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KYOTO STEAM 特集「国際アートコンペティション スタートアップ展」第2回:羊のなる木の伝説と、使い古された遊具たちが現代に示す“境界線”インタビュー:久保ガエタン(美術家)

2020 01 30

2020年3月に第1回が開催される、アート×サイエンス・テクノロジーをテーマにした文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM-世界文化交流祭-」。同フェスティバルでは、京都市内複数会場にて11プログラムが実施される予定。AMeeTでは、その中から新進気鋭のアーティストと企業・研究機関のコラボレーションにより制作した作品を展覧する「国際アートコンペティション スタートアップ展」に注目し、全7コラボレーションのインタビュー記事を連載する。第2弾となる今回は、美術家の久保ガエタンさんにインタビュー。遊具を手掛ける株式会社コトブキと、パブリックアートを専門とする株式会社タウンアートの2社とのコラボレーションについて伺った。

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インタビュアー・編集:杉谷紗香(piknik)
取材日:2019年11月26日(火)

1. 廃材となった公共物に刻まれたストーリー

久保ガエタンさんは、オカルトや神話、伝説など、「見ることのできないもの」を題材につくりあげる映像やインスタレーションを得意としてきた美術家だ。彼の作品づくりの動機は、「近代科学主義とそこから弾かれたオカルティズムを追究し、見えないものを見る、隠されたものを暴くこと」だと久保さんは言う。
また、たとえば、火力発電所の煙突が遊具として生まれ変わったり、戦時中の戦車が解体されて東京タワーの材料に使われたりすることなどにも着目し、あるものが別のものへと作り替えられて生まれ変わるというような、さまざまなものや出来事の因果関係に着目した作品も発表。近年はそこから発展し、自身のルーツをリサーチしてアイデンティティを再創造する制作も行っている。

2019「塑性と蘇生」ARTZONE(京都)
2019「塑性と蘇生」ARTZONE(京都)*神馬啓佑と久保ガエタンによる2人展
撮影:守屋友樹
2019「塑性と蘇生」ARTZONE(京都)
2016「六本木アートナイト」六本木ヒルズ
©六本木アートナイト実行委員会

今回のスタートアップ展で、久保さんとコラボレーションをすることになったのは、100年以上の歴史をもつモノづくり企業の「株式会社コトブキ」と、そのグループ会社でパブリックアートを専門に手掛ける「株式会社タウンアート」の2社。

「コトブキは大正5年創業で、ストリートファニチャー、たとえば駅や公園などのベンチ、看板を手掛ける中で発展していった企業です。1970年の大阪万博のシンボル『太陽の塔』の“顔”の部分も手掛けたと聞いて、とても驚きました」と久保さんは言う。

1979年には、子どものための新しい「コミュニティ遊具」を発表したそうで、「おそらく私と同世代か、それ以降に育った人なら、きっと一度はコトブキの遊具で遊んだことがあるんじゃないでしょうか。そうでなくても、普段訪れる場所で、知らず知らずのうちに触れているほど、国内のいろいろな場所にコトブキの手掛けたプロダクトが導入されているそうです」。

久保ガエタン氏。2019年11月、京都市京セラ美術館にて。
久保ガエタン氏。2019年11月、京都市京セラ美術館にて。

「実は、とても身近な企業だったんです」と笑顔で語る久保さん。さらに、企業のリサーチを重ねるうちに、100年以上の歴史をもちながらも、いまもなお革新的なものづくりに挑む企業だという印象をもった。

「1979年からは都市景観デザインにおける案内図などのサインデザインにも携わるようになったり、1983年には株式会社タウンアートの前身となる事業部がコトブキ内で発足してさまざまな環境・空間へのアートプロデュースを手掛けるようになったりしています。社会の変化とともに新しい発想を取り入れ、多彩なプロダクトを生み出してきている企業だと感じましたね」。

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