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COLUMN

コラム

南三陸町ドキュメンタリープロジェクト村川拓也(演出家/ドキュメンタリー作家)

2012 02 29

まず、自分のことを書きます。僕は京都を拠点に演出家として演劇活動をしています。これまでいくつかの作品やプロジェクトを発表してきました。現在は特定の集団(劇団)は持っていないので、作品のテーマやその時興味のある事柄によってその都度、人を集めてカンパニーを立ち上げています。これからも基本的には演劇を中心に活動をしていくつもりです。基本的にというのは、実は最近人に誘われて映像作品をつくる機会が増えていて、演劇以外に映像作品の発表というのがもう一つの自分の活動になりつつあるからです。今回のドキュメンタリープロジェクトも京都市内で行われる"MOVING 2012"という映像芸術祭の企画者からの提案で始まりました。僕が学生時代にドキュメンタリー映画を撮っていたことや、僕の演劇作品のスタイルがドキュメンタリーやフィールドワークの手法をとっていることから、今回のような企画の提案をされたのだと思います。

「震災に関するドキュメンタリー映画を撮らないか」という提案には、はじめ正直戸惑いました。その時まだ自分の中で震災について語る言葉や思考方法が用意されていなかったからです。震災に直接関係する作品を自分がつくることは想定していなかったし、ましてや被災地に行くことすら頭にありませんでした。ただ「来たな」という衝撃と圧倒的な不安を抱え込み呆然としていたように思います。

歌津地区の瓦礫集積場所(2011.11)

歌津地区の瓦礫集積場所(2011.11)

とにかくまず被災地に行ってみようということになり、2011年11月にビデオカメラを持って企画者と宮城県南三陸町を訪れました。宮城県南三陸町は津波によって壊滅的な被害を受けた地域の一つです。僕たちが訪れたのは南三陸町の志津川地区と歌津地区です。レンタカーで現地につき、車から降り立ち、がれきの山を見た時の衝撃は今でも強烈に憶えていて、なにか感想を持つことも言葉を見つけることもできませんでした。作品をつくることへの圧倒的な不安はどんどん増すばかりでした。


村川拓也 MURAKAWA Takuya

村川拓也  MURAKAWA Takuya

1982年、滋賀県生まれ。2005年、京都造形芸術大学 卒業。2005年、地点(演出:三浦基)に演出助手として所属。2009年、演出家としての活動を開始するため地点から独立。社会や人間の抱える「矛盾」に執心し、そこに何らかの解決を求めるのではなく、ただただ受け止め続ける訳でもなく、別の身の処し方を知見できるような作品を実験的に制作する。舞台芸術外の分野においても活動の幅を広げる。

村川拓也WEBサイト
http://www.murakawa-takuya.com/

MOVING公式WEBサイト
http://www.moving-kyoto.jp/


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