AMeeT
TECHNOLOGY

テクノロジー

KYOTO STEAM 特集「国際アートコンペティション スタートアップ展」第1回:アーティストと、3D立体印刷技術の出合いが生み出すレゾナンス(共鳴効果)インタビュー:八木良太(アーティスト)、内本宏(美濃商事株式会社)

2020 01 23

2020年3~4月に第1回が開催される、アート×サイエンス・テクノロジーをテーマにした文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM-世界文化交流祭-」。同フェスティバルでは、京都市内複数会場にて11プログラムが実施される予定。AMeeTでは、その中から新進気鋭のアーティストと企業・研究機関のコラボレーションにより制作した作品を展覧する「国際アートコンペティション スタートアップ展」に注目し、全7コラボレーションのインタビュー記事を連載する。第1弾となる今回は、メディア・アーティストの八木良太氏と、今回3D立体印刷技術を提供するスクリーン印刷の総合メーカー 美濃商事株式会社の内本宏氏にお話を伺った。

プロフィールを読む

インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
取材撮影:表恒匡
取材日:2019年12月10日(火)

1. 美濃商事の3D立体印刷技術

――美濃商事さんは、今回どのようなことを期待してこの企画に参加されたのでしょうか。

(内本)
私たちは印刷加工をしている会社です。印刷加工というのはお客さんからいただいた印刷物を加工してお返しするという仕事ですので、自分たちのオリジナルのものを作るという機会はなかなかありません。今回、コラボレーションで制作したものが世に出ていくということ自体が一つの楽しみですし、その過程で色々な気付きやアイディアをいただけたら、また何か自分たちの製品にも生かせるんじゃないかという期待はあります。

――これまでに現代美術やメディア・アートと関わる機会はあったのでしょうか。

(内本)
私たちの専門分野はグラフィックですので、現代美術やメディア・アートと関わったことはないですね。

――恐らく、美濃商事さんがこれまで行って来たような販促や営業活動とはアプローチが異なると思うのですが、「一体どういうふうに利用されるのだろう…」という不安はありましたか。

(内本)
今もありますよ(笑)。私たちに実現可能なことなのかも含めて、まだどういうものができるかがわからないので ※1 。それが楽しみでもあるんですけどね。

――今回ご提供される技術について簡単に解説をお願いできますか。

(内本)
弊社は長年に渡り、スクリーン印刷加工を手掛けており、特にプラスチックへの印刷加工に長く携わっています。その中で3Dに見えるような印刷を技術開発しました。2000年に特許出願、2004年に特許を取得しまして、その後も様々な改良を重ねています。
どういう印刷技術かというと、プラスチックの表側に印刷でマイクロレンズを形成し、その裏側に微細なドット状のパターンを配することによって、モアレ ※2 の作用で絵柄が飛び上がったり奥に沈み込んでいるように見えるというものです ※3

美濃商事株式会社の3D立体印刷技術のサンプル。
美濃商事株式会社の3D立体印刷技術のサンプル。

――同技術は曲面にも対応しています。レンチキュラーレンズ ※4 のように、かまぼこ状ではなくドット状だからこそ、曲面印刷でも効果を得られるということですよね。

(内本)
そうです。曲面形状の場合でも印刷は平面に行うのですが、印刷し終わった後に成形加工で曲面形状を作っています。

――もともとこの技術は、ビジネスにおいてどのような用途で利用されることを想定していたのでしょうか。

(内本)
アーケードゲームやパチンコ、パチスロなどのアミューズメント機器のパネルがアクリルとかプラスチックを用いたデザインなので、最初はそこに向けて開発しました。

内本宏
内本宏

※1 この日の取材は進捗報告も兼ねており、この時点では作品プランを作っている段階にあった。

※2 「規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。」(“モアレ”.ウィキペディア日本語版.参照2019-12-18.)

※3 詳細な仕組みの解説は美濃商事株式会社WEBサイトを参照。

※4 表面に小さなかまぼこ状の凸レンズがたくさん並んだシート。レンズの目に合わせて制作されたレンチキュラー画像の表面に取り付けることで、見る角度によって絵柄が変化したり、立体感が得られるといった効果を生み出す。仕組みの解説については以下ページなどを参照。
“レンチキュラー印刷の仕組み”.株式会社マル・ビ.参照2019-09-01.

PAGE TOP