AMeeT
ARCHIVES

アーカイヴと再制作

修復・再制作プロジェクトにエンジニアとして関わった3人による対談:第3回(全3回)―遺し方に関する8つの議論対談:古舘健×三原聡一郎×白石晃一

2019 11 27

17. 村(再制作チーム)自体の複製と伝承

(三原)
あんまり具体的には話せないんだけど、村 ※7 ごとコピーしたいという話があって...。

(白石)
おもしろいですね。

(三原)
まだどうなるかわからないんだけど、今その見積もりを作っている。

(白石)
村のコピーってどういう形でですか?

(三原)
「コピー元の村でのこの人の役割はコピー先の村ではこの人が担う」とか、そういうレベル。

(白石)
ビジネスとしてやろうとしている?

(三原)
ビジネス...というよりは文化としてだろうね。

(古舘)
やっぱり伝承なんだね。

(三原)
ビジネスではない。完全に。

(古舘)
メンテナンス機能ごと購入しようとかそういうことではなくて?

(三原)
丸ごとコピーして、「後は俺たちに任せろ」と。将来的にYCAMもどうなるか本当にわからないから。

(古舘)
永続性は求められない。

(三原)
物だけ譲渡しても何もできないから、「作品が生きた状態」を伝えるためには何をしなくちゃいけないのか。そういうことを契約に書かないと意味がないと思う。でも...何をどう考えたらいいのか...。

(白石)
2、3回祭りを一緒にやるのがいいんじゃないですか。

(三原)
そうそう、一緒に作る。ただ現実的な制約があまりにも色々あり過ぎる。例えば再制作するのに2ヶ月くらいメンバーを拘束しなければならない。準備や事後処理など全部合わせたら4ヶ月くらいかかると思うな。

(白石)
そこで効いてくるのは、YCAMが撮影したようなビデオなどの資料なのかなという感じがしますね。非同期的にアーカイブを追いかけたり、遠隔地からインターネットを通じて祭への参加を疑似体験する方法が現代にはいくつかありますから。

『欲望のコード』と『Eye-Tracking Informatics』の修復・メンテナンス作業の記録映像

(三原)
ミニマムに「魂」みたいなものを伝えるメディア...どうやって作ればいいのか(笑)。理想を伝えるのは絶対無理だから割り切らないといけないんだけど、そのいい落としどころはどこなんだろうというのをすごく考えている。

(白石)
正にそれが僕も悶々としているところです。今回の対談はその「悶々」を共有できただけでも成果があったと思っています。とはいえいつかは落としどころを見つけたいとも思っています。 14年後にエンジンを掘り返そうとしているけれど、それは何かしらの「継承」を起こしたいという思いから生まれたと思うんです。継承されるものとは、今の三原さんの言葉を借りるなら魂ですね。スコア的に残していくとか、村の文化として残していくとか、本当に色々な実験があってしかるべきだと思っています。1つ、2つのテストケースからはなかなか見つけられないかもしれないけれど、ケースが増えてくることで典型的な形が見つけられるようになるかもしれない。

※7 再制作チームを比喩表現として村と呼んでいる。詳細は第4章参照。

PAGE TOP