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COLUMN

コラム

タイルホコラツーリズム ――信仰を観光する中村 裕太(美術家)

2014 11 21

このように身近な信仰の対象である地蔵祠は、地蔵盆などの風俗とともに町内ごとに受け継がれてきた。戦後のタイルホコラが多く作られた時期は、タイルは高価なものだったが、その耐水性と装飾的な要素が相まって、真正な技術としての木組や石造ではなく、タイル張りが選択されたのではないだろうか。

しかしながら、そうしたタイルホコラも次第に姿を消しつつある。左京区の百万遍の交差点を北西に上がった所にはかつてモザイクタイルで覆い尽くされたタイルホコラがあったが、久々にその場所を訪ねてみると、祠は跡形もなくなっていた。

図10 左京区養正田中大堰町

図10 左京区養正田中大堰町

近くの米屋の主人に訪ねると、そのタイルホコラは戦前に近くの工務店が作ったものだったが、タイルの老朽化が進み、崩れてきたので取り壊すことになったという。現在は、お地蔵さまを裏道に移動し、新たな木組の祠が再建されていた。

タイルホコラを巡っていくと、町内という単位において独自の発展してきた生態をつかむことができる。このようなタイルホコラをただ局所的な事例としてとらえるのではなく、神社仏閣などの名所を巡礼していくように、観光してみてはいかがだろうか。


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