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KYOTO STEAM 特集「国際アートコンペティション スタートアップ展」第7回:妄想を先端テクノロジーで現実化した令和の“奇祭”インタビュー:市原えつこ(メディア・アーティスト)

2020 03 18

2020年3~4月に第1回が開催される、アート×サイエンス・テクノロジーをテーマにした文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM-世界文化交流祭-」。同フェスティバルでは、京都市内複数会場にて11プログラムが実施される予定。AMeeTでは、その中から新進気鋭のアーティストと企業・研究機関のコラボレーションにより制作した作品を展覧する「国際アートコンペティション スタートアップ展」に注目し、全7コラボレーションのインタビュー記事を連載する。第7弾となる今回は、デジタルハリウッド大学院、株式会社ハコスコとコラボレーションを行うメディア・アーティストの市原えつこさんに話を伺った。

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インタビュアー・編集・撮影:杉谷紗香(piknik)
取材日:2020年2月18日(火)

1. 妄想インベンターが見つめる日本の伝承

日本の伝承や習慣、文化を読み解き、テクノロジーを用いて先進的な作品を数多く発表するメディア・アーティスト、市原えつこさん。「妄想インベンター」とも名乗る市原さんは近年、巫女のような白と赤の装束を身にまとい、死者を弔うための人型ロボットを発表したり、仮想通貨を賽銭として奉納できる“奇祭”を立ち上げたりと、想像の斜め上を行くアプローチで独自の世界を展開している。

市原えつこさんと、「デジタルシャーマン・プロジェクト」の人型ロボット
市原えつこさんと、「デジタルシャーマン・プロジェクト」の人型ロボット。デジタルシャーマン・プロジェクトは、故人の顔面を3Dプリントして装着した家庭用ロボットに、死後49日間だけ故人の人格が出現し、49日を過ぎると自然消滅するプログラム。

「Designing death | Etsuko Ichihara | TEDxUTokyo」(YouTubeより)

今回、スタートアップ展でコラボレーションを行うデジタルハリウッド大学院と株式会社ハコスコと市原さんは、これまでにも何度か一緒に制作を行っているそうで、

「最初のコラボレーションは、日本の性文化をテクノロジーで表現した『セクハラ・インターフェース』という作品のアップデート版です。セクハラ・インターフェースはは大学時代の卒業制作で取り組んだもので、大根を手のひらでなでると静電容量式センサーによって人の接触に反応して悩ましい声が聞こえるという作品なんですが、それを『SRシステム』と連携させて2013年に発表したのが、『妄想と現実を代替するシステムSRxSI』。その際、SRシステムを開発・提供してくださったのが、デジタルハリウッド大学院でVR研究を行っている藤井直敬教授でした。藤井教授は株式会社ハコスコのCEOでもあります」。

「藤井教授はその当時、『SRシステム』の開発にも携わっていたんです。SRシステムは視覚と聴覚をハッキングして、虚構と現実の境界をないまぜにする先端技術で、ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンが組み込まれたAlien Headを装着して体験します。 藤井教授とコラボレーションした『妄想と現実を代替するシステムSRxSI』では、仮想の世界に現れた美女にふれることができ、体験者の興奮度合いによって仮想の世界のストーリーが変化します。ほとんどの体験者が恍惚とした表情を浮かべるのですが、はたから見ると大根を触ってニヤニヤしているだけという(笑)、そんな作品ですが、2014年の『第18回文化庁メディア芸術祭エンタテインメント部門 審査委員会推薦作品』に選出されました」。

『妄想と現実を代替するシステムSRxSI』(YouTubeより)

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