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コラム

連載「都市空間と自律的文化へのアプローチ
――マンチェスター・ジン・シーン・レポート」(全4回)
第2回:ワークショップ《メイク・スタッフ》が示す可能性村上 潔(女性史研究者)

2018 03 07

連載第2回となる今回は、ワークショップについてレポートする。ジン・カルチャーにおいて、ワークショップは、ジン・フェスト/フェアと並んで、一般の人が初めてジン・カルチャーに触れる機会として機能する場だ。ジンスタ([Zinester]:ジンに関する活動をする人たちの呼び名)や、ジン・カルチャー/DIYカルチャーを広めたいと志向する人々(文化的な職業についている人たち、また個人的に活動する人たち)は、世界各地で積極的にワークショップの場を設定・運営し続けている。

アメリカ・イギリスなどでは、公立図書館・公立美術館が一般向けに(もちろん無料で)ジン・ワークショップを開催することは珍しくない。また、大学の図書館が、学生向けに開催する場合もある。民間では、コミュニティ・ベースのソーシャル・スペースや、アーティスト/アナキストたちが運営する自律空間で開催される場合が多い。それらは主に、若者やマイノリティの人たちの自己表現――を通した自尊心の確立と他者理解――を援助・促進する、という使命を自覚的にもってなされる活動である。

日本で開催されるジンのワークショップは、そのほとんどが「ハウツー[How to]」、つまり「技術的」な「スキルの伝授」に終始するタイプのもので、ジンとは何か/ジン・カルチャーとはどういうものか、までしっかりと伝える企画は少ない。また、企画によっては1000円以上の参加費をとるものもある(もちろんこれは、ジン・カルチャー本来のDIY/非営利の精神からすれば、「ありえない」ことだ)。ワークショップのあり方は、日本のジン・カルチャーの「課題」を象徴する一つの側面でもある。

筆者は、2017年12月のマンチェスター滞在中、2つのワークショップに参加した。今回はそのうちのひとつ、《メイク・スタッフ[MAKE STUFF: intro to ZINE MAKING]》(2017年12月15日|会場:グッドストック[Goodstock])(※1) について詳しく紹介することで、ジン・ワークショップがもつ「可能性」について論じてみたい。

※1)告知内容は以下。
https://twitter.com/10derhandspress/status/939861593264926720


村上 潔 MURAKAMI Kiyoshi

村上 潔 MURAKAMI Kiyoshi

1976年、横浜市生まれ。湘南経由、町田市育ち。
2002年から2005年まで、『remix』誌(アウトバーン)に、主に映画・音楽に関する記事を寄稿。その後、『音の力 〈ストリート〉占拠編』(インパクト出版会)、『VOL』誌(以文社)などに寄稿。
2009年、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。現在、立命館大学衣笠総合研究機構(生存学研究センター)客員研究員、神戸市外国語大学非常勤講師、立命館大学産業社会学部非常勤講師。専門は、現代女性思想・運動史。
著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版、2012年)など。現在の主たる研究テーマは、フェミニスト・アーカイブ活動(Feminist Archive Action)、フェミニスト・ジン・シーン(Feminist Zine Scene)、ジェントリフィケーションと女性コミュニティ(Gentrification and Women's Community)。

著者紹介ページ

村上潔
(arsvi.com:立命館大学生存学研究センター)
http://www.arsvi.com/w/mk02.htm

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「京都の女性運動と「文化」 第1回(全3回):序論――女のスペース〈シャンバラ〉の活動から」
http://www.ameet.jp/column/column_20140505/

「京都の女性運動と「文化」 第2回(全3回)――〈シャンバラ〉以後、1980年代のリブ運動」
http://www.ameet.jp/column/column_20140708/

「京都の女性運動と「文化」 第3回(全3回)――1990年代、リブとして生き続けることの模索」
http://www.ameet.jp/column/column_20140926/

「都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(1):サルフォード・ジン・ライブラリー」
http://www.ameet.jp/column/1380/


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