04, Jul 2017

清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017
「第1回テーマ 身体のゆくえ」

会 期: 2017年4月15日(土)~6月11日(日)
会 場: 岐阜県美術館(岐阜市宇佐4-1-22)
主 催: 清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE実行委員会、岐阜県
助 成: 公益財団法人田口福寿会、文化庁
協 賛: 大垣共立銀行、十六銀行
問い合わせ先: 岐阜市薮田南2-1-1(岐阜県県民文化局文化創造課内)
TEL.058-272-8378
出品作家: 佐藤雅晴、柴山豊尚、谷本真理、中村潤、平野真美、堀川すなお、松本和子、三枝 愛、三木陽子、水無瀬翔、耳のないマウス、宮原嵩広、ミルク倉庫+ココナッツ、森 貞人、安野 太郎
WEBサイト: http://art-award-gifu.jp/
*関連イベント等については、こちらをご参照ください。
写真提供: 清流の国ぎふ芸術祭Art Award IN THE CUBE 実行委員会

幅4.8m・奥行き4.8m・高さ3.6mのキューブ内に表現する公募展の第1回。展覧会は、作品プランによって多数の中から選出された15名(組)の力のこもった実制作の場である。昨年6月、公募開始に先駆けて行われた京都での説明会は、多くの来場者の熱気にあふれていた。世代・経験・ジャンルを問わず広く開かれた公募展であるとともに、出品作家には50万円ずつの搬入・設営費の支給、設営のプロによる施工やアドバイスという好条件、大賞賞金500万円も皆の関心事であった。長く続いた県主催の展覧会の果敢な方向転換でもあり、主催者や審査員の口調にも熱がこもっていた。京都での説明会の効果であろう、入選者(出品作家)に京都ゆかりの作家が何人もあったので、その熱や勢いを確かめたく、岐阜へ出かけた。

美術館に白い小さな建物が立ち並んでいるような会場である。キューブの開口部は、採光や作品の形態を考えてか、いろいろな方を向いている。順路が定まっていないので、観客は、街中の道を散策するようにひとつひとつキューブを巡っていく。キューブから出ると別のキューブへ入っていく姿が見えたり、さっき会った人が遠いキューブの向こうに消えていくなど、順路を強要される一般的な展覧会場とはずいぶん違う楽しさだ。現代美術に不慣れな観客であっても、キューブごとに次から次へと作品への興味が湧き、足どりも軽く、また、会話も弾んだにちがいない。能動的な鑑賞を促す、現代美術への魅力ある入り口である。また、作品が互いに干渉しあわないのも鑑賞の切り替えができてよかったが、15作品それぞれが現在の美術の多方向性や多義性を表しており、各審査員の社会への視線と、今を生きておられるその個性までもが際立つように思えた。キューブは、個々の作品を囲い込む檻としてではなく、いろいろなものを柔軟に包む自由な器であって、「身体のゆくえ」というテーマどおり、キューブそのものが身体的であると感じた次第だ。しいていえば、谷本真里がキューブに大穴を穿っていたのと松本和子が外壁をフレスコ画で覆っていたこと、屋外に木製のキューブを展示した三枝愛以外は、キューブが仕切り以外の可能性を発揮していなかったようにも感じたが、3年後の次回、新たな出品者たちがどれぐらいカスタマイズして自らの皮膚のように使いこなすか、とても楽しみである。(テーマは変わるだろうが)。

国内各地で県・市・町主催の芸術祭が盛んに行われる昨今、多くは、開催中のそこへの集客が主眼で、作品鑑賞以外にどれほど周辺の消費が伸びるか、芸術に新たな観光資源としての責任が負わされているように感じる。ノルマが超えられない時がくれば芸術祭のいくつかは役割を終えるのだろう。それに対して、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE」は、芸術の現状をよくリサーチして考え抜かれた芸術祭だと感心する。大賞賞金も、ただ夢のような額というのでなく、若手やさらに伸びようとする作家にとって非常に現実的な<大金>であった。そして、諸条件、表現の自由度などが、全国のクリエイターやアーティストの関心を確実に獲得した。その厖大な人数や繰り返し口の端にのぼった波及力を考えると、遠い将来を見すえた知的なお金の使われ方だと思う。いっぽうで、本展でがんばった京都ゆかりの作家たちが、京都では夢や進路を描けないという暗示のようで、少し痛い気がしている。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

会場サイン

会場サイン

審査員コメントボード

審査員コメントボード

会場風景

会場風景

作品 谷本真理

作品 谷本真理

ギャラリートーク 中村潤

ギャラリートーク 中村潤

作品 松本和子

作品 松本和子


清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017
「第1回テーマ 身体のゆくえ」

Category: Events





PAGE TOP