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プログラミングを用いた映像制作のコツ 第3回 ~空間制作から考える~ 前半文:神田 竜/Kezzardrix(プログラマ/アーティスト)

2019 11 28

映像のベクトル

前回の記事で映像のベクトルについて書いた。簡単に復習すると、映像全体が上下左右、奥や手前など、どの方向への流れを強く持っているか、ということを筆者は映像のベクトルと呼んでいる。映像をいかに音楽に合わせるか、ということに対しては様々な手法があるが、ベクトルをわかりやすく提示する、というのは一つの重要なアプローチである。観客の視線を飽きさせず引っ張るだけでなく、音楽の展開に合わせて映像のベクトルを切り替えれば、映像も音楽に合わせて展開した、という印象を提示しやすいからだ。

例えば、音楽がAメロの時は奥から飛んでくる線、Bメロの時は左右に流れる線、というようにすると映像も同時に展開しているように見える。

クラブVJでは、上記のベクトルの切り替えを即興的に行って展開を作る。一方で、歌物などのコンサート映像の場合、あらかじめ曲の尺やアレンジが決まっていることが多い。その場合、曲の展開に合わせて、ベクトルの展開を設計しておき、現場ではそれを再現する方が完成度が上がる。

ベクトルの設計だけが出来れば、うまく楽曲に合わせられるので大丈夫、かと思えば実はそうでもなかったりする。ベクトル切り替えのタイミングを合わせても、絵の雰囲気がガラッと変わると良くないと言われてしまう。下記の映像はそれぞれ別の楽曲に対して制作した2つの映像を繋げたものだが、奥に進むベクトルから左右に流れるベクトルに点滅して切り替わる、というベクトルの切り替えは先の例と同じであるため、一応繋がってしまう。

こういった印象の違う絵を切り替えるのが狙いであればそれは問題ないのだが、往々にしてネタが尽きたから仕方なくやってしまった、ということも多い。様々なサンプリングが行われた音楽に対して、コラージュ的にぶつけるのであれば有用かもしれないが、歌物バンドに対する映像のような場合、楽曲ごとに世界観が決まっているので、狙っていない限りは印象を激変させることは避けていきたい。

筆者の経験上、絵の印象が激変してしまいがちという問題は、クリエイティブコーディングだけで映像制作を行った場合に頻出しやすい。

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