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フリーペーパー『音読』対談 「私たちがフリーペーパーを作るわけ」 後半対談/編集:田中郁后(音読 編集長) × 土門蘭(音読 副編集長)

2014 01 13

2. もう京都、京都って言わなくていいんじゃないの?

(田中)
『音読』や翠灯舎でWEBを作ったりして、世の中に発信していこうと思えば何でもできるんですが、これから京都にもたらしたいもの、こんな感じの京都にしていきたいよねっていう展望はある?

(土門)
この間、ゆーきゃんの話()を聞いてて確かにそうだなって思ったことに「京都らしさ」っていうのがここ数年でなくなったよねっていう話があって。ゆーきゃんって2008年に東京に一度行ってたんだけど、2年後に帰ってきたときに京都がどこか変わったって思いましたかって聞いたら、そういうことを言ってたの。
その2年ってネットで音楽情報を発信するメディアがたくさん出てきて、TwitterやFacebookも一気に広まって、それによって良い意味でも悪い意味でも地域の垣根が取り払われた時なのね。それからの京都の若いバンドマンの音楽を聴いてると「京都らしさ」っていうのがなくなってきてるって。これまでは地域の垣根っていうのがあって、特に京都は垣根が高くて、京都の中の人のつながりが音楽に影響を与えてた。友達や先輩とか、ライブハウスの店長とかにいろいろアドバイスされたりうるさく言われたりとかさ。音楽に周りの人の影響が色濃く反映されてたんだよね。でもそれよりもネットの力が強くなって、そこから色んな情報を得るようになって、音楽の色が均されたみたいな感じがあるよねっていうのを言ってて、すごいそれはわかるなあと思ってさ。
私も若い子と話してても、自分で見ている京都ではなくて、雑誌とかネットのフィルターを通して京都を見てるみたいな、逆輸入された京都を見ているような感覚はある。自分自身もそうなってきたなとは思うんだけど。やっぱり京都の中にいる人間だからこそ『音読』を作れるっていうのはあるから、外側から仕入れる情報ではなくて京都の内から情報を散らしていきたいっていうのはあるかな。

(田中)
実際、京都のことどう思ってる?
私は昔ほど特別な場所やと思わなくなってきた。京都にこだわってるっていうのは、東京にこだわってる人と変わらないと思う。結局、「場所」にこだわってるという点で同じやねんな。
ネットが出てきて、色んな情報が簡単に手に入るようになって、今この瞬間にその地方で何が起こってるかとかTwitter見たらわかったりするようになって、その「土地へのこだわり」っていうのがすごく薄くなったと思う。だから京都にこだわって京都でしかできないことがすごく少なくなった。

(土門)
それって京都っていう場所が力を失ってるってこと?

(田中)
いやあ、そんなことは全然なくて、私の意識の問題かな。
そうやって京都京都って言ってるうちは、東京東京って言ってる人と変わらへんから、そうじゃなくてできることを探さなければいけないのかもと思っている。もちろん、『音読』の中で「京都の音楽」っていうのはすごく大きなキーワードで、それを変えるつもりは全然ないねんけど、でもそこからちょっと抜け出したいというか。
今、日本全国的に地方の音楽をもっと盛り上げようっていうムーブメントがあるやんか。でもそれで地方VS東京っていう図式ができるのはつまんない。たぶん答えはもう一個向こうやろう、と。京都だって一地方都市に過ぎひんから、物理的な東京との距離はもちろんあるんやけど、感覚としてはもう違う。だから何かを始めるとしたら、その辺りのことを取り払った何かを始めたらおもしろいんじゃないかなあとぼんやり思ってる。
今の京都の音楽シーンで起こっていることをアーカイブしていくことは、やっていくべきやしおもしろいと思ってるしやりがいも感じてるけど、何かもう一つテーマを持つなら、たぶんそういう地方色を持ったものではないと思う。郷土愛もあるし、京都人としてのプライドもあるんやけど、何かもう一つ突き抜けたいな。

(土門)
私はもともと広島の人間で、今でも京都に仮住まいしてる感じはあるんだけど、「京都最高!」「そうだ、京都行こう!」みたい京都礼賛感が何か嫌なのね。そんな京都京都と大げさに言われても……みたいな。だから『音読』には、京都ってどれくらいすごいものなのかっていう確認作業がある。普通の雑誌みたいに、どんどん観光客増やそうぜ!みたいなのではなくて、もっと等身大に事実を記録していく感じ。それプラス、京都だけに限らないテーマがあればすごい強いよね。

(田中)
そうだね。そろそろ京都京都言うの、卒業してもええんちゃう?みたいな気持ちにはなっています。正直なところ(笑)。

(土門)
それ、いいと思う。

(田中)
今後の展望として持つのであれば、今までの「京都のことを知ってもらう」とか「京都に人を呼ぶ」とかそういうのとはちょっと違う、もう一つ突き抜けたものを目指すべきかなあと。

(土門)
うん。京都の土地っていうのに限らず、京都に絶対来れないっていう人でも、『音読』を読むと「こんな場所もあるんだ」「こんな人もいるんだ」って元気が出るようなものが作れたらいいなって思うな。

(田中)
この間出した「音楽ライター論(9号)」とか、あれが近いかな。あれは京都に岡村詩野さんが居て作った号やけど、でも内容って京都の音楽シーンのことではなくて、音楽業界全体の話やったりするやんか。そういう京都から発信してるけど、誰にでも当てはまったり普遍的なことだったりするようなものがいいよね。

第9号 一億総評論家時代における音楽ライター論 2013年9月発行

第9号 一億総評論家時代における音楽ライター論 2013年9月発行

(土門)
確かに次号も京都と関係ないしな(笑)。インタビューしてる人も京都だけじゃないし。

(田中)
一応、京都のミュージシャンとかにも話聞いてるけど、でもそれって京都だけの話じゃないよね。でもそれでいいと思ってる。東京でもたぶん同じ内容で作れると思う。でも東京じゃなくて京都のフリーペーパーがやっちゃう感じっていうのがいいんじゃないかな。 これからもそういうフリーペーパーを作っていこう。

(土門)
うん、頑張っていこう。次号は2014年1月15日発行予定です。特集はミュージシャンとお金をテーマにしています。どうぞお楽しみに。

第10号 金とロック 2014年1月発行

第10号 金とロック 2014年1月発行

)10号に掲載予定のインタビュー。


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