26, Feb 2010
| 会 期: | 2010年2月12日(金)~14日(日) |
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| 会 場: |
AAS(参加作家:田中英行) |
| 主 催: | 京都オープンスタジオ実行委員会 www.kyoto-openstudio.com |
オープンスタジオとは、アーティストのスタジオを一般開放し、作品を公開、来場者をもてなす催しのことだ。画廊と専属契約するのが一般的な欧米では、インディペンデントなアーティストたちにとって、自力で展覧会を開く方策のひとつと言ってもよい。また、法的、環境的にスタジオビルやアーティストコロニーなどをつくりやすい国々ではごく普通に行われているが、地域コミュニティーに向け、春を迎えた一時期や秋の芸術シーズンのアーティスト主催のお祭りとして定着し、方々から集まる観客がいくつものスタジオを巡り歩いて、作品鑑賞やアーティストとの会話を楽しむという光景が見られる。かつて訪ねたボストンでは、約60人のアーティストが同居する大きなスタジオビルディングに数日間の会期に入れ替わり立ち代わりのべ数千人もが訪れると言っていた。もちろん、普段の制作の手を止めてまで開催するからには、地域サービスである一方、やはり批評家、ジャーナリスト、コレクター、キュレーターなどという美術の専門家に向けたプレゼンテーションとしても重要なのである。
さて、アーティストの人口密度の高い京都であるが、アーティストの多くは自宅兼スタジオか、個人的な小空間がスタジオである場合も多いので、スタジオ開きというようないわば引っ越し祝いのような催しはあったにせよ、共同スタジオが連携して行うオープンスタジオはこれまでほとんど開かれていなかったと思う。そういった中、「京都オープンスタジオ」は、昨年2月に第1回が開かれた。かねがね、若いアーティストたちが、工場跡や倉庫、住宅地の一軒家や町家などを共同スタジオにしていると聞いていたので、それらを訪ね歩ける機会は、発表作品以外にアーティストを知る手がかりとして、とてもありがたいと思った。開催は各芸術系大学の卒業制作展のシーズンで、日本中(けっしてオーバーでなく...)の美術関係者が新人アーティスト誕生を楽しみに京都へやってくる時期だった。今年もその時期に合わせて、昨年よりたくさんのスタジオが参加していた。
限られた期間にすべてを回りきることはできなかったが、気になる何カ所かを訪ねた。昨今、日本の画廊も、若いアーティストを良くも悪くも専属的に扱い、プロとして育成する傾向が強まっている。が、画廊がイニシアティブをとる限り、アーティストに制作の必然性のある作品を見せるべきタイミングで発表するという自由度は損なわれる。この点に気づき、新たな発表方法を実践できたのは、やはりアーティストのほうである。数十年前に貸し画廊というスペースレンタルが生まれたのも、よく似た経緯ではないだろうか。
個々のスタジオでは、一人抜けるとまた次のメンバーを募らねばばらないという苦労もあるだろうが、共感しあう人間関係の繋がりが絶えることはなさそうで、スタジオごとに思想や活動の方向性は明確に維持されていると感じた。スタジオでの作品展示には、アーティストのリラックスした素顔や本音が見て取れて、とても良い感じなのである。また、互いが批評し、アーティストとしての世渡り術を補完しあうという環境は、大学時代よりもいっそう心強く実践的だとも思うのだ。
卒業制作展のつづく2月、卒業制作の力作には心底感心するのだが、個々の作品にはどこか悲壮感が漂わなくもない。それに比べて、オープンスタジオという社会的な活動を試みたアーティストたちは、年齢こそ学生とさほど違わないが、作品の質もさることながら、スタジオに漂う気配が学生とは格段に違う腹の据わり方なのである。大学を出てからオープンスタジオまでの間に、個々に精神的・経済的に自立をめざすことが、いかに価値ある体験か。若いアーティストたちのスタジオは、そのインキュベーター(孵卵器)なのだと思った次第だ。ちなみに、アトリエというのがこれまでの一般的な呼び名かもしれないが、ここしばらくの間に、制作場所をスタジオと呼ぶのが定着している。
(松尾 惠 VOICE GALLERY pfs/w)

桂スタジオ
会期中に参加作家やその周辺の人々による音楽や詩の朗読も開催された
ライトスタジオ
2/14 田中奈津子の詩の朗読(音楽:森田麻祐子)
京都オープンスタジオ2010
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