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プログラミングを用いた映像制作のコツ 第3回 ~空間制作から考える~ 前半文:神田 竜/Kezzardrix(プログラマ/アーティスト)

2019 11 28

コンサート映像やVJなど、多方面で注目を集めている神田 竜/Kezzardrix氏に、映像制作のコツに関する記事をご寄稿いただく本連載。今回は「音楽に合わせる映像を作る際に、空間制作から映像を考えていく」という視点から、前後半に分けて執筆していただく。本記事のために制作した実践的なサンプルプロジェクトを例に、丁寧に解説していただいており、映像制作者にとって参考になることはもちろん、「プログラミングにおけるクリエイティビティとは何か」を考えるためのヒントとしても意義のある内容となっている。

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筆者は主にプログラミング、俗にクリエイティブコーディング ※1 と言われるツール群を用いた映像表現で、コンサート映像やVJ、MV、サイネージ、アプリ開発などの仕事をしている。最近ではメインツールとしてtouchDesigner(以下、TD) ※2 を使用している。また個人活動以外にも、HEXPIXELSという名義で比嘉了と映像ユニットで活動している。

Yaporigami & HEXPIXELS, the wall

これまでも2度ほどAMeeTさんで記事 ※3 を書かせていただいた。プログラミングでの映像制作の勘所については、こちらも一読して頂ければ幸いである。

本稿では、音楽に合わせる映像を作る際に、空間制作から映像を考えていくというアプローチについて書く。以前の記事では、映像をいくつかの要素に分解して再利用可能なパタンとして考える、という視点を提示した。今回の空間制作もその流れにある。

ここでいう空間制作というのは、主に3DCGにおいて、映像の各要素をどのような空間に置くか、また要素がどのような空間を形成するか、それによってどういう法則が生まれるか、などを意識して制作することを指す。空間制作においては、いきなりTDを触って考えていくのも良いのだが、筆者の場合はHoudini ※4 上で空間をある程度組み上げてから、TDに持って行くことが多い。Houdiniとの連携は、実践編として次回の連載で紹介したい。

本稿で書くことは、いわゆるプリレンダー ※5 CGの人達からすれば当たり前のことかもしれない。しかし、コードやノードをメインツールとして使った場合、中々空間まで目を向けることが難しいのが実情であると思う。近年では、blender ※6 のeevee ※7 やHoudiniのKarma ※8 、ゲームエンジンの隆盛など、リアルタイムCGとプリレンダーCGの垣根が徐々に取り払われてきている。絵筆の選択は最終的には制作者本人との相性に依る、と筆者は考えているが、いつか近い未来にリアルタイムとプリレンダーが漸近した時に向けて、本稿を執筆したいと思う。

※1 この言葉の守備範囲は非常に広い。本稿ではopenFrameworksやノードベースのtouchDesigner、ゲームエンジンなどの環境の元、コードを使って様々な作品を作る行為全般を呼ぶ。

※2 Derivative社によるノードベースの開発環境。Houdiniから派生したため共通点が多い。

※3 神田 竜/Kezzardrix[2013].“プログラミングを用いた映像制作のコツ 第1回 ~パタンの組み合わせと繰り返し~”.AMeeT.2019-11-15参照.
神田 竜/Kezzardrix[2018].“プログラミングを用いた映像制作のコツ 第2回 ~コンポジションによる絵作り~”.AMeeT.2019-11-15参照.

※4 SideFx社の3DCGソフト。ノードベースでプロシージャルなモデリングができる。

※5 映画やアニメなど、事前に生成(レンダリング)された映像の総称。プログラミングによるリアルタイム映像と比較されてこう呼ばれることがある。

※6 フリーの3DCGソフト。有料のソフトと同等に多機能。

※7 blender2.8から搭載されたビューポートレンダラー。ほぼリアルタイムで非常にリッチな絵が出る。

※8 Houdini18から搭載されたUSDワークフローSolarisに対応したレンダラー。CPUレンダラだが、高速なIPRを実現する。

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