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アーカイヴと再制作

タイムベースド・メディア・インスタレーション『HUMAN EMOTIONS』の再制作・修復・保存に関する資料と議論 (全4回)―どのような形で作品を残すべきか第4回:再制作・修復・保存に関する15の議論 後半

2018 06 12

18. “スタディーとしての再制作”に関する議論

――山城さんは先ほど「『HUMAN EMOTIONS』が再現されにくい作品だということは自分でもわかっています。だからこそ積極的に再制作をしているのかな。」 ※21 とおっしゃっていました。
今回話をしていて「どのように再制作すれば、オリジナル・ヴァージョンに対する同一性を保つことができるのか」「どのような方法であれば、特定の要素を剥ぎ取ったうえで、作品として成立させられるのか」「逆にどのような方法ならば、それらが達成できないのか」などについて、実際に再制作してみないとわからないことが多いと感じました。再制作を経ないと、具体的に仕様書を詰めていくことが難しい作品もある。また作品を定義し、その定義の精度を上げていくという観点においても、試行錯誤しながら再制作を繰り返し、スタディーしていくということは有効と言えるのではないでしょうか。
仮に、オリジナル・ヴァージョンを制作した時点で、どこかの美術館に『HUMAN EMOTIONS』が収蔵されることになっていたとしたら、暫定的な収蔵にならざるを得なかったかもしれない。再制作していないのに、何を保存すべきかや、許容範囲の設定などを適切に行うのは、かなり難しいように思います。

(山城)
そのスタディーは必ずしも作品毎にやらなくてもいい。『HUMAN EMOTIONS』で得た叡智は他の作品にも生かされていくと思う。さらに、そのスタディーは自分ではない誰かにも共有することができる。

※21 詳細は9. “場所性(サイトスペシフィック)”に関する議論を参照。

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