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アーカイヴと再制作

連載「巨大な書庫で迷子になって」(全3回)第2回:写真とオンライン・アーカイヴ文:佐藤守弘(視覚文化研究)

2018 02 17

5. キャビネットから解き放たれて

19世紀以来の写真アーカイヴズは、第一に紙などの支持体に印されたモノであり、基本的には物理的なキャビネットのなかに収められ、それぞれ特定の場所に保管されていた。ところが、データとしてネットワーク上に遍在する写真は、物質性を喪い、特定の場所に縛り付けられることもなく、前段で示したように、キーワード検索や絞り込みなどでアクセスすることができる。もちろんそれぞれのオンライン・アーカイヴによってアクセスのしかたも異なるし、基本的には、ファイル・キャビネットから解き放たれ、広大なネットワーク空間に彷徨っているようなものだといえるだろう。

たとえばGoogleの画像検索——ネット上の写真アーカイヴへのとりあえずの近道——で、「mona lisa」と検索してみよう。そこにはグリッド状に整然と、あの《モナ・リザ》とそのパロディ、コラージュなどが並んでいる。どれが本物(の複製)でどれがパロディかは、コンピュータにとってはどうでもいい。すべてが等価なデータとして並列している。このことは現代における文化の状況——すなわちかつてのハイ・カルチャー/ポピュラー・カルチャーというような区分が実質上無効になり、すべてがフラットに——を比喩的に示していると考えることもできるだろう。この連載の最終回では、現代におけるポピュラー・カルチャー/サブカルチャーとアーカイヴの問題を扱ってみたいと考えている。


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