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アーカイヴと再制作

悪魔のしるし『搬入プロジェクト』のオープン化に関するインタビュー 後半―第三者により作品が実施されるということ、その可能性と課題

2018 10 10

本記事は、2018年7月9日(月)の午後に行った悪魔のしるしのメンバー3人、能勢陽子氏、山城大督氏へのスカイプでのインタビューにおける発言を基に、編集を加えて構成している。

インタビュイー:石川卓磨(悪魔のしるし)、金森香(悪魔のしるし)、宮村ヤスヲ(悪魔のしるし)、能勢陽子(豊田市美術館 学芸員)、山城大督(美術家・映像作家)

インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

4. 誰が主導したか

――最初に、豊田市美術館での第三者主導による『搬入プロジェクト』の中心メンバーだった山城さんが、『搬入プロジェクト』についてどのような知識・経験を持っていたのかを明らかにできればと思います。山城さんは豊田市美術館の前に、ロームシアター京都での『搬入プロジェクト#20』 ※5 にてプロジェクト・メンバーで参加していましたよね。

(山城)
はい。

――プロジェクト・メンバーとしての参加は『搬入プロジェクト#20』だけでしょうか。

(山城)
そうです。ロームシアター京都での『搬入プロジェクト#20』は、同館のオープニング事業の一つとして開催されました。その際、制作を担当した武田知也さんから僕に、「危口くんと『搬入プロジェクト』を行うにあたって記録展示がしたい」という相談があったので、「映像で記録し、ロームシアター京都内にマルチ・チャンネル・モニターで展示する」という提案をし、学生チームと共に展示・記録担当という役割で参加することになりました。物体の設計・製作や、搬入ルートの検討に直接関わったわけではないけれど、『搬入プロジェクト』が出来上がっていくプロセスを終始見ていたというわけです。記録展示については、もともとは危口さんではなく武田さんからの要望でした。

『搬入プロジェクト#20』の記録写真
『搬入プロジェクト#20』の記録写真
『搬入プロジェクト#20』の記録写真。
写真上は搬入中(画像提供:悪魔のしるし)。
写真下は山城氏が担当したマルチ・チャンネルの記録展示の一部(画像提供:ロームシアター京都/写真:井上嘉和)。

――もともと山城さんと危口さんはどのような関係だったのでしょうか。

(山城)
2010年、友人の作曲家 安野太郎くんのイベントに出演した時に、彼の紹介で初めて会いました。なので、7年くらいの付き合いだったということになります。危口くんとは出会ってすぐに意気投合しました。危口くんは「自分は演劇をやっている」といって活動内容を説明してくれたんだけど、何度聞いても演劇とは思えない。そこに興味を惹かれました。僕はよく悪魔のしるしの作品を観に行っていたし、危口くんの方も、僕がやっているNadegata Instant Party ※6 の活動に興味を持ってくれて、僕の作品を観に来てくれることもありました。僕の作品の感想を危口くんが伝えてくれることがよくあったのですが、いつも他の人とは少し違った方向から意見だったので、すごく信頼していました。

――『搬入プロジェクト#20』までにも、『搬入プロジェクト』に観客として参加したことはあったのでしょうか。

(山城)
はい。『搬入プロジェクト』は3度ほど現場で観ています。「うるさいガヤ」として参加することが多かったですね。

※5 『搬入プロジェクト#20 ―京都・岡崎計画―』 2016年3月5日(土)~ 3月27日(日) ロームシアター京都 主催:京都市、ロームシアター京都 共催:KYOTO EXPERIMENT

※6 Nadegata Instant Partyは中崎透、山城大督、野田智子の3名で構成されるアーティスト・ユニット。地域コミュニティにコミットし、その場所において最適な「口実」を立ち上げることから作品制作を始める。口実化した目的を達成するために、多くの参加者を巻き込みながら、ひとつの出来事を「現実」としてつくりあげていく。「口実」によって「現実」が変わっていくその過程をストーリー化し、映像ドキュメントや演劇的手法、インスタレーションなどを組み合わせながら作品を展開している。

PROFILE プロフィール

石川 卓磨 | ISHIKAWA Takuma悪魔のしるし

1978年神奈川県生まれ。建築家。NEWEST一級建築士事務所共同主宰。危口とともに、舞台や装置から観客席までを意識した「体験の設計」を担当。全ての搬入プロジェクトに関わる。悪魔のしるしメンバー。

金森 香 | KANAMORI Kao悪魔のしるし

1974年東京都生まれ。広報・プロデューサー。AWRD編集長。出版社リトルモア勤務を経て、2001年~2017年ファッションブランド・シアタープロダクツを設立し取締役・広報を務めた。「悪魔のしるし」初代制作→幽霊部員→現・悪魔のしるしの生き残り。

宮村 ヤスヲ | MIYAMURA Yasuwo悪魔のしるし

1973年熊本県生まれ。東京造形大学卒業後、デザイン事務所勤務のち2003年より独立。美術・演劇・音楽・出版関係などを中心に活動。2005年演劇作品『悪魔のしるし』で宣伝美術を担当、以降メンバーとして、悪魔のしるしのグラフィック全般を手がける。

BOUSE|宮村ヤスヲ

能勢 陽子 | NOSE Yoko

岡山県生まれ。1997年より豊田市美術館に勤務。これまで企画した主な展覧会に、「Blooming:日本–ブラジル」(2008年/豊田市美術館)、「Twist and Shout Contemporary Art from Japan」(2009年/バンコク・アート&カルチャーセンター/国際交流基金主催)、「石上純也–建築の新しい大きさ」展(2010年/豊田市美術館)、「反重力」展(2013年/豊田市美術館)、「杉戸洋−こっぱとあまつぶ」展(2016年/豊田市美術館)、「ビルディング・ロマンス」(2018年/豊田市美術館)など。美術手帖、WEBマガジンartscape等に、多数執筆。「あいちトリエンナーレ2019」キュレーター。

山城 大督 | YAMASHIRO Daisuke美術家・映像作家

京都造形芸術大学講師。1983年大阪生まれ。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)修了、京都造形芸術大学芸術学部卒業、山口情報芸術センター[YCAM]エデュケーターを経て、東京藝術大学映像研究科博士後期課程。映像の時間概念を空間やプロジェクトへ展開し、その場でしか体験できない《時間》を作品として制作する。2013年には個人として1年間に渡って映像表現を再考する「東京映像芸術実験室」を実施。本企画より誕生した作品『VIDERE DECK/イデア・デッキ』が第18回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品に選出された。2007年よりアーティスト・コレクティブ「Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)」を結成し、他者を介入させ出来事そのものを作品とするプロジェクトを全国各地で発表している。主な展覧会に森美術館「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」。

山城大督 公式サイト

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