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COLUMN

コラム

mama!milk 20周年記念特集
「ここにいること, 旅をすること」寄稿:白井晃(演出家・俳優)、村松美賀子(編集者・文筆家)、阿部海太郎(作曲家)

2019 05 07

あとがき——周辺から、mama!milk像が浮かび上がる

文:中本真生(本特集編集)

20周年記念特集というと、まず本人がインタビューなどで20年間を振り返るといった形式が想起される。しかし、今回はあえて本人に直接話を聞かず、「周辺からの言葉」だけで特集を編むことを試みた。ある時は様々な編成をとるなどしてmama!milk自体を拡張しながら音楽を作り、ある時は共同者と音楽を作り、またある時は他者の作品において一員となって創作する。あるいは他者からの言葉によってmama!milk自身がmama!milkを発見する。そのように深く、丁寧に他者と関係してきたからこそ、今のmama!milkを形作ったともいえる周辺から、立体的にmama!milk像を浮かび上がらせることが、20周年を飾る言葉としてふさわしいと考えた。

この特集を企画するうえで、大事してきたことが2つある。

1つは「mama!milkという音楽家を通して見えてくるもの」。例えば阿部さんのテキストでは、mama!milkの音楽を「京都」という視点で捉えようとすることで、結果的に「京都で音楽家として生きるということ」というテーマに触れている。このようにmama!milkという音楽家を通して「京都で音楽家として生きるということ」「総合芸術における音楽の役割」、ひいては「他者との関わりがもたらすもの」「芸術・音楽にどのような可能性があるのか」の輪郭が見えてくる。

もう1つは、この特集を20年に区切をつけるための機会と位置付けるのではなく、「20年の継続に敬意を表すために行う」ということ。そもそも、20周年記念企画に関するコミュニケーションは、昨年の1月、私がmama!milkに20周年記念の話を持ち掛けた際、「区切りたいと思っていない」というお返事をいただいたことから始まった。この考えは7月に開催予定の20周年記念コンサートにも通底しており、だからこそコンサートでは過去を懐古するような内容ではなく、新たな試みを行う。20周年記念企画はmama!milkが積み重ねてきた一日一日の延長でありたい。

この敬意は本質的にはmama!milkだけに向けたものではない。アーティストに対してだけでも、芸術にまつわる活動に対してだけでもなく、あらゆる継続に対する敬意が根底にある。

PROFILE プロフィール

中本 真生 | Masaki NakamotoUNGLOBAL STUDIO KYOTO

1983年生まれ。愛媛県新居浜市出身、京都在住。ディレクターを務めた映像芸術祭“MOVING 2015”にて、『メトロポリス伴奏付上映会』(2015、作曲/演奏:生駒祐子+阿部海太郎+清水恒輔)の再演を企画。また、企画した『&ART EVENT vol.2 “THEATER OF POLYPHONY”』(2012)にmama!milkが出演、自身が編集を務めるWEBメディア“&ART”にてインタビューを行うなど、インディペンデントな立ち位置からmama!milkと関係してきた。

&ART

MOVING公式WEBサイト

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