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ARCHIVES

アーカイヴと再制作

拡張するアーカイブ[前半]文:林田 新(京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員/大学非常勤講師)

2015 03 24

元来、アーカイブという言葉は、公文書/公文書館を意味していたが、近年、その意味や役割を変えつつある。2014年4月に開設された京都市立芸術大学芸術資源研究センターでは、関連する分野の識者を研究会に招き、アーカイブの理論と実践についての議論を重ねてきた。本小論では、各研究会での議論を手がかりにして、今日のアーカイブについて改めて考えてみたい。

京都市立芸術大学は2014年4月に芸術資源研究センター(以下、芸資研)を設立した。筆者はこの研究センターで非常勤研究員として勤務している。芸資研の活動目的は、京都市立芸大や京都の芸術作品、および、それにまつわる有形無形の様々な資料を芸術資源として捉え、活用可能な形で保存していくこと、つまりはアーカイブにある(※1)。ここでいう活用とは、通常のアーカイブと同様に、研究目的、教育目的、一般公開が念頭に置かれている。それに加えて、新たな芸術作品の創造に向けたアーカイブ活用を目指している点が芸資研の特徴である。

基礎的事業のひとつとして、芸資研ではアーカイブ研究会を随時開催している。毎回、様々な関連分野の専門家をお招きし、アーカイブの理論と実践についての理解を深めることがこの研究会の目的である。2014年度は以下のように全七回の研究会を開催した。

タイトル 日時 講師
第一回アーカイブ研究会
「写真とアーカイヴ──旅行写真、鉄道写真を例として──」
6月25日 佐藤守弘
第二回アーカイブ研究会
「それってテクノロジーと何の関係があるの?」
8月2日 バーバラ・ロンドン
第三回アーカイブ研究会
「記憶/記録/価値──ミュージアムとアーカイヴの狭間で──」
9月30日 平芳幸浩
第四回アーカイブ研究会
「ダイアグラムと発見の論理──アーカイヴに眠る「思考のイメージ」──」
10月31日 田中純
第五回アーカイブ研究会
「アーティストはいつしか作品を作るのをやめ、資料を作り始めている」
12月8日 田中功起
第六回アーカイブ研究会
「チェルノブイリ・ダークツーリズムの実践から」
12月17日 東浩紀
第七回アーカイブ研究会
「映画『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』上映+トーク」
1月19日 藤井光

※1)「芸術資源」という概念、ならびに芸資研の活動内容については、加治屋健司「芸術資源とは何か――京都市立芸術大学芸術資源研究センターの活動――」 を参照のこと。


林田 新 HAYASHIDA Arata

林田 新 HAYASHIDA Arata

京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員/大学非常勤講師。専門は視覚文化論、写真史/写真論。現在は報道写真をめぐる理念と実践に着目し研究を行っている。主な論文に、「長崎の皮膚――『〈11時02分〉NAGASAKI』」(『現代思想』41号、2013年)「星座と星雲――「名取=東松論争」に見る「報道写真」の諸相」(『映像学』第84号、日本映像学会、2010年)、「写真を見ることの涯に――中平卓馬論」(『写真空間』第4号、青弓社、2010年)など。共訳論文にサンドラ・S・フィリップス「森山大道 ストレイ・ドッグ」(『森山大道 オン・ザ・ロード』月曜社、2011年)。

林田 新 WEBサイト
http://www.arata-h.com/


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