04, Sep 2015

戦争と学校〜戦後70年をむかえて〜

会 期: 2015年7月4日(土)〜10月6日(火)
9:00~17:00 ※入館は16:30まで
会 場: 京都市学校歴史博物館
http://kyo-gakurehaku.jp
〒600-8044 京都市下京区御幸町通仏光寺下る橘町437
TEL 075-344-1305 / FAX 075-344-1327
入場料ほか: http://kyo-gakurehaku.jp/guide/index.html

戦後70年の今夏、テレビでは戦争特集が次々と放映され、各地で戦争写真展がいくつも開催された。まだ隠された映像や証言があることに驚き、80〜90歳代の証言者のほとんどに10年後の節目が来ないだろうと思い、愕然とする。当時10代や20代であった人々は、頭の中に生々しく光景を刻んでおり、その時々の思いまでもが鮮明である。オーラルヒストリー収集は、急がねばならない。

生々しく悲惨な映像や写真展と異なり、本展「戦争と学校〜戦後70年をむかえて〜」は、学校の現場から、戦争激化の頃、終戦、戦後をとらえた史料展である。<戦時下の学校 ―昭和18年まで―>、<総動員体制下の学校 ―昭和19年・20年―>、<占領下の学校>の3部にわたって、写真や物品、教員による日誌、子供たちの作文や絵日記など教育現場での記録が展示されている。馬町空襲という悲劇的な写真の他は、当時の教育の場における<日常>である。けれども、戦地や焼け野原の強烈な映像よりもむしろ、黙々と日々を暮らした声が滲み出るような重さ。かろうじて教育の現場に留まっていた大人たち、国民学校の児童や中学校・女学校の生徒たちなど、今夏数々の証言を残した世代と異なる人々による。

たとえば、画像<作文「へいたいさんへ」=昭和17年 仁和国民学校3年>は、児童が「戦って」と書いた作文を、先生が「にくい英米をやっつけて」と書き直している。いま思えば異常である当時の、ささやかな声が幾重にもなったオーラルヒストリーだ。しかし、これを妄信と言える根拠や自信が、本当に、現代の私たちにあるだろうか。本展は、10月6日まで開催中。マスメディアが言い訳のように戦争を掘り起こす8月が、まもなく過ぎようとしている。本展は、終戦の年、さまざまに価値観が瓦解した後にも学校や子供たちが懸命に暮らした秋や冬があったことにも思い巡らせる場になるだろう。色あせたインクや黄ばんだ絵日記や書類が伝える当時の<普通の日常>は、私たちすべてにとって大切な史料である。

一般の平凡な者にとって、<世界>とは、命に直接かかわる身辺の毎日をさす。個性によって自立できて、暮らし方には選択肢があるべきだ。大きな力が個人の存在を希薄にしたり、画一的にスケジューリングされる毎日がやってきてはならない。命を同じ型にはめるような考えは、自身への尊厳を欠いた怠慢な生き方ではないかと思う。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

会場風景1

会場風景1

会場風景2

会場風景2

作文<へいたいさんへ> 昭和17年/仁和国民学校3年

作文<へいたいさんへ> 昭和17年/仁和国民学校3年


戦争と学校〜戦後70年をむかえて〜

Category: Events





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