27, Jan 2010

「京都市美術館コレクション 第4期 花から花へ ー交感のかたちー」

会 期: 2010年1月23日(土)~3月28日(日)
※09:00~17:00(入場16:30まで)
※月曜日休館(ただし3月23日は開館)
会 場: 京都市美術館
〒606−8344京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)
tel.075-771-4107 fax.075-761-0444
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/
主 催: 京都市
入場料: 大人¥500/小・中学生¥300

※ 料金の詳細や、会期中の関連催しについては、美術館HPでお確かめください。

京都市美術館では、芸術系大学の卒業制作展シーズンに突入した。これから3月末まで、毎週各大学主催の展覧会が開かれる。昭和初期開館のこの美術館は、私が京都市立芸術大学に入学した頃から、すでに堂々とした古さであった。無知な大学生にとって、それは風格というよりも、展示に苦労する制度と設え以外の何ものでもなかったけれど、京都から出た高名著名な芸術家が一度は展示した空間であろうと思えば、年一度の制作展に参加することは誇らしいことでもあった。ちなみに、京都市立芸術大学だけ、全学年対象の制作展をこの美術館で開催するのである。

さて、美術館2階にて卒展シーズンのトップである成安造形大学卒業制作展を鑑賞の後、同館1階にて会期初日のコレクション展を鑑賞。「京都市美術館コレクション 第4期 花から花へ --交感のかたち--」と題された本展では、所蔵作品の中から、花をめぐる近代以降の美術表現の数々が8つのセクションに展示されている。8つのセクションは次のとおり。<花のエチュード かたちといのち 京派から京都画壇へ>、<花のありか 山水から風景へ 近代化のまなざし>、<花にねがいを シンボルとかざり 伝統の見直し>、<花によるヴァリエーション ジャンルの垣根をこえて>、<花はどこへ行った~花とゆめ>、<花のまわりで 花をまとって 花になる>、<花に寄せる想い たくさんの花 一つだけの花>、<花のあした かたちからいのちへ 人と自然の触媒として>。竹内栖鳳、須田国太郎、富岡鉄斎、浅井忠、福田平八郎、河井寛次郎、小牧源太郎、吉原英雄、三尾公三など。

セクション名から想像できるように、展示作品約80点は、日本画・洋画・版画・工芸の分野にわたっている。館内で最も重厚で静謐な展示空間に、さまざまな花が咲きほこっていた。美学・美術史的にひもとかれた、花をめぐる日本人の感性、華やか・華開くともたとえられる都市や芸術の発展といった交感とともに、鑑賞者同士も和らぎ合い、平穏に春を迎えたいという気持ちが共有できる好企画だ。セクション<花のまわりで 花をまとって 花になる>に展示された朝井閑右衛門「春」(1943年/キャンバスに油彩)などは、心の氷を一気に溶かすのではないだろうか。

京都市美術館のコレクション展は、興味深い。自らの収集品を慈しむ美術コレクターの視線なのである。膨大な収蔵品の中からコレクション展毎に丹念に選ばれる作品は、互いが元から親密な関係を持っていたかに見える。久しぶりに目を覚ましたような収蔵品の数々も、まるで白雪姫である。作品は、それぞれの時代を新鮮なまま帯びており、画家や画室の香りや物音まで運んでくるかのようだ。同じ作品に再会するチャンスがあるのも、コレクション展のよいところだ。

美術の新たな地平を次々と切り開く京都にあって、その突端を築くべき現代美術に取り囲まれていると、過去の芸術家のかつての現実は静かに封印されるべきだと思いがちだ。突端は、昔語りと別の次元で仕事をする。しかし、時おり訪れる京都市美術館コレクション展で、私の思う突端が、何と細切れにされた時間軸だろうかと愕然とするのも事実だ。日々の情報更新に惑うのではなく、時間軸を少し間延びさせることだけでも、芸術における新たな発見は山のようにある。京都市美術館コレクション展には、近代美術という現実的な過去を知る上で、私自身はもとより、京都に学ぶ芸術系大学の学生がもっと足しげく通うべきだと思う。コレクション展出展作品の画像が使われるポスターのデザインも、毎回魅力的だ。コレクション展というひとつの大きな企画時代が、美術館の歴史をつくることと思う。

ところで、本展では、テーマに寄せてか、数カ所では作品とともに造花が飾られていた。良いような悪いような・・・大変に大胆な演出だと思った。
(松尾 惠 VOICE GALLERY pfs/w)

秋野不矩《紅裳》昭和13年

朝井閑右衛門《春》昭和18年


「京都市美術館コレクション 第4期 花から花へ ー交感のかたちー」

Category: Events





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