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EVENT REPORT

イベント・レポート

琳派400年記念 植物園 de RIMPA「PANTHEON ― 神々の饗宴 ―」
〜髙橋匡太ライティングプロジェクト〜

2015 10 31
会 期: 2015年9月27日(日)~10月11日(日) 18~20時
※夜間再開園(入場無料)
会 場: 京都府立植物園
http://www.pref.kyoto.jp/plant/
〒606-0823 京都市左京区下鴨半木町
電話:075-701-0141
撮 影: 村上美都

本阿弥光悦が徳川家康に鷹ケ峯の所領を賜り、職工人たちとともに光悦村を拓いて今年で400年。光悦より約100年後の尾形光琳によって大成されたとされる美意識は、そこからまた約200年を経て、大正時代の美学者に「琳派」と名付けられた。特定の人々によって伝承される「流派」とは異なり、琳派は、町衆がリードし、誰もが自由に享受できた。が、自然物を対象とした装飾性の高い意匠というほか、現代では、贅沢品や伝統産業の周囲に確固としてあるにはあるが、アウトラインは曖昧なまま漂うばかり。琳派が現代の表現と出逢ったり、批評の軸となり得る機会は少なかったと思う。筆者にとっても、注視する機会は初めだ。かつての豊かな京を象徴する琳派と、現代美術やその他の現代表現を素直に結びつけるには時間がかかった。

今年は、年間をとおして、伝統工芸から現代美術まで、京都市内各所で記念の催しが開催されている。その中の京都府主催「植物園 de RIMPA <PANTHEON ― 神々の饗宴 ―>」は、府立植物園観覧温室前の「鏡池」に、ヤノベケンジ氏(現代美術作家)、増田セバスチャン氏(アートディレクター)によるRIMPAの神々をモチーフとする3体の巨大作品「風神」・「雷神」・「花の女神フローラ」が次々と降り立つという、5月から順に設置された大規模なインスタレーション。最終章の9月下旬、植物園が特別に夜間開園され、国内外において数々のライトアップで活躍する高橋匡太氏の光の作品が観賞できた。

3体の巨大作品を照らすほか、高橋氏独自の表現として、壮大なクスノキの並木をLEDで照らす「光のクスノキ並木」と、子供たちが制作にかかわった「ひかりの実」3,000個が取り付けられた木々。ほぼ暗闇となる夜の植物園に光のうねりが現れ、古木群が生き物のように蠢き、「ひかりの実」がホタルのように見えた。光あってこそ闇が強調されるのだろうが、木々の間は、手探りするような暗さである。金箔をふんだんに施した琳派の絵画もまた、蝋燭の手灯りの中で壮麗に浮かびあがったのだろうか。あるいは、琳派の絵師や職工人は漆器の表面に無限の空間を覗き見て、豪奢な衣装からこぼれ出る自然のうねりを表現したのかもしれない。クスノキ並木に立ち、LEDの光の波に飲まれ、光が過ぎると暗闇に取り残される。そのとき、琳派のもっとも面白い点は、光のように自由に支持体を選んだということではないかと思った。器や調度品や衣装など、暮らしを彩る品々のいずれもが表現の支持体である一方、支持体の既存の形を逸脱し、産業やディープな愛好家や上層町民という人々が視覚の世界を拡大していこうとした。それが、琳派の時を超える力ではなかったかと感じたのだ。暗闇に取り残される瞬間にこそ、金箔の輝きが眼に浮かぶ気がした。
さて、琳派400年記念催事から気分を変えて光悦寺に赴くと、そこは、静かな宗教の地としての鷹ケ峯であって、光悦がなぜそこに住まねばならなかったかとさまざまな想像がはたらく。「菅原道真が風神、本阿弥光悦が雷神」と京都生まれの知人は冗談のように言うが、それは本当かもしれない、はたまた重なったり捩じれたりする京なのだと、最近とみに感じるようになってきた。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

参考:

琳派400年記念 植物園 de RIMPA「PANTHEON ― 神々の饗宴 ―」は、2015年7月25日(土)~10月25日(日)開催。

展示プログラム

序章 「雷神―黒い太陽」 5月26日(火)より
1章 「フローラ降臨」 7月25日(土)より
2章 「風神の塔」 8月13日(木)より
最終章 「New Generation Plant」 9月中旬より
村上美都
村上美都
村上美都
村上美都
村上美都
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