AMeeT
ARCHIVES

アーカイヴと再制作

修復・再制作プロジェクトにエンジニアとして関わった3人による対談:第1回(全3回)―式年遷宮と民間伝承と神話、あるいはフランケンシュタインとゾンビとイタコ対談:古舘健×三原聡一郎×白石晃一

2019 07 22

3-2. 三上晴子『欲望のコード』

——続いて、三原さんお願いします。

(三原)
『欲望のコード』のオリジナル・ヴァージョンを制作していた頃には、「蠢く壁」部分以外、三上さんが直接手を動かして作品を作るということはなく、「多視点を持った触覚的サーチアーム」「複眼スクリーン」はいずれかのメンバーが実制作を請け負っていました。亡くなる前までも、本人と意思疎通しつつ、細かくやりとりをしながら修復していたので、2016年からの修復でもその延長で判断していきました。

三上さんの生前、『欲望のコード』の修復に関して、「機材・金物が壊れたからこういった代替品に置き換える」とか、「運営上これはあるほうがいい、ないほうがいい」とか、提案していたのはほとんど僕でした。三上さんは、所謂ファンクション(機能)が成立していれば細かいことはそんなに気にする人ではなかったので、僕らが提案したことに対して、清々しいくらいほとんどそのままGOを出していました。だから2016年からの修復でも、僕らが悩んだことといえば、「このネジはどこで買えばいいんだ」とか、そのくらい細かいレベルで、何かを変えるときに迷いはほとんどありませんでした。

そもそも三上さんが具現化したかったことはあまりに特殊だったから、オリジナル・ヴァージョンが完成した2010年の時点で、彼女の構想は全然具現化できてないんですね。三上さん自身も『欲望のコード』の制作キックオフの際、僕らに「私の作品プランは、NASAでも実現できないって言われたから安心して」と言っている。だから「2016年の段階で、このくらいのコストで、最も効率的な手はこれしかないからこの方法だな」というふうに選択していきました。予算内で実装できる方法が1つしか見つからなかったりと本当に綱渡りの状態ですが、今のところはなんとかなっています(笑)。

三原聡一郎 対談風景
三原聡一郎

(古舘)
小型レーザー・プロジェクターを交換しなければいけなくなった場合とかやばいんじゃない?

(三原)
あれは調べてみたら日本での流通が始まったから当面はなんとかなりそう。ただ、カメラが問題で...。韓国のメーカーのカメラを使っているんだけど、廃盤で生産が止まってしまったから、今、同じスペック、同じコントロール信号、同じレンズ、同じ輝度のものがあるか調べている。

多視点を持った触覚的サーチアーム
「多視点を持った触覚的サーチアーム」の先端にはビデオカメラとプロジェクターが取り付けられており、観客の撮影と、撮影した映像のプロジェクションを行う。
撮影:丸尾隆一(YCAM) 写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

(古舘)
同じ輝度であるということは、作品の修復をするにあたって重要な要素?

(三原)
映像の明るさが全然違うからね。なるべくデジタルで調整するとかせずに監視カメラらしい画質を実現したい。

(古舘)
確かに、リアルタイムでエフェクトをかけたりすれば、なんとかなるかもだけど...。

(三原)
今はそういう機能を実装していないから。

PAGE TOP