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ARCHIVES

アーカイヴと再制作

浮遊するアーカイブズとリポジトリ明貫紘子(キュレータ/アーカイブ研究/EizoWorkshop代表)

2021 04 21

4. 応答その2:作品ではなく出来事を年表で俯瞰する

展覧会やフェスティバルなどの出来事を基点にして資料編成することは、可変的なメディアアートを評価するために有効である。さらに、分散した資料を分類して保管するための白地図を描くために作品ではなく出来事ベースの年表が重要な役割を果たす。

「文化庁メディアアート年表」は、2019年より文化庁メディア芸術連携促進事業の一環で、過去に収集した催事データを活用する形で制作された。現在も継続中のプロジェクトで、「オンライン版文化庁メディアアート年表 Ver.1.0」が公開されている。筆者はリサーチャーとして立ち上げ時から同プロジェクトに従事している。

Fig.14 画像
Fig.14「オンライン版文化庁メディアアート年表 Ver.1.0」1980-90年代部分のスクリーンショット ※7

この年表の特徴は、用語の定義や作品形態が可変的なメディアアートをめぐるさまざまな歴史を併置することによって、視点によって異なる歴史を読み取ることができる点である。さらに、この年表を専門の異なる人々が共有することによって、まだ着手されていないメディアアート研究や資料収集の出発点としても機能させることができるだろう。将来は、この年表を入り口にして、FArSのようなデジタル・リポジトリへ接続させることが理想的である。もちろん、これらがメディアアートのデジタル・アーカイブの最終解決というわけではなく、むしろ、今からは想像できない方法で資料を閲覧したり、再利用される時代へつなげるための通過地点だと考える。

※7 実験工房の活動を起点にして1951年から現在までのメディアアートをめぐるさまざまな活動が俯瞰できる。万国博覧会、フェスティバル、展覧会やコンサートなどの「出来事」を軸にして、それを実施したグループや施設などの「組織」を大きな時間の流れの中に配置して、現在の日本のメディアアートへ受け継がれる文脈の表現を試みる。さらに、メディアアートの「学術的環境」として、高等教育機関と学会、そして、そこに関わった人物も盛り込んだ。

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