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COLUMN

コラム

連載「都市空間と自律的文化へのアプローチ
――マンチェスター・ジン・シーン・レポート」(全4回)
第4回:ソーシャル・スペース〈パルチザン〉から見るジンとスペースの潜在力村上 潔(女性史研究者)

2018 04 19

〔トム・ガレスピー:〕私は、〈パルチザン〉を都市のコモンズ(共有地)の一例として理解することが可能だと考える。なぜならそこは、都市のなかに存在する、すべての人によって所有されるスペースだからだ。誰もがそこに来て、参加して、スペースを形づくることができる。そして自分たちが望むものへと変貌させることができる。〈パルチザン〉は、マンチェスターにいるあらゆる人のものだ。それゆえ、たくさんのスペースが商品化され、私有化され、どんどん地価が高騰して富裕層向けの排他的な空間となっている一つの都市(マンチェスター)の状況にあって、その存在はきわめて重要だと私は考える。(Illingworth 2018)

連載第4回(最終回)となる今回は、前回(本連載第3回)紹介した《ジン・クラブ[Zine Club]》の会場であるソーシャル・スペース〈パルチザン[Partisan]〉に焦点を当てる。その活動形態・理念や存在意義を確認することを通して、以下の2点を明らかにしたいと思う。

①都市における空間(スペース)の構築と、ジンに代表される自律的文化の実践は、どのように結びついているのか。②その結びつきにはどのような必然性があり、そこにはいかなる可能性・潜在力が見出せるのか。

この作業は、本連載を通して見てきた諸事例がもつ意味を、マンチェスターという都市の枠を越えた普遍性をもつものとして位置づける試みでもある。その成果は、京都で活動する私たちが実践的に参照しうるものとして、役立ってくれるはずだ。


村上 潔 MURAKAMI Kiyoshi

村上 潔 MURAKAMI Kiyoshi

1976年、横浜市生まれ。湘南経由、町田市育ち。
2002年から2005年まで、『remix』誌(アウトバーン)に、主に映画・音楽に関する記事を寄稿。その後、『音の力 〈ストリート〉占拠編』(インパクト出版会)、『VOL』誌(以文社)などに寄稿。
2009年、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。現在、立命館大学衣笠総合研究機構(生存学研究センター)客員研究員、神戸市外国語大学非常勤講師、立命館大学産業社会学部非常勤講師。専門は、現代女性思想・運動史。
著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版、2012年)など。現在の主たる研究テーマは、フェミニスト・アーカイブ活動(Feminist Archive Action)、フェミニスト・ジン・シーン(Feminist Zine Scene)、ジェントリフィケーションと女性コミュニティ(Gentrification and Women's Community)。

著者紹介ページ

村上潔
(arsvi.com:立命館大学生存学研究センター)
http://www.arsvi.com/w/mk02.htm

AMeeT Column

「京都の女性運動と「文化」 第1回(全3回):序論――女のスペース〈シャンバラ〉の活動から」
http://www.ameet.jp/column/column_20140505/

「京都の女性運動と「文化」 第2回(全3回)――〈シャンバラ〉以後、1980年代のリブ運動」
http://www.ameet.jp/column/column_20140708/

「京都の女性運動と「文化」 第3回(全3回)――1990年代、リブとして生き続けることの模索」
http://www.ameet.jp/column/column_20140926/

連載「都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート」(全4回) 第1回:サルフォード・ジン・ライブラリー
http://www.ameet.jp/column/1380/

連載「都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート」(全4回) 第2回:ワークショップ《メイク・スタッフ》が示す可能性
http://www.ameet.jp/column/1464/

連載「都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート」(全4回) 第3回:創造の「スペース」としての《ジン・クラブ》
http://www.ameet.jp/column/1507/


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