15, May 2017

相原信洋七回忌追悼映像展

日 時: 2017年4月28日(金)~30日(日)
会 場: Lumen gallery
www.lumen-gallery.com
京都市下京区麩屋町通五条上る下鱗形町543 有隣文化会館2F
撮 影: 櫻井篤史

京都国際写真祭KYOTOGRAPHIEが開催され、京都が写真一色のような4月、その傍らでそれぞれにフィルム芸術のレジェンドと呼んで差し支えのない、アニメーションと写真の作家2人の遺作展が開かれた。作家の1人は、個人アニメーション作家=相原信洋氏(1944〜2011年)、1人は、写真家=井上隆雄氏(1940〜2016年)である。両作家は、それぞれに表現者としての独自の姿勢を見せてくださり、突然、世を去られた。

アニメーションと写真の違いはあるが、膨大に遺された各々の作品は、後につづく表現者たちにとって貴重な作品であるとともに、フィルムの存在が希薄になりつつある現在、文化財としても貴重である。今後、専門家の方々による調査研究が深まると思うが、ここでは、保存研究の始まった相原作品について、デジタル化が完了した20本による本遺作展を紹介したいと思う。(筆者が鑑賞したのはそのうちの15本)

遺作展は、映像研究者の阪本裕文氏(NPO法人戦後映像芸術アーカイブ代表理事)によってデジタル化された相原作品の上映。デジタル化作業は、1965年から約80作品個人制作された相原作品の内、現存するフィルムすべての調査から始まったという。その結果、上映用プリントのみで素材となるネガが残っていない作品や未編集の素材のあることがわかったそうだ。今後のデジタル化の方針は固まっているようだが、記録メディアや再生機器が猛スピードで開発される現代、その速度とともに活動してきた人でこその、旧メディアの保存、修復、新メディアへの変換であると思う。今、それを間に合わせてくれた専門家の方々に感謝したい。

相原信洋氏は、京都芸術短期大学(京都造形芸術大学の前身)において、長年アニメーション制作の指導をされた。当時の学生たちからは、現在教員や指導的立場にある人、映像作家として活躍する人など、多くの表現者たちが生まれている。また、筆者のギャラリーの始まりと、相原氏が関東から京都に移ってこられた時期が重なったせいもあって、作品発表場所としてすいぶん役立ててもらった。手描きアニメーションを精力的に制作された頃でもあったので、その原画や原案のようなカラフルでサイケデリックな絵画の展覧会を何度も開催していただいている。その際には、必ず、その時点での映像全作品の上映会も行った。今回の遺作展でも、当時、相原氏自らが16mm映写機を操作して上映された作品を、いくつか鑑賞することができた。久しぶりに鑑賞すると、これまで気づかなかった点が数々あった。相原氏の飄々とした人物に惑わされて、今まで見えていなかった作品世界がたくさんあったのだと反省した。あらためて、映像とは何か、目や脳や手に託し、深く探求しつづけた芸術家だったのだと思う。世界中に何ケ所もお気に入りの場所があって、そのため、作品の所在を突き止めるのに関係者が苦労されていると聞くが、ひと所に満足しなかったことや、いつも人や笑いに囲まれていたのは、芸術家としての苦しさを逃れたり、それを知られることへの照れ隠しだったのかと思い返したりしている。相原氏の遺作のデジタル化という大プロジェクトはまだ始まったばかりだ。今後も、デジタル化が進むにつれ上映会の機会があるだろう。遅ればせながら、相原作品の真意に触れたいと思う。

井上隆雄氏の遺作展は、所縁の深かった東本願寺において開催されている(写真展「自然 おのずから しからしむ」、東本願寺内のギャラリー、6月11日まで、入場無料)。展示数は少ないが、表現の軸とされた自然(じねん)という概念について語られているビデオは、写真家としての姿を知る入り口となる。なお、井上隆雄氏の残された作品についても、ある施設での保存研究が確定したと聞いている。

筆者は別々の機会に、それぞれから多く学んだり、気づかされたり、刺激されたりした、同じだけ感謝をお伝えしたいお二人である。未知の外国や山や自然に分け入って作品を追い求めたお二人だったが、当のお二人が交流されていたかどうかは、さだかではない。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

相原信洋七回忌追悼遺作展 関連イベント

4月20日(木)
~23日(日)
遺作展プレイベント<いい仮現な時間>
相原氏が教鞭をとった大学の学生課題とみられるフィルムを16mmにかけて
鑑賞する企画
4月29日 <ゲストトーク>
阪本裕文(映像研究者)×大西宏志(京都造形芸術大学教授)
上映会看板

上映会看板

会場入り口

会場入り口

16mm映写機

16mm映写機

ゲストトーク

ゲストトーク


相原信洋七回忌追悼映像展

Category: Events





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