04, Jul 2017

伊達伸明活動記録展 「おぼろ好き」

会 期: 2017年6月6日(火)~18日(日)
会 場: アートスペース虹
〒605-0041 京都市東山区三条通神宮道東入ル東町247
http://www.art-space-niji.com/index.html

伊達さんの代表的な仕事は、「建築物ウクレレ化保存計画」だ。取り壊される建物の柱や看板や床、その建物ならではの遺物を使ってウクレレを制作して、建物の持ち主に返す(保存)長期的なプロジェクトだ。今や、数々の公共施設、私宅などの記憶がウクレレとなって未来へ受け渡されていこうとしている。なぜウクレレなのかというと、素材の異なるウクレレたちは、それぞれに異なる音色=記憶を伝えていくからだと、筆者は思っている。いろいろな場所からつくられたウクレレは、ときどき伊達さんや友人の演奏会で共鳴している。

本展では、近年制作したウクレレ、仙台で展開した「亜炭香古学」、神戸の新開地探索から空想した「とりのゆめ」展における「しらんけど考古術」の記録をはじめ、各地における地域資産の再発掘にまつわる活動が紹介されていた。

訪れた日、本人から亜炭採掘坑跡の写真をめぐるエピソードも聞くことができた。伊達さん独自の思考や行動がなければ遭遇しなかっただろう出来事もあって、それぞれの作品の背景が多岐に広がっていると思うと、作品は、伊達さんという壮大な書物の目次であるような気がした。伊達さんの展覧会では、伊達さんという人物の存在もなくてはならない。

おぼろげなままがリアルなのが記憶なのに、
「明確な史実に基づく記録」にしないと気がすまない向上心ってなんなんでしょう。
わたしはおぼろ好きです。(伊達伸明)

そうやって、伊達さんは過去の未知の人々の手の跡や足跡にかかわっていく。それをご本人は「考古術」と呼んでいる。

考古術は、珍しいモチーフとしてだけ過去を引用するのではないし、芸術家個人の仕事を上書きするだけのような凡庸な加工でもない。過去に同調はするけれど同化ではなく、関わった痕跡が異物らしくある仕掛けも組み込まれている。もし数千年・数万年先の人々の手に渡ったとしたら、その頃の人々の「過去の史実」が大混乱するような、とても気がかりな何かが、伊達さんの仕事なのだと思う。たとえば、文字がなく絵解きも不可能な縄文時代の土器をじっと見ていると、当時の「本当」とはいったい何だろうかとワケがわからなくなってくるが、同時にそれは、無限に広がる空想にもなる。まれに、縄文土器に指紋が残っていると聞くと、ただ遺物であるということよりも、ある特定の人にとってのその土器であったという光景がリアルに迫ってきて、遠い未知のその人の人物像までを想像したりする。。現代の芸術のいろいろなアプローチの中にあって、伊達さんの仕事も、縄文人の指紋のようである。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

画像「関西大学天六学舎体育館ウクレレ」について
(伊達伸明)

場所

大阪市北区長柄西

材料一覧

ボディ: 表板:体育館の床板
側板:女子更衣室の床板
裏板:器具庫の壁板(白)と張り紙
胴内:張り紙「整理整頓」・壁板(灰色)
ヘッド: 表:バスケットゴール
裏:器具庫奥の壁板(新旧2色)
ネック: 段違い平行棒
指板: コクタン(別誂え)

特徴と概要

昭和4年に竣工し、戦後の昭和27年からは第2部(夜間部)がおかれた関西大学天六学舎の西側敷地に体育館が竣工したのが昭和31年。敷地面積627坪、延面積375.76坪の建物で、シャワー室や医務室も完備されていました。本館大講堂がキャンパスの象徴的な空間としてよく挙げられますが、働きながら学ぶ学生のエネルギーの受け皿、特にクラブ活動に専心した学生にとっては、体育館こそが最も肌に近い原点だったかもしれません。部材確保の日はすでに解体工事が進んでいましたが、体育館らしい床板や時間の経過が感じられる壁板、張り紙、トレーニング用の道具類などが残っており、これらを組み合わせると一目で体育館とわかるデザインのウクレレになりました。

参考

一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団 第18回印刷文化セミナー「はじめての立版古」(ワークショップ)
講師=伊達伸明
http://www.nissha-foundation.org/2014/05/18.html

「アートと考古学展~物の声を、土の声を聴け~」
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_kikaku_post/art-and-archeology/

案内状

案内状

会場風景

会場風景

関西大学天六学舎体育館ウクレレ

関西大学天六学舎体育館ウクレレ

襟具状土偶(キングジョウドグウ)

襟具状土偶(キングジョウドグウ)

亜炭採掘跡と思われる穴

亜炭採掘跡と思われる穴


伊達伸明活動記録展 「おぼろ好き」

Category: Events





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