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KYOTO STEAM 特集「国際アートコンペティション スタートアップ展」第3回:集積の風景―展示空間に現れる大きな起伏インタビュー:森太三(美術家)

2020 02 06

2020年3月に第1回が開催される、アート×サイエンス・テクノロジーをテーマにした文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM-世界文化交流祭-」。同フェスティバルでは、京都市内複数会場にて11プログラムが企画される予定。AMeeTでは、その中から新進気鋭のアーティストと企業・研究機関のコラボレーションにより制作した作品を展覧する「国際アートコンペティション スタートアップ展」に注目し、全7コラボレーションのインタビュー記事を連載する。第3弾となる今回は、テント倉庫やドームなどの膜天井施設といった膜構造建築物で、世界トップクラスのシェアを誇る太陽工業株式会社とコラボレーションする、美術家の森太三さんにお話を伺った。

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インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
取材撮影:麥生田兵吾
取材日:2020年1月14日(火)

1. 作品のエッセンス―“人の振る舞い”と“手作業の集積”

森さんの作品には、作品と人との関係性に特徴がある。「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015」に出品し、公募大賞 グランプリを受賞した『関係のベンチ』では、六甲山の展望台の開かれた場所に、木片を積層させて作ったカラフルな木のベンチを設置した。

「『関係のベンチ』では、物そのものより、展望台にああいう物が置かれているという状況が大事でした。『六甲ミーツ・アート』開催中の展望台には展示を観ることを目的に訪れる人もいれば、展望台自体が目当ての人も訪れます。展示を観に来た人にとっては作品だし、展望台目当ての人にとってはベンチになる。人が作品の空間に入ってどう振る舞うかに関心があります」。

森 太三『関係のベンチ』  2015年、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015
森 太三『関係のベンチ』 2015年、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2015
撮影:高嶋清俊

また、これまでにある特定の素材を使って、展示空間内に風景を作り出すような作品も多く手掛けている。例えば、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016」に出品した、紙粘土でテーブル上に抽象的な風景を作り出した作品『起伏のテーブル』。風景画のように作家がある眺めを切り取るのではなく、鑑賞者自身がテーブルの周囲を歩きながら眺めを探すような体験が用意されていた。

『起伏のテーブル』  2016年、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016
『起伏のテーブル』  2016年、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016
『起伏のテーブル』 2016年、六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016
撮影:麥生田兵吾

これらの作品は、すべて森さん自身による手作業で作られている。森さんは創作において「手作業の集積であることを大事にしている」と語る。

「2010年頃、粘土で作った小さな球を大量に使った作品をいくつも作っていたのですが、ある人に『球を作る機械を作った方が効率的では』と言われたことがありました。でも僕にとって自分の手で球を作るということは一つひとつ自分の痕跡を残していくことであり、違う球が日々の生活の中で出来ていくことが重要です。自分の身体を通すと作品が揺らぐ。それが大事だと思っています」。

『Rain 2009』 2009年、neutron(京都)
『Rain 2009』 2009年、neutron(京都)
『Rain 2009』 2009年、neutron(京都)
撮影:表恒匡
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