15, May 2017

再整備工事を前に、京都市美術館本館80余年の歴史にふれる特別企画 「京都市美術館で思い出づくり!」

実施日時:

2017年4月16日(日)10〜16:00

1)建物探訪=10〜11:30
・展示室、応接室、らせん階段、地下室、中庭、日本庭園
・参加無料(高校生以上、申し込み先着50名)

2)一般公開(建物の無料公開)=13〜16:00
・北・西玄関、ロビー、正面玄関、北らせん階段、大展示室、応接
・入館無料(自由入館)

会 場: 京都市美術館本館
〒606-8344京都市左京区岡崎円勝寺町124番地
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/kmma/

京都市美術館本館は、この4月から再整備工事のため、3年間の休館となった。

すべての展覧会を終えた本館を公開する催し「京都市美術館で思い出づくり!」の午前中の部に参加した。見慣れた館内の見学に加え、地下室や中庭をはじめ普段は立ち入れない箇所を探訪した。参加者は、一般から応募された約50名の人々である。カメラやメモ帳を持ち、学芸員の方々や館長とともに、2時間近くかけて敷地内を巡った。若い人々より、年齢の高い方が多かったのが印象的である。長い間美術館を見守ってきた人々なのだろうと思う。建築様式や造作の細部に格別の知識や関心のある方も見受けた。午後からは一般へ無料公開となり、スケッチや撮影を自由にできることになっていた。この記事を公開する頃には、その後募集した各々の「京都市美術館の思い出の1枚」から優秀作品が選ばれるはずで、先では、工事期間中の仮囲い壁面を活用した情報発信スペースでの展示が予定されている。ちなみに、現在の仮囲いでは、京都市美術館の収蔵品や芸術家、美術館の歴史などが紹介されている。

天井の装飾、モザイクタイルの床、扉の金具、柱の大理石など、あらためて細部に感心する一方で、床の傷、壁の傷、貼り紙、すり減った階段や手すりや金具など、さまざまな人の痕跡には、鑑賞者や使用者の一人だった筆者自身の記憶とともに、深い感慨があった。中庭には、展示棟に切り取られた細長い青空や足元の苔や雑草、これまで付設された空調機器やパイプなどが不思議と調和し、まるでインスタレーション作品である。

歴史の一区切りを迎えた空っぽの空間は、美術館への思い込みをひととき忘れさせる。展示物や観客の姿の無い状態自体、展覧会なのであり、数々の作品の前に立つ時と同様、さまざまに思考する場なのだった。今後、美術館の名称や姿がどう変わろうと、ひとまず、今年、空っぽの空間に立てた体験は、芸術文化のありようや受容のされ方が著しく変わろうとする京都において、筆者個人が美術の仕事を続けていくうえで、大変示唆的で象徴的な時間だった。

京都では、現在さまざまに大規模な芸術イベントが予定されているいっぽうで、この美術館の長期休館、小劇場の相次ぐ閉鎖など、後に芸術活動に影響を及ぼすであろう事態も重なる。いま、京都市美術館の変容については種々の意見や抵抗も飛び交っているが、実際のところ、美術の現場に与えられているのは、美術館の変容を受け入れるか否かという小さな課題ではなく、大小の芸術活動が絡まり合う今、先を見ながらどのように自立を試みるかという課題である。京都市美術館再整備計画が目指す「50年後100年後の美術館」とは、個々の美術家や美術の進路でもあるのだ。将来、美術館が変わりつつあった時期に、京都の美術の現場は何も変わろうとしなかったと記録されたくはないと思っている。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

レクチャー@大展示室

レクチャー@大展示室

陳列ケース

陳列ケース

中庭

中庭

螺旋階段

螺旋階段

南玄関

南玄関

収蔵庫屋上

収蔵庫屋上

2階・吹き抜け

2階・吹き抜け

吹き抜けの天井

吹き抜けの天井

2階展示室

2階展示室

地下室の貼り紙・米軍による接収時代の文字

地下室の貼り紙・米軍による接収時代の文字


再整備工事を前に、京都市美術館本館80余年の歴史にふれる特別企画 「京都市美術館で思い出づくり!」

Category: Events





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