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COLUMN

コラム

黎明の軌跡
AUBE/中嶋昭文の作品について執筆・画像提供:東瀬戸悟(フォーエヴァー・レコーズ勤務)

2017 03 23

2005年、イタリアの大御所M.B.とコラボレーションした頃を境に、体調を崩されたことで作品リリースが徐々に減ってゆき、ライヴも停止。2007年頃には外部との接触をほとんど断ってしまった。内外の知人から「連絡が取れない」という声を聞くようになり、あれだけマメで律儀な人が一体どうしたんだろう?と気にはなっていた。私自身も最後に会ったのは2008年だったと思う。ただ、その頃から膨大なレコード・コレクションを少しづつオークションで売却し始めていたので、時々そのページを覗きに行っては出品画像の完璧さに「ああ、相変わらず中嶋さんらしいな」と感嘆しつつ無事を確認していたのだ。

2013年12月6日、非常階段/インキャパシタンツのT・美川さんから「海外サイトで中嶋さんの訃報が出ているのだが本当なのか?」との連絡を受け、唯一の消息窓口だったオークション・ページが8月末に止まっているのを見て驚き、すぐ家に電話してみたところ、たまたま在宅だったお姉さんから9月25日に亡くなったことを告げられた。死去後、中嶋さん宛にフランスから届いた手紙に、AUBEの名付け親であり、フランス語が堪能なお姉さんが返信を書いたことによって、ようやく海外からの逆情報で他界を知らされたのだった。

数多い中嶋さんとの思い出の中で、米サンフランシスコのバナナフィッシュ誌の依頼で1996年にAUBEのインタヴュー記事を書いた(英訳は加藤デビッド・ホプキンズさん)時のことは忘れられない。スタジオ・メッカを訪れて行った2時間に渡るインタヴューでは、既に数年間の交友があったものの、それまで知ることのなかった中嶋さんの経歴と考え方を改めて語ってくれた。バナナフィッシュ誌には毎号掲載アーティストの録り下ろし曲を収録したCDが付属しており、この号でAUBEが提供した『Shanti』という7分29秒の曲には、インタヴュー時の会話録音テープが音源素材に使われている。極端に変調され、既に元素材は全く聞き取れない状態になっているのだが、私と中嶋さんの唯一のコラボレーション作品である。

2014年1月にスタジオ・メッカに残されたAUBEのマスターテープ類、デザイン版下、資料、1万点ほどのLP/CD/カセットテープ・コレクションなどを引き取り整理を始めた。中嶋さんが、あらゆる物をパラノイアックなまでに記録整理し、捨てずに残しておく性格だったおかげで夥しい物量に比べて分類作業はずいぶんと楽だった。その後、中嶋さんと交流のあった多くの方々の助力を得て、同年3月に大阪心斎橋FUKUGAN GALLERYでリリース作品の回顧展示、9月に難波ベアーズで追悼イヴェント「Heart Of G.R.O.S.S.」(出演:JOJO広重、T・美川、能勢山陽生、日野繭子、長谷川洋、ペインジャーク、ソルマニア、マゾンナ、サードオーガン、Synth Sistres)も開催出来た。

2014年3月 FUKUGAN GALLERYでの展示。

2014年3月 FUKUGAN GALLERYでの展示。

今回の再発リリースを契機に、AUBE/中嶋昭文さんの作品と業績が再注目されることを願ってやまない。拙文が少しでもその手助けになれば幸いです。
(協力:shrine.jp http://www.shrine.jp/


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