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山形国際ドキュメンタリー映画祭 レポート対談/編集:村川拓也(演出家・映像作家) × 川端安里人(映画ライター)

2016 01 22

2015年10月8日〜15日の期間、山形県山形市で開催された「山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)2015」。1989年にアジアで最初の国際ドキュメンタリー映画祭として始まったこの映画祭は、以来2年に一度開催され、今年で14回目となる。本記事では、舞台演出家・映像作家の村川拓也と映画評論、上映会の開催などを行う川端安里人との対談形式によるレポートを掲載する。映画祭自体の重要性から、最新のドキュメンタリー映画の傾向、そして今後来るべきドキュメンタリーの考察まで話が及んでいる。

村川拓也(以下、村川)
まずどうして座談会という形にしたかということについて触れておきます。僕はドキュメタリー映画は対話で成り立っていると考えています。だからレポートも対話形式でやって、対話と対話の間を読むような形で記事を読んでもらうことが一番ふさわしいかなと思ったんです。それと僕は批評家じゃないので、一つ一つの映画を的確に論じることなんてできませんし。

川端安里人(以下、川端)
複数の会場で同時多発的に上映する映画祭の構成上どうしても観れない映画がたくさんあって。一人では観れる映画の数に限界がありますからね。

(村川)
川端君は毎回映画祭に行ってるし、映画祭自体のことを語るのに適任かなと思ってお願いしました。

(川端)
ありがとうございます。自分は今年で5回目の参加ですね。対話形式の方が自分も話しやすいですし、会場の雰囲気とかも伝わりやすいと思います。YIDFFってインターナショナル・コンペティションとかアジア千波万波(※1)、特集上映(※2)とか色々な枠組みがあるじゃないですか。これはただの持論なんですけど、毎回当たりの枠組み、というか総じて平均点の高い枠組みがあると思っていて、今回はラテンアメリカ特集がアツいな、当たりだなと思いましたね。前回はクリス・マルケルの特集が当たりだったんですけど。なんか、毎日プログラムのスケジュールを見ながら「今日はこれが当たりだぞ」とか考えている姿は競馬新聞を読んでるおっさんと大差ないなって思いますけど(笑)。今回初めての村川さんはどういう印象でしたか?

会場前に設置された映画祭ののぼり

会場前に設置された映画祭ののぼり

会場のひとつになっている山形市民会館 大ホールの外観

会場のひとつになっている山形市民会館 大ホールの外観

(村川)
150本ほどの映画が一週間に詰め込まれていて、観たくても全部観れないってことが驚きで、面白かったです。僕は舞台をやっていて、国内外の演劇祭に参加しているんですけど、基本全ての作品を観れるようにプログラムが作られている。それがYIDFFでは全部観ることは出来ないので、能動的にどの作品を観るかを決めないといけない。自分で観る作品を選んで、いい作品に出会えた時はそら面白いし、逆に、しまったって思うような作品を観てしまうこともあって。まあ、しまったっていうのもそれはそれでいいんですけど。そういうことも含めて、確かに競馬みたいに観る作品に「賭ける」感じもあるし、とにかく賑わいを感じれたなって思います。

(川端)
映画ってね、多くの人が簡単に観れるものだと思ってるんですよ。それこそ最近ではすぐDVDになったり、オンデマンド配信されたり。だけど、YIDFFでは違うんですよね、それこそこの日のこの回を逃したらもう二度と観れないかもしれない映画が同時に何本もやってるんですよ。その中から何を観るかを取捨選択していかないといけない。映画好きには酷ですけど、興奮しますよね。

※1)世界各地から集められたインターナショナル・コンペティションとは別に行われるアジア地域限定のコンペティション。

※2)YIDFFではコンペティションの他にも、その年によって地域や監督、テーマなどによって特集が組まれている。


村川拓也 MURAKAWA Takuya

村川拓也 MURAKAWA Takuya

演出家・映像作家。1982 年生まれ。2005 年、京都造形芸術大学卒業。2009 年まで、地点に演出助手として所属。独立後は演出家として活動を開始し、ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を様々な分野で発表している。主な作品に『移動演劇 宮本常一への旅 地球4周分の歌』 ( 2010、引用文献:宮本常一 ) 、『ツァイトゲーバー』 (2011、2012、 F/T11 公募プログラム、大阪市立芸術創造館 ) 、ドキュメンタリー映画『沖へ』 (2012)、AAF リージョナル・シアター2013『羅生門』(2013)、『エヴェレットラインズ』(2013)など。『ツァイトゲーバー』は各地で再演され、2014 年5 月にはHAUHebbel am Ufer(ベルリン)の「Japan Syndrome Art and Politics after Fukushima」にて上演された。

村川拓也 公式サイト
http://murakawatakuya.blogspot.jp/

村川拓也 AMeeT 寄稿コラム
「南三陸町ドキュメンタリープロジェクト」
http://www.ameet.jp/column/
column_20120229-3/

KYOTO EXPERIMENT 公式プログラム
『エヴェレットゴーストラインズ』
不在のための演劇 インタビュー 村川拓也
http://www.ameet.jp/feature
/feature_20140926-2/


川端安里人 KAWABATA Alito

川端安里人 KAWABATA Alito

1988年京都生まれ。幼い頃から映画漬けの日々を送り大学在学中には今まで見た総数が1万本を超える。2010年京都造形芸術大学映像芸術コース卒業。卒業後は自主制作映画の手伝いや、記録映像の制作などをしながらもやっぱり映画漬けの日々を送る。2015年12月より京都のカルチャーを発信するフリーペーパー&ウェブマガジン「アンテナ」にて映画コラムを執筆中。

フリーペーパー&ウェブマガジン「アンテナ」
http://kyoto-antenna.com


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