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京都 Underground Hip-Hopシーンを代表するビートメイカー 前半インタビュー:M.A(BONG BROS)

2019 09 05

2. 絶妙なリズムのズレが生み出す中毒性の高いグルーヴ

――今までM.Aがプロデュース した全アルバムを聴いてきたけど、今回のアルバムは「リズムのズレ」にすごいバリエーションがあると感じた。例えば今回のアルバムだと「STEEL WHEEL」と「hate to love」と「S.K.S III」ではリズムのズレが全く異なる。growのアルバムをプロデュース ※3 したくらいからズレに対する解像度が格段に上がって、「M.Aというビートメーカーはここまで繊細にズレで遊べるのか」ということに驚きがあった。わかりやすい曲を挙げれば、growのアルバムの表題曲とか「Mr.piano」もそうだし、今回のアルバムだと「STEEL WHEEL」とかS.K.Sの「III」とか。耳で聞いただけではある種のノりにくさみたいなものがあるんだけど、でも体でノってみると見事にはまってしまうみたいな。

M.Aのアルバム『ICIN』に収録された楽曲「STEEL WHEEL」のMV。

(M.A)
そこは聴いてほしかったところなのに、今までみんなから全然そういう感想がなかったからめっちゃうれしい(笑)。自分はわかりやすい...「普通でかっこいい」みたいなことをやりたいと思ってる。こういう言い方をしたら誤解されるかもしれんけど「子どももわかる」みたいな。

(P.E)
難しくしなかった?

(M.A)
そう。ほとんどの人にはわからんくらいのレベルでやってるつもり。

――極端なズレじゃなくて、例えば1小節の中で、1小節を12分割した1/12だけずらすとか、24分割した1/24だけずらすとか絶妙なレベルを責めてる。そういう一歩踏み外すとノリにくくなってしまうようなギリギリさが生み出す中毒性の高いグルーヴが、マニアックな個性として出てきてるんじゃないかな。

(P.E)
確かに。その辺はM.Aは感覚的にやってると思うんやけど。
ズレということで言えば、M.Aは1つのシーケンスをループさせるんじゃなくて、全シーケンス1個1個微妙にズラしている。

(M.A)
そうやね。全部違うんやけどあえてそれはばれないように。

(P.E)
だから手で組んでる感じがすごいする。プログラミングだけど有機的に聴こえる。

P.E
P.E

(M.A)
トラックを作る時にはまずビートを作る。絶対的にビートは重要だからそう言ってくれるとうれしい。雑誌とかでビートの作り方、ズラし方を語ってる人もいたりするんやけど、それとも全然違う作り方をしてる。

(P.E)
M.Aのこだわりが行き着いた先という感じはするけど。

(M.A)
ただ、「作ろうと思えば誰でもビートを作れる」というのがHip-Hopのいいところだとも思う。機材1台あればビートが作れるやんか。「俺でもできるやん」とか「簡単そうだな」とか思ってもらえるほうが、難しいと言われるよりはいいよな。

――それもHip-Hopの醍醐味よね。

※3 growは京都出身のR&B/SOULシンガー。2013年にhiougi recordsからリリースされた1stアルバムはM.Aとの共同制作。

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