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EVENT REPORT

イベント・レポート

明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」

2015 06 17
開催日: 2015年4月25日 13時/14時半
会 場: 京都芸術センター 大広間
主 催: 京都芸術センター
内 容: ダンス:「Play time」平井優子・前田英一
語り:「縄文をあそぶ、かざる」
中村大/立命館大学グローバル・イノベーション研究機構
器:黒漆碗型土器 銘「二本松」吉田二本松町遺跡出土 2015年制作
黒漆碗型土器 銘「常盤」常盤井殿町遺跡出土 2015年制作
松井利夫/アート&アーケオロジーフォーラム事務局
注器:瓢彩漆注器 銘「夕顔」自家栽培の瓢箪に加漆 2015年制作
松井利夫/アート&アーケオロジーフォーラム事務局
衣装:「葛布の野草染め貫頭衣」前田征紀/COSMIC WONDER
茶と菓子:「桑茶、鬼胡桃と麻の実おこし、どんぐり団子、白桑実」
加藤祐基/光兎舎
装身具:「土鈴」小山真有
床:縄文中期顔面付深鉢(復元)
石亀遺跡 縄文晩期 注口土器、鉢、土偶、岩偶、土器片
平安宮高倉宮下層遺跡 縄文晩期 土器片
舞台監督:小川しゅん一
席主:超京都(代表:松尾惠)
撮 影: 森川諒一

明倫茶会は、京都芸術センター開設以来、開催してきた「さまざまな分野で活躍する方々を席主に迎え、それぞれの個性でもてなす茶会」。

開催趣意書には、「(前略)千利休は、礼儀、書画、工芸、建築、詩歌、生花、能、狂言、料理など、生活芸術・芸能芸術のすべてを採り込んだ新しい〈芸術〉として創り出したのだった。
そんな思いを、いまあらためてそれぞれに大切にしながら、茶の持つ深い歴史の香りと柔らかな拡がりの味を、さまざまに楽しみ合いたい。そして、そこから語らいの輪と発見を得ることが出来たら、と願って〈明倫茶会〉を発足させる。それは、市民と、それぞれの専門世界を生きる人びとが、ひとつに集い語らい、〈茶〉の起源へ心を傾けていく場。さまざまな〈生活〉とさまざまな〈芸術〉が出会いをくり返し、そこから巧まずして〈なにか〉が生まれ出るとしたら、そのとき、かつての茶の道が開かれたその意義を、いま、われわれの内部に芽吹かせているのかもしれない。」とある。

この4月、筆者が事務局代表である「超京都」が席主をつとめ、茶会型パフォーマンス「超縄文」という喫茶空間を提示した。「超京都」は、現代美術の見本市や企画展の名称であり、2010年より杉本家住宅(現重要文化財)、名勝渉成園、平成の京町家を会場に開催し、今年は、この明倫茶会開催日をふくむ3日間に、京都文化博物館と大正期の町家「ちおん舎」において、見本市と企画展を開催した。明倫茶会の依頼を受けた約1年前から、現代美術と茶の空間をどのように結び、何か新しい出来事へと発展させられないかと悩み続けた。また、同時開催の「超京都」をメタ的に解釈するリアルな場としても活用したかった。そして、ようやく辿りついたのが、アート&アーケオロジーフォーラムの人々との共同作業。来夏、京都で開催される世界考古学会議の準備に携わる人々との出会いがきっかけである。もっと言えば、ある歴史学者の「京都の地中わずか2メートルの深さに縄文時代(の地層)がある」というひとことが大きな動機となった。現代美術とは何かという根源的な問いが、それによって衝撃的に氷解したからだ。

考古学とは、文字ではなく、遺構や遺物といったモノから人類の営みを解き明かす学問である。縄文時代は、約1万6500年前から3500年前であったと聞く。1万年以上営々と続いた人々の暮らしは、想像という言葉の範囲さえ超える。と同時に、1万年以上前に対して想像を膨らませることができるなら、1万年先を想像することも同じ精神の働きだと感じる。感覚がついていかないとか難解といわれる現代美術についても、もの言わぬモノ(作品)の来し方と、歴史のずっと先での役目を想像することなのである。

「超縄文」は、現代ダンス・身体表現のアーティストに、まだ謎の多い土偶ポーズから当時の人々を想像するところが出発点だった。アート&アーケオロジーとは、芸術・考古学それぞれの知識や理論や経験値や想像力によって、互いに思考を切り開く試みである。このたびの身体表現は、鏡や文字のない縄文時代のコミュニケーションがテーマである。その動きを軸に、それぞれのクリエイションにそれぞれの「縄文」を取り入れた衣装、飲み物、菓子、器が新たにつくられていった。葛の繊維を野草で染めた衣装、縄文遺跡から見つかるという果実や木の実を用いた菓子・桑の葉を茶に見立てた飲み物、実際の遺跡の土をベースに焼いた器。

大広間に30人の客がめいめいの仕草で座る状況は、想像という無形の広場で起こったピクニック。客の手元には、約4000年前の土器の欠片が配られ、触れてもらうことができた。手に付着する土もまた、4000年前から来たものである。床の間にも器や土偶・岩偶が並び、考古学者、歴史学者の説明や語りを聞かせてもらった。

茶会型パフォーマンス「超縄文」では、人々の欲望や欲求がただただ堆積してきた平安時代以降の京の都、その地表に生きているという感覚を創出したかった。社会全体が手詰まりにさえ感じる今、現代美術には遠い先へと痕跡を残す役割があるといってもよいのではないか。パッケージされた制度や施設を脱走することから、表現は次の時代へと進むのではないか。考古学との出会いは、このたびの参加アーティストそれぞれに小さからぬヒントとなり、表現者の身体と空間は制度や施設から自由だということを共有したように思っている。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」
明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」
明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」
明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」
明倫茶会「茶会型パフォーマンス 超縄文」

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