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TECHNOLOGY

テクノロジー

AR(Augmented Reality=拡張現実)を実現する技術文:亀山 悦治(Knowledge Works/RIAソリューション事業部 事業部長)

2010 03 01

ARを実現する技術

一概にARと言っても多くの技術が存在する。 デバイスで大きく二つに分けると、PC用と携帯用だ。それぞれについて代表的な技術とその概要を紹介する。

PCで実現するARの技術

Total Immersion – D’Fusionシリーズ
フランスの企業で、1999年からARに取り組んでいる。Total Immersionはもともと3Dオブジェクトを利用したエンターテイメントの分野から始まっており、映像制作、テレビ局(テレビ番組内)、映画や自動車等のプロモーション、イベントでの利用等の事例が比較的多い。
開発に、D’FusionシリーズのStudio版を使用する場合はWindows環境で行う。3Dオブジェクトは、Autodesk社のMaya等を使用して製作したものを、D’Fusionに取り込んで実装する。
高度なグラフィックを使用することに長けており、白黒の四角いマーカーは使用せず画像や絵などのイメージをマーカーにしている。

特に有名な事例には、下記のものがある。

  • 映画 Avatar(アバター) - MACとのプロモーション、CokeZeroとのプロモーション
  • 映画 Transformer(トランスフォーマーズ) - なりきりAR)、3Dモデルアニメーション
  • フランスのアミューズメント Futureoscope park - Hidden Reality ride - Dark ride attraction
  • シトロエン - Webサイトでの自動車プロモーション
  • グリーティングカードを提供する Hallmarks のプロモーション
  • ATOL社のメガネ試着シミュレーション

metaio - Unifeye
ドイツの企業で、2003年に自動車会社のフォルクス・ワーゲンに所属していたエンジニアが独立して立ち上げた。その関係もあるせいか、工業製品に対する取り扱いが比較的多い。工場の什器配置シミュレーション、家具配置シミュレーション等が比較的目立つ。
Windows PCにインストールし単独のPCで使用するタイプ(キオスク端末=Online type)、IEのプラグイン又はShockwaveを使用してブラウザで動作させるタイプ(Offline type)を用意している。PCにインストールするタイプについてはWindowsXP、Vistaで動作するようになっている。開発はC#等でで実装する。3Dオブジェクトの製作には、例えばAutodesk社の3dMax、Maya等の3D制作ツールを使用する。そのデータを取込んで動作設定のフローを組み込む。
Shockwaveで動作するARを実現する場合、開発はAdobeのDirectorを使用しmetaioが用意するライブラリを組み込む。比較的高度なグラフィックを使用するため、グラフィック性能が高いPCを利用して動作させることが望ましい。
マーカーは白黒の四角のタイプか写真、絵などをマーカーとして利用する形式の2種類が有る。白黒の四角のタイプの方が情報が単純なだけ認識率が高いようだ。

AR-Media - ARSights
GoogleErth上の世界各国の歴史的な建造物の場所に ARSights の「目のマーク」をしたアイコンを配置しており、その建造物の3DオブジェクトをダウンロードしてARを体験することができる。モデルそのものは、Google ScketchUpを使用して作成されているようだ。ARを体験する場合は、予め GoogleEarth と ARSights 実行用アプリケーションをインストールする必要がある。

ARToolworks - ARToolKit
商用ライセンスが利用出来るようになったため、研究者のみならず一般企業でも安心して利用できるようになった(NyARToolKit、FLARToolKitもこのライセンス体系に準拠している)。ライセンス発行を含め、取り扱いはアメリカのARToolWorksが担っている。2009年になり日本でライセンスを取扱う会社が出来たことは記憶に新しい。

ARToolworks - NyARToolKit
NyARToolKitは、ARToolKitをJAVAに移植したものである。日本のA虎氏が実現した。単にC++で実装されたARToolKitをJAVAに移植して利用出来るようにしただけではなく、処理を高速化した。そういう意味では非常に重要な役割を担っている。JAVAであれば基本的にプラットフォームは選ばないため、Windows以外でも動作するようになった。そして、NyARToolKiから次に説明するFLARToolKitが生まれた。

ARToolworks - FLARToolKit
NyARToolKitをFlash(Action Script)に移植したもの。日本のSaqoosha氏が実現した。今までのARとは異なり、ブラウザ内でFlashとして動作させることが出来るようになった。ARが飛躍的に普及するきっかけにもなった。実際にこのFLARToolKitを使用したプロモーションサイトは、2009年頃から多く見受けられるようになった。開発はAdobeのFlash CS3、AdobeのFlex3等で行うことが出来るため、デザイナーにとっても取り扱い易い環境が整備されたことも普及した大きな理由だろう。また、3Dオブジェクトの制作にはフリーで使用出来るPapervision3Dが使われることが多いようだ。 Flashベースでの制作になるため、自動車や建築物などをリアルに表現したい場合には相当な工夫が必要だ。事例について説明すると、GE(General Electric)社の風力発電をテーマにしたARが有名だ。誰でもGEのサイトでARを試すことが出来るようになったため、Youtubeにも多くのデモ動画がアップされた。

FLARManager
ARToolKitは単独のマーカー認識のみであるため、2つ以上のマーカを同時認識させるとしたら容易ではない。この FLARManagerを使用することで、2つ以上のマーカを認識させることが出来るようになる。例えばあるマーカーで表示されている3Dオブジェクトに、もう1つのマーカーを近づけることで異なる動作をさせることが出来る。


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