AMeeT
ARCHIVES

アーカイヴと再制作

アーカイブ:デジタル特有のあり方寄稿:足立アン(ニューヨーク近代美術館[MoMA])

2013 02 28

「デジタル、インターネットの特性を生かしたアーカイブとはどんな形なのか」。本稿では、私がリサーチ(日本のビデオ・アート、そして実験映画作品やアーカイブ資料へのアクセス、及び配布システムに関する研究)を進める中で考察していることをいくつかあげていく。 また現在私が担当している、ユーザーとのインタラクションを用いて、インターネット上のアーカイブ、リサーチにおける新しいディスコースを開拓していくことを目的とした、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のリサーチ・ウェブサイトを紹介する。

アーカイブとはそもそも何なのかについて考えると、「場所、施設、人々に関する情報を提供する史料や、記録のコレクション」というデフィニションが浮かんでくる。 またデジタル・アーカイブを考える時、一方では「コレクション」というアーカイブの基本的な定義を優先するあり方と、もう一方では「アクセス」というユーザーにフォーカスをおいた情報提供のプラットフォーム的あり方の二つが浮かんでくる。

「コレクション」、つまり作家、作品、組織などに関する情報を集めるアーカイブ・コレクションに焦点をおくと、資料や作品をデジタル化したときの問題点はいくらでも見えてくる。
一つの大きな問題点として「物のマテリアリティーのトランスフォーメーション、または損失」がある。例えばフィルムとビデオのメディアムの違いはデジタル化された時、作品の説明文以外では伝えることができない。また、印刷物や原稿のデジタル化にも同じことがいえる。例えば、本来印刷物をデジタル化し、それを閲覧できる状態にする際には、スキャンしたデータをディスプレイで見せるのではなく、筆記媒体に写して公開する必要があるのではないだろうか。
これはデジタル化における初歩的な問題ではあるが、デジタル分野がますます発達し、デジタルでもオリジナルにとことん近づけるようになってきている今、重要な論点となる。今後、フィジカル(物質)ではないデジタル・アーカイブ特有のオーセンティシティあるいはパフォーマティヴィティとして議論され、実験が行われることで、アーカイブ・コレクションの新たな表現が見いだされるのだと思う。


足立アン Ann Adachi

ニューヨークのビデオアート・アーカイブ Electronic Arts Intermix(EAI)での5年間の勤務を経て、現在はニューヨーク近代美術館 International program 部門、グローバル・リサーチ C-MAP のプログラム・コーディネーター。MoMAでは世界中からアーティスト、キュレーターあるいは研究者を招聘し、南米、東ヨーロッパそして日本の1960年代、70年代の芸術に関するレクチャー・プログラム等を企画、また今春公開のMoMAの新しいウェブサイト「POST」の制作に従事している。2013年1月、MoMA にて刀根康尚氏と飯村隆彦氏を迎えたコンサートの企画を行った。 EAI では日本及び米国における1960年代、70年代のビデオ・アート巡回上映プログラム「Vital Signals」を企画(横浜美術館と共催)、日本のビデオ・アートを紹介する DVD とカタログを出版した(2009年)。ボストンのバークレー音楽院卒業(クラシカルピアノ、フルートと作曲を専攻)、音楽家としても活動している。

post: notes on modern and contemporary art around the globe

http://post.at.moma.org

ニューヨーク近代美術館(MoMA)

http://www.moma.org/


PAGE TOP