31, Aug 2014

KUAD graduates under 30 selected

会 期: 2014年7月30日(水)~ 2014年8月7日(木)
会 場: 京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116 人間館1F
tel.075-791-9122
http://www.kyoto-art.ac.jp/info/facility/gallery/aube/

京都造形芸術大学が、卒業後の年数がまだ浅く<発表の機会が限られる30歳前後>の若手支援を目指し、授業の一環として企画・運営した展覧会。同校出身の応募者70余名から約30名を在校生が選出し、出展者の展示をサポート、会期中の会場運営も担った。奨励や批評の意味を込めて学内外から複数の賞が設定され、筆者も授賞に参加させていただいた。出展者、受賞結果、関連イベントのスケジュール等は、以下のとおり。 http://aube.kyoto-art.ac.jp/archives/1378

絵画がもっとも多かったが、インスタレーション、アニメーション、写真、身体表現などの多彩な表現が並び、現在の美術が同世代によって輪切りにされたようで、たいへん見ごたえがあった。出展者の多くの名はすでに方々で見受ける。公募展、共同スタジオ、アートフェア、ギャラリーなど、若手が育つ環境や機会が、以前に比べると格段に増えているからだろう。美術の商業活動にたいしても、多くの出展者にそれぞれの充分な自覚があると感じた。

その中で、興味をそそられ、筆者名の賞としたのは「池邊祥子服飾研究室」による"research & collect"という、古い衣服を収集・保存するプロジェクト。捨てきれない思いとともに保管されてきた服と、その着用者へのインタビュー、着用当時の写真、年代や素材などのデータを保存、おもにウェブ上で公開するプロジェクトである。展示された3種類の服に、筆者の目にも、とてもリアルな昭和の個人史、服飾史、女性の生き方などが重なった。女性向けの服製作を職業とする池邊は、服との関わりからこのプロジェクトを始めたため、美術、とりわけコミュニケーション・アートを特別に意識してはいない。ただ池邊の静かな情熱があるばかりの、非常に個人的な出発である。本展のような機会がなければ出会えなかっただろう。"research & collect"プロジェクトそれ自体にはゴールもライバルもない。淡々と集積と拡散がつづいていく中で、いつか美術のいろいろなしがらみをやんわりと解体してくれるのではないかと期待している。

他に、京都芸術センター アート・コーディネーター賞とパラ人(PARASOPHIAフリーペーパー)賞を受賞した前谷開の写真作品「彼のポートレイト」が、大変気になった。最後まで嫌いであったという<かつての同居人>に扮したセルフポートレト、と、嫌いだったことを告白する手紙。真実かどうかは別として、嫌いな人物の嫌いな性格や見た目を想像するとは、痛過ぎる<愛>である。自分に返ってくる痛さを思う時、コミュニケーションは存在するのだろうか、否か。前谷は陶芸コース出身だが、現在は主に写真表現をしている。ぜひ他の作品を見たいと思う。

つねづね、本展作家のような若者に「どうすれば作家としてやっていけるか?」と聞かれる。「自信と収入を得て、アーティストとして社会的立場を維持するには、こうしなさい」と答えることができればよいが、美術や社会の複雑な仕組みにおいて、正解を示すことは不可能。結果、「10年頑張れば絶対なんとかなる」と、ただ励ますばかりだ。若者にとって途方もなく長い10年をかければ、成功も、諦めも、自分の納得ずくだからに違いないからだ。作品制作や発表のスタイルや、作家の生き方がひととおりでないことにも気づいてくれるだろう。本展の出展者たちは、そのような10年の真っただ中にいる。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

撮影:早瀬道生

展示風景 (撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

展示風景 (撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

池邉祥子服飾研究室「research & collect」
(撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

前谷開「彼のポートレイト」 (撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

井上康子「hiding」 (撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

神馬啓祐「Untitled (Photographer)」
(撮影:早瀬道生)

撮影:早瀬道生

倉田翠企画
「今あなたが〈わたし〉と指差した方向の行く先を探すこと4」
(撮影:早瀬道生)


KUAD graduates under 30 selected

Category: Events





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