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COLUMN

コラム

版画の再考と版画の再興のために
-我が版画コレクション道と画廊開設10年を振り返って-谷口 宇平(アートゾーン神楽岡)

2013 07 10

アートゾーン神楽岡は今春開催された『PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2013』の事務局を4年近く前からお引き受けし深く関わってきましたが、開催に当たって多くの企業、団体、個人の皆様から多大なご協賛をいただき、マスコミ各紙では写真入りで大きく取り上げられ、美術界の成果として評価、次回以降も期待するとの論評を得ることができました。このような幅広い支援とマスコミからの高い評価によって入場者も右肩上がりに増え5500名を超える予想外の入場者数を得ることができ成功裡に終えることができました。

2003年に現代版画を主に扱う画廊をオープンしてから今年がちょうど10年目となりますが、この節目の10年目に『PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2013』の事務局として大役を無事果たせましたことは望外の喜びで記念すべき年となりました。 美術界低迷の中で『PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2013』が何故こんなに盛り上がったのか。私のコレクション歴と画廊歴と版画史をクロスさせながら考えてみたいと思います。

10年前は京都に現代版画を扱う画廊が数軒ありましたが長引く景気低迷のため版画画廊を謳う画廊は今では弊店1軒だけとなりました。既に10年前からバブル景気崩壊以来の長引く低迷で画廊を店仕舞いするところも出始めていた頃でしたので、なぜまた画廊を始めるのかと思われたようでした。

にもかかわらず画廊を始めた理由としては、心底版画が好きだったからとしか言えません。それ以外に理由を挙げるとすれば①各国版画展での日本人版画家の受賞者が相継ぎ活躍が目覚ましかったこと、②木版、銅版、リトグラフ、シルクスクリーンなど様々な技法があり版種によって味わいが違うこと、③オリジナル作品が他の美術品に比較して廉価でサラリーマンでも購入できること、④保管しやすく展示しやすくどのような空間でもフィットすること、⑤戦後の家族構成の変化(核家族化)、居住環境の変化(洋風化)により屋内展示空間が増えたこと、⑥作家発掘の醍醐味を味わいたいと思ったこと、⑦長年のコレクション歴で版画知識が豊富であったこと、⑧日本人口の0.01%程度が版画に興味を示してもらえれば、あとは情熱と熱意とコスト意識を持って画廊運営を行えば採算可能と考えたからです。

版画コレクションの発端は40年以上前、同僚から誘いを受け画廊に出入りを始めてからです。最初のコレクションは京都の伝統工芸品を扱うハンデイクラフトセンター6階にある現代版画専門画廊の黒崎彰版画展での黒崎作品でした。学生時代から年賀状は木版で作っていましたが、素人の私の版画とは比べようもなく黒崎彰の赤と黒を基調にした木版画は力強く衝撃でした。

それ以来、版画に関心を持つようになりましたがちょうどその時代、60年代前後から版画を専門にする画廊が東京を中心に誕生し始め、70年代前半に小雑誌『プリントアート』や季刊誌『版画芸術』が創刊されました。それは版画を扱う画廊の広告と新進作家の熱い抱負や世界各国の版画状況や版画のテクニックなどの記事が満載で毎号分厚くなり、私は毎号が待ち遠しくてたまりませんでした。それらの雑誌を買い求めむさぼるように端から端まで読みました。そして大阪や京都の画廊によく出かけ小遣いで買える程度のものから収集を始めました。また、時間があれば美術館や画廊に通い版画知識は自然と豊富になっていきました。今から思えば60年代から80年代までが版画の黄金期だったと思います。


谷口 宇平 TANIGUCHI Uhei

谷口 宇平 TANIGUCHI Uhei

アートゾーン神楽岡
〒606-8311京都府京都市左京区吉田神楽岡町4
TEL+FAX 075-754-0155
E-mail artzone@iris.eonet.ne.jp

2003年9月に版画を専門に扱う画廊として開設する。国内外の現代作家を中心に幅広く扱っています。また、年10数回の企画展を通して注目の版画作家を紹介しています。画廊は吉田山東側中腹に位置し東山が見渡せる眺望のよいところにあます。(開廊時間11:00~19:00  水・木休廊)

京都・アートゾーン神楽岡 WEBサイト
http://www.artzone-kaguraoka.com/


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