01, Jul 2014

展覧会 VvK Programm 9 「Coincidental Perception」

会 期: 2014年5月30日(金)~6月8日(日)
会 場: KUNST ARZT
〒605-0033 京都市東山区夷町155-7
tel 090-9697-3786
http://kunstarzt.com/top/top.htm

VvK Programmは、KUNST ARZTで継続中の<アーティストが企画者かつ出品者でもある企画グループ展>。その9回目である"Coincidental Perception"は、写真作家:鈴木崇のキュレーション。写真から記録メディアとしてとは別の側面を引き出そうとする写真作家5名によって構成された。互いの知覚への共感や、めいめいの写真との取組みが際立つ展覧会だった。90年代初期まで、京都では、作家による企画展が、美術の画期的な地平を開いてきたように思う。美術活動は、何もないゼロ地点から美術家が踏み出して始まるしかないのだ。行政による支援を待ったり、商業活動でのチャンスを待つのではない、本展のような美術家自身の動きに、批評も報道も民間レベルの数々の美術業は励まされるはずである。

さて、発明から現代まで、写真の意味や社会的位置づけは変化し続けている。フィルムや印画紙の一部消滅などの一方で、デジタル面では、加速度的な進化が続く。いっぽうから見る滅びも、他方から見れば新たな開拓期だといえるだろう。今ほど<写真>に言及できる面白い時代は無いのではないか。

<写真>には、質量が伴う。PCやスマホ内、SNSやインターネット上にRGBでみるものを<画像>と区分けし、まず支持体という実体があり、作家がその支持体の種類やサイズをコントロールし最終的にCMYKに置き換えたものを写真といってみたい。プロジェクションや動画に近いもの、デジタル画像をも広義に<写真>ととらえる考えもあると思うが、作家の意図によって支持体とサイズが決定するという意味において、「写真は美術」であり、美術であるものが写真といえなくないか。二次使用や第三者による加工がない前提であれば、なおのこと、絵画同様、ファインアートだ。絵画がそうとう昔に記録性から解放されたように、写真は、部分的に記録の役割を担えばよいのではないかと思うのである。

本展の出展者は、浅野豪、飯沼珠実、上原徹、迫鉄平、鈴木崇。
浅野作品は、木片や皮革などの実写+デジタル加工された複数枚それぞれに雲台が装着されており、壁面上で彫刻的に各々の角度を保っている。迫作品は、市街地や郊外などのあらゆる場所・時間に撮り貯めた膨大な数のサービス版写真である。何冊かのファイルに分けられたそれらの各場面には、「そこにあった」以外の意味はないと見え、編集の軸となる時間や色彩や形などによる分類は排除されているようだ。二次的な意味合いのないまったく<ファイン>な存在といってもよいかもしれない。上原作品では、何種類かのプリント方法が実践され、異素材の組み合わせによる<フレーミング>は、壁上のインスタレーションだ。鈴木作品、飯沼作品には、主題の選びようが報道・広告とは別種であることは明らかであり、絵画にはあり得ない魅力もある。光学的にとらえた3次元の情景を平面に置き換える意味に立ち返りつつ、あらためて、私たちは物体に向き合うことを鑑賞と呼んでいると思うのである。

鈴木・飯沼作品については、キュレーション担当の鈴木氏が詳しい意図を述べているので、部分的に引用したい。
「飯沼作品では、メインは、額装作品ではなく、むしろその横に展示された<本>である。飯沼氏はここ数年、1冊だけのアーティストブックを作るという試みをしている。その魅力は、写真が複製可能な媒体であるにもかかわらず、常にunique pieceに還元するというところにある。
鈴木作品は、常日頃、街で撮りためたものを任意にモンタージュしたものである。最近とくに作品として目立つ、photoshopに影響されたコラージュやレイヤーなどのエフェクト系デジタル加工の作品ではなく、時間や空間を繋げる意味での<モンタージュ>を作品に取り込めないかと思っていた。それぞれのイメージは少なくとも撮影時にモンタージュを前提とされたものではなく、それぞれを一つの映像作品として成立させようとしていたものである。が、作品上の物理的な継ぎ目をなくすことができたのはデジタルだからである。」

京都の美術は、このような作家自身によるスタディーであり、マニフェストである企画展の蓄積による。ぜひ継続してもらいたいと思う。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

「Coincidental Perception」 展示風景

「Coincidental Perception」 展示風景

鈴木崇「cp-4160」

鈴木崇「cp-4160」

迫鉄平「写真の記録」

迫鉄平「写真の記録」

上原徹「Re:Photo」

上原徹「Re:Photo」

飯沼珠実「倒産前夜のウェディングショップ」

飯沼珠実「倒産前夜のウェディングショップ」

浅野豪「Surface」

浅野豪「Surface」


展覧会 VvK Programm 9 「Coincidental Perception」

Category: Events





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