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映画監督 柴田剛の選ぶ映画/映像作品9選 2014-2015 第2回(全3回)
~スターマンズ・ビジョン~文:柴田剛(映画監督)

2016 06 11

3. 『SIRIUS』

シリウス 予告編(フルバーション)

2014年10月のある日の早朝に、自宅のマンション駐車場で、プルルンとしたグミのような質感のオレンジ色した発光体を視た。愛犬家の住倉カオス夫妻とその愛犬モグを見送っているときだった。「うわああっ!出たっ!ほらっ」おもわず声を上げてしまいすこし恥ずかしかったが、中空をみるとソレも『ビクッ』とリアクションして左のほうへスゥーッと流れて飛んでいって消えたのだ。いきなり出てきて眼が合っちゃったのでソレも内実驚いてたのか?もしくは驚かせてごめんってことか?何気なーく消えてった様子も、まるで人間とおんなし生命体のように感じられた。ソレが浮遊してた高さが、ちょうど自身の目線くらいだったのでとても動転したが、モグからじーっと見つめられていることに気づき我にかえって深呼吸した。動揺する自身を見ていたのはモグだけだったが、なんだか余計に汗をかき冷えてしまった。投稿型怪談ウェブサイト『百万人の怖い話』主宰の住倉カオス氏は中空の発光体に目もくれず、モグに「いこうね。わかったから」と声をかけ、自身に「それじゃまた」と言って帰っていった。発光体より愛犬と怪談か。おなじ場所にいたのに。悔しいがまあいい。

その翌月、山口県でも同じ様なことが起きた。YCAMで滞在映画制作をするためにはじめて行った山口でのロケハン初日の終了時。プロデューサーの杉原永純氏が「陽も落ちたのでここで解散」と告げたので、YCAM専用駐車場に車のハンドルを切って道を曲がった。その瞬間、目の前の上空をピッカピカした黄緑色の発光体がすごい速さで飛び過ぎていった。4度フラッシュしたのを覚えている。そのたびにスピードを速めて、目前の姫山の方角へ路上と平行にまっすぐ飛び去っていった。「杉ちゃん、今の視た?」「みたよ」あっさりとした返事が返ってきたので、それを含めてとても驚いてしまった。

それまで空に浮かぶ発光体のことを、TVかパソコンか友人の撮った映像か写メールなどなどでお目にかかる、自身とは距離をおいたところに存在する“謎”だと感じていた。今回の一連の出来事が、自身にメッセージ色豊かに向けられていることだと気づき、それにいちばん驚いたし収穫だった。山口で作る新作はちょうど発光体を見に行くことを構想している映画なのだから。宿舎に戻り、目撃報道があるか調べると同年同月に九州地方で撮影された動画や写真が大きく報道されていた。空港管制塔や車載カメラに相次いで撮影されたその黄緑色の発光体は、自身が視た発光体とまったくおなじ形状をしていた。立て続けに自身の目の前で起きた体験のはなしを前置きにしているということから、この海外映画『SIRIUS』がドキュメントしている内容を察してもらえたと思う。

スティーブン・グリアー博士というアメリカ出身の元医師は、かねてから活発的に地球外知的生命体にまつわるすべての事柄の情報開示を国に訴えてきた。彼はUFOディスクロージャー・プロジェクトという機密事項の情報公開要請プロジェクトを立ち上げ、地球外知的生命体の研究から生まれた科学技術が一般市民の生活向上にむけられず、新型兵器の製造・研究や核の行使に利用されてきた実態を問題視し、しかるべき情報公開をしない母国へむけて一般公開をうながすなどの活動を行っている。このプロジェクトの一環として、彼が設立したCSETI(地球外知性研究センター)が2001年5月9日、ワシントンのナショナル・プレス・クラブに20数名の証言者を集め、政界人や世界の著名なメディアの参加のもとで記者会見を行った。この記者会見の様子を収めた2時間弱の記録動画は、当時YouTubeの再生回数最高記録を出した。これに関しては日本語字幕版がYouTubeにあがっているので、時間の余裕があるときにじっくり見てみたらいい。

『SIRIUS』は「UFO機密情報公開」「フリーエネルギー研究」「地球外生命体との相互コンタクト活動」「アタカマ・ヒューマノイドの医学的調査」という4つのテーマを扱った映画だ。彼の活動とそれを支える人々のドキュメントになっているところがちゃんと映っていて、とても好感がもてる。みなで集まって空ばかり見ている。マグライトのビームで合図を送るといきなり発光体がおかしみのある動きで登場する!同映画内でデッドマンズトリガー(この言葉は映画内で「退路を絶たれた人間の最後の手段」というような意味で使われている)と紹介されてる博士に物騒な気配は感じられないが、筋トレの体躯をみて、彼を取り巻く偏見と攻撃の気配は目に焼きつく。

どれもはじめて見るひとには面白いトピックばかりだろう。不思議な骨格をした人類らしい15センチの黄色い謎の生物の遺体!が博士のもとに届いたので解析するシーンや、発光体の接近遭遇体験談を要人高官が語っているシーン!そして、市民が“UFO”っていうフレーズを“怪しい”と思うように報道をコントロールしてきた政府要人達と、 戦争商売をつづけてきた軍産複合体が、どうやら同じ秘密を共有しており、それが今日まで歴史上に着々と積み上げられてきたということを解説するシーンなど、枚挙にいとまがない。世界経済の仕組みを健全にしていくエネルギーの流れの原理であり、あたらしい潮流になろうとするフリーエネルギーを紹介し、すでに実用段階であることを明らかにするシーンも。311が起きて以降に出回った数ある映像作品のなかでひときわ異彩を放って目にとびこんできた、これまた海外作品の『スライブ(Thrive)』と『SIRIUS』とは親和なポジションにあるとおもう。

この映画『SIRIUS』の視点は、地球人が地球外知的生命体にむけた交流に置かれている。もちろん人類にとって関心がとても高い事柄なのだから“交流する”っていうこの視点の置き方は頷ける。日本でもちかい視点で作られた作品があるかな?って考えたところ、これと似た鑑賞後の気持ちが味わえた作品がひとつ浮かんできた。それは都心中心部に住む映画人の小川紳介氏が、地方の米作り生活に視点を見出し、地方に移住して、移住後の監督自身の人生を映した映画『1000年刻みの日時計 牧野村物語』である。どちらからも“根気根性”という質感が画面から感じられたからだ。『SIRIUS』に被写体として映るスティーブン・グリアー博士の“根気根性”と、『1000年刻みの日時計 牧野村物語』を完成させた小川紳介監督の“根気根性”にひとつ図抜けた“優しさの凄み”という共通点を発見した。宇宙世界に開けた交流をする空気が画面全体から漂っている。語られこそしないが画面からちょっと垣間見れる内省的な空気も、明るい。それは希望っていう発光体にちかい。

今年、この映画『SIRIUS』の日本配給をしているグレゴリー・サリバンさん(JCETI 日本地球外知的生命体センター)とロフトプラスワン WESTでおこなわれたイベント『UFO祭り』で会った。彼は気さくに笑って「おなじ年代の方とこうした場所で会って話せるのは非常に嬉しいですね」と言い、つづけて「いつも年上の方が多いんです!」と。おもわずこちらも爆笑して、「そうなんですか、でもわかる気がする」と返した。先にJCETIの活動を紹介すると、映画『SIRIUS』の上映活動の他、日本全国で『CE‐5コンタクト(第5種接近遭遇)』を定期的に行っている。『CE‐5コンタクト』は空の見晴らしと抜けの良い場所に宿泊し、天体観測スタイルで友好的に発光体と交流をする会。参加者に年配の方々が多いのが頷けるのも、彼らの若い頃に大々的な超常現象ブームがあったからだ。

この『UFO祭り』の壇上席に座りながら、会に来られたお客さんたちを眺めていて思い出すことがあった。オレが中学高校時代、1990年代中頃になるとTVでは否定肯定の拮抗がウリの番組がすっかり多くなっていた。極めつけはオウム心理教に関する一連の事件が起ったことで、これと似たタグにさわるキーワードは十把一絡げにされ、信じちゃ危険なまがい物扱いになった。自身が育ったのはそのような時の空気の中。蓋をしなくてはいけない気持ちにさせられたというか、そんな過去に改めて気づいた。

しかし、この歳になって肩の力を抜いて話してみると、友人知人やその周囲から、子供の頃に出会った不思議な出来事の話など、面白い話がこれでもかとざくざく出る。いままで感じてた自粛感や侮蔑感はなんだったんだ!ただ自身の妄想だったのか!後悔先に立たぬようにこれを記録し続けて、さらにターゲットを決めて取材へ向かうなどして、今に至っている。いずれはまとめて編集発表するので期待しておいてもらいたい。

“怪しいものについて語るのはとりあえず自粛しておこう”といった時代空気のなかでも、一見アンタッチャブルなように見えるテーマを扱いつつ、ヒョイっとカメラ1つもって「ごめんくださいー」って入っていくドキュメント作品もあった。撮影・観測・編集がコンパクトになったことでそういった作品が増えたし、今後よりコンパクト化が加速することで、さらに増えていくだろう。そのような時代の中で、最も映画、映像作品が生まれるきっかけになるのは、超常現象がすぐ身近な周辺で起きたときではないだろうか。「一体なんだ!?」っていう目撃や遭遇と「なんだこれ?撮ろう!」っていう衝動が降り積もって、作品制作に走るきっかけになっていく。

UFOいるのかな。あ、いた!撮ろう!友人が作っちゃった簡易フリーエネルギー機を紹介しよう!瀬戸内海にとつぜん現れた発光体と対話してみよう!あっちの世界に行った記憶を語ってみよう!それをアップしよう!編集が雑なままYouTubeにアップするより、もうちょっと丁寧にこさえて見せたい!上映活動も!ってなると作品活動がはじまる。こういう連鎖は楽しいし、こういう連鎖の先に『SIRIUS』のような作品を撮る若い人がたくさんでてきてほしい。この映画『SIRIUS』を見たからなのか、時の知らせか、はたまた幼少の頃からの記憶が影響しているのか、この数年各地で発光体をはっきり見えてると自覚できてる自身とも照らし合わすことができるので、なおさら嬉しい。この文章を読んでいる皆さんにおおいに期待している。

このいまの世界のだいじな真実を受け入れるためには工夫が必要で、それをみんなですることはむつかしいかもしれない。だけど、まず受け入れて動いてみることだ。害虫を駆除することなく受け入れる工夫をしてみる。減点の方式よりも足し算の方式を見つけて相手をみてゆく、次をクリエイトするってことを受け入れるために工夫してみる。相手のことを、そっくりそのまま自分のことだと気付く余裕をもって、いろんな思惑を外した先に“脱力”とはなんだろうって、知る。脱力っていうのは、いろんな思惑を脱ぎ捨てて、無心になっていったその先に、なかば投げやりになったような境地を指す。案外、そんなときこそものごとがスーっと自然な感じでうまくいくものだ。以前、「合気の姿勢は脱力」だということを合気の師範をしている宮司から聞いた。「脱力とはなんですか?」って聞くと、宮司は「脱力とは、なんも考えんことなんです」と。なんも考えないっていうのが、案外むずかしい。いまだに自身でもわからない。そのために“空気”が先なのか“制度”が先なのか。誰が最初にはじめてくれるのかなんて待つのではなく、自分からはじめる。

今、おのおのが自分の直感をその都度世界の急速な変化状況に照らし合わせて、「答え合わせ」をしながら紡いで前進している。そのことが身近に感じられる。社会へ接続するときに、平衡をとりながら世界での身の置き所を築いていくスピードがものすごく早くなっている。年々加速してるのではないだろうか?個人だけじゃない。空気も、制度でなんとなく決められた集団もどんどん早く決断する社会になっている。映画/映像活動に大きく影響を与える加速感を手づかみで感じられるような出来事や事柄が、ここ数年の日本に沸とうして溢れんばかりに転がっている。そのようなことを以前『堀川中立売』という、自身が監督をした映画の現場で録音の東氏と話していたら、東氏から「実際微妙に時間自体がちょびっと早くなってきてるっていいますよ」と聞いて、へぇーっと驚いたことがある。あれから7年経ったいま、もっとそうなっていてなんだかとてもワクワクする。今回、この特集の第二回目にあたる『スターマンズ・ビジョン』っていうテーマタイトル、編集の中本氏がつけた真意はここにある。空でスターマンが待っているんだ。

作品情報

DIRECTED AND SHOT: AMARDEEP KALEKA
PRODUCED: JD SERAPHINE AND JARED BONSHIRE
EDITED AND WRITTEN: LAURIE KNAPP
BASED: THE BOOK “HIDDEN TRUTH,FORBIDDEN KNOWLEDGE”
SOUND DESIGN: NEW NORTH SOUND
MUSIC: TODD RICHARDS, PETER KATER, AND MOBY
映画『SIRIUS』ネット配信先: Vimeoにて映画「SIRIUS」を期間限定(2016年6月末まで)で無料公開しています。以下URLよりご覧ください。
https://vimeo.com/167435524/d2dba92d57
映画『SIRIUS』日本語サイト: http://sirius.jceti.org/
JCETI 日本地球外知的生命体センター
WEBサイト:
http://www.jceti.org/

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