷を行っているが、IR関連資料を電子ブックの形式に作成するというサービスを開始した。
これにより電子ブックの形式でIR関連資料が閲覧できる為、フラッシュや音声などのリッチコンテンツを加えることができ、これまで以上に資料がより読みやすくなるというメリットが生まれた。そして、この点が他社との差別化要因になっている。
特に印刷会社においては、この様に電子ブックの作成を販売促進ツールとして活用する事例が増えてきており、大手印刷会社をはじめ既に130社以上に「ActiBook」は導入された。
サービスメニューのひとつとして、電子ブックの作成を行ったり、また印刷物と一緒に電子ブック版もセットで提供を行う等し、他社との差別化を図る一方、年々紙の印刷枚数が減り続けている印刷業界で、新たな利益獲得の方法として利用が広まっている。
また最近新たな利用方法として注目しているのは、電子ブックを文書管理ツールとして使用するというものである。
例えば、分厚いマニュアルを電子ブックにすることで、読みやすく持ち運びも楽になるという方法や、「ActiBook Manager(アクティブック マネージャー)」というサービスを導入すれば、複数の電子ブック間での横断検索ができるようになる為、必要個所の検索時間削減や、紙資源の節約や保存スペースの削減によるコスト削減というメリットも生まれている。
この様に電子ブックは、書籍をデジタル化するだけではなく、販売促進ツールや文書管理ツールとしての方法として利用されるなど、まだまだ様々な使用用途が生まれてきている段階であり、書籍という範囲ではなく、紙媒体という範囲での視野で見渡すと、市場の大きさは計り知れないと当社では期待している。


今後の展望

最後に今後の展望についてお話したい。
現在、「ActiBook」の今後の展望としては大きく2つある。
1つ目は「ワンオーサリング・マルチデバイス」への対応である。
先述している通り、今後Google社が提供しているアンドロイドOSを搭載した携帯電話端末やAmazonの「Kindle」に代表される電子書籍端末が有象無象に出現することが予測される。
それに対して出版社や印刷会社は「全てのフォーマットに対応するには時間も費用もかかりすぎるのでは?」という懸念を持っているところが多いと思われる。
そこで、弊社の「ActiBook」を利用しているユーザは1回の制作作業で各デバイスへの最適なデータを書き出せるような作業環境を提供していきたいと思っている。
現在はその第一弾として「iPhone」、「iPad」への対応を表明しているがユーザのニーズや市場の動向次第ではアンドロイドやePub形式への対応なども積極的に考えていっている状況である。
2つ目は「ユーザ同士の共有機能」への対応である。
今の「ActiBook」でも、本物の本に付箋や書き込みを行う感覚を再現することができ、自分が過去に残した履歴を呼び出すことが出来るようになっている。
しかし、今後はそれを発展させて「自分が注目している記事を友達にも読ませたい」
「先輩がチェックしている部分を知りたい」など電子ブックを介在した情報共有などが進んでくると想定している。
現在、「ActiBook」はこの動きをにらみ電子ブックを利用した会員限定サイトを簡易的に作れるActiBookManagerの改修、バージョンアップを行っている。
4月にリリースされる新バージョンでは「会員ごとに閲覧できるブックやカテゴリを設定する」などということを簡単に作りこめるようなベースのエンジンを搭載しており、今後の拡張性を考えたつくりを実現している。
なお、上記の展開は電子出版や電子書籍販売という枠にとらわれずバックナンバーのデータベース化を行い社外公開し使用料での課金を実現することや、社内利用として、自社のコンテンツやドキュメント管理を行い校正作業などもWeb上で行えるニーズを幅引く満たすことが出来るようになるとも想定している。

以上の通り「売上向上」「業務効率化」「コスト削減」を導入企業と一緒に実現し、利用者の利益率の向上につながるシステムを提供することが我々の使命であると考えている。


iPhoneに対応。日本製電子ブック作成ソフトの新たな可能性「ActiBook」

Category: Digital Imaging





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