10, Nov 2009
| 会 場: | 京都芸術センター ギャラリー北・南、ワークショップルームほか 〒604-8156 京都市中京区室町蛸薬師下る山伏山町 546-2 TEL 075-213-1000 FAX 075-213-1004 http://www.kac.or.jp |
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| 会 期: | 2009年9月15日(火)~10月18日(日) |
| 主 催: | 京都芸術センター |
| 入場料: | 無料 |
ひとことでいえば、いわゆる<美術品>というよりも、日常生活に潜んでいる事象をモチーフとした<仕掛け>が主人公である。まわりの音に耳を澄ませるように促す鈴木昭男の提案、弦の振動によってまわりの空気を共鳴させる藤枝守の装置、身の周りのありふれたモノが回転したときに見せる美しい軌跡を提示する梅田哲也ほかニシジマ・アツシ、岡田一郎、矢津吉隆。
それらは、未知の気配の創出といってもよいかもしれない。微細な出来事の予感をはらみ、ひそやかな冒険へと連れ出してくれるような提示である。<気配>というものは、何ものかに成長したり繋がって行く予感をはらんでいるが、実際にはそこで謙虚に簡潔しており、現実の生々しさから遠い。
さて、アートセンターと名のつく施設では、一般的には、美術館と異なり、作品の収集をしない。多くは新たな作品を立ち上げる時間と場所と資金を表現者たちに提供する施設のことであり、スタッフが制作に関わる場合も少なからずある。今、現に生きている表現者との仕事であるという点で、美術のみならず、演劇、ダンス、音楽などもアートセンターの重要な要素で、結果的に、それらの複合的な制作・発表の現場であることが多い。日本では、美術館が各自治体に行きわたった後、地元芸術家の支援、内外の芸術家交流、地域と芸術の橋渡し的役割を担い、90年代以降に休眠施設の再活用案などのアートセンターの設立が多かったと感じる。
かつての明倫小学校を改装した京都芸術センターは、2010年に開館10周年を迎える。開館以来、美術、工芸、音楽、演劇、ダンスその他、現代・古典をふくめて、若い表現者たちとの共同作業が活発だ。美術に関しても幅広くとらえ、いわばオールジャンルと言えるが、南棟と北棟の2カ所にあるギャラリーを中心に、現代美術・現代表現の実験的な催しが多く開かれる。このたびの「ある風景の中に」も、感覚や思考に新たな回路を開く、いわばハイブッリッドな表現の実験だった。美術に慣れない来場者に対しても企画担当者はこだわりを譲らず、かといって、知的探求ばかりにのみ閉じこもることのない、親しみやすい企画展示であった。
ところで、美術という言葉を口にするときに、すでに表現の純粋性から遠く離れて、美術の経済や政治や制度を思い浮かべることが多い分、形以前、価値以前の<気配>がもっともファイン(純粋)なのではないかと思う今日この頃である。京都芸術センターのギャラリーは美術に向けた展示室ではあるが、これまでのさまざまな実験的催し(展覧会と限定的にいいきれないので)を思い返すと、多くは美術の権威や世俗的なしがらみから切り離されたファインなもの、いわば<気配>の集積であったように思う。新たな表現や表現者をはぐくむ、希有な場所なのだとあらためて思う。
(松尾 惠 VOICE GALLERY pfs/w)
撮影:岡田一郎
ある風景の中に In a Landscape
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