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TECHNOLOGY

テクノロジー

知的体験をさらに豊かにする文化施設空間をめざして中村佳史(国立情報学研究所連想情報学研究開発センター)

2011 05 25

2. 高精細画像で文化財を楽しむ「Powers of Information 徳川美術館」

徳川美術館で常設している「Powers of Information 徳川美術館」は、徳川美術館と連想センターが共同制作した高精細デジタルアーカイブ閲覧サービスである。徳川美術館は言うまでもなく、御三家筆頭の尾張徳川家の家宝を中心にした日本文化の代表的作品を所蔵している日本を代表する美術館である。

「Powers of Information」は、タッチパネルモニタで文化財を高精細画像とともに鑑賞できるシステムで、当センターが開発した。画面へのタッチにより、ユーザをカテゴリーからテーマや作品へと誘う、奥行感のある重層的なナビゲーションが特徴。「Powers of Information 徳川美術館」では、本システムおよび65インチ大型タッチパネルモニタを活用して、徳川美術館の代表的な所蔵作品のべ972点を楽しむことができる。収蔵品を同館のコレクションにふさわしい「武具・刀剣、茶道具、絵画、調度品」などの12の分野から幅広く辿ることができる。1つの分野は9のテーマから成り立っている。さらに1つのテーマは9の作品から成立しているので、12×9×9で、972点の作品を収録する。作品は1点ごと迫力のある高精細画像で鑑賞することができる。

徳川美術館ロビーに常設されている「Powers of Information 徳川美術館」を搭載した65型大型タッチパネルディスプレイ

徳川美術館ロビーに常設されている「Powers of Information 徳川美術館」を搭載した65型大型タッチパネルディスプレイ

本サービスのねらいは、劣化や破損から守るため、美術館で常設展示はできないものの、その館の代表的な収蔵品を幅広く来館者に観てもらうこと。また実際に展示されている作品については、作品保護のため照明を暗くしていたり、陳列ケース越しで細部をなかなか鑑賞できないという欠点を、デジタル画像と大型のディスプレイを使って解決すること。さらに、来館者、とくに子どもに、全身を使って収蔵品情報に触れる機会を設け、収蔵品そのものや美術館、美術に関心をもたせること、などが挙げられる。

実際に、昨年(2010年)10月に一般向けに公開し約半年が経ったが、その間、多くの来館者が操作し、コンテンツを楽しんでもらえている。また館のスタッフには、収蔵品についてより詳しい解説をしたいときや、館の全体像を説明するときに有効に活用してもらっている。収蔵作品を画面いっぱいに拡大して細部まで閲覧する。実物とは一味違った鑑賞体験を楽しんでもらい、館内での鑑賞体験との相乗効果で、作品に対する関心を上げることに一役買っていると考えている。

学芸員が来館者を前に詳しい解説をする。明るい画面で細部を拡大しながら解説できるので、分かりやすい

学芸員が来館者を前に詳しい解説をする。明るい画面で細部を拡大しながら解説できるので、分かりやすい

収蔵品を12のカテゴリに分け、1つのカテゴリは9のテーマで構成される。各テーマは9つの作品から構成されている

収蔵品を12のカテゴリに分け、1つのカテゴリは9のテーマで構成される。各テーマは9つの作品から構成されている

作品は高精細画像で細部まで鑑賞することができる

作品は高精細画像で細部まで鑑賞することができる


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