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EVENT REPORT

イベント・レポート

第3回「DRIFT@KCUA-CAFÉ/漂流するアクアカフェ 」(非公開)

2015 01 16
会 期: 2014年12月27日(土)
会 場: 徳正寺
京都市下京区四条富小路下ル

芸術を仕事とするのは、社会における<漂流民>の感覚だ。だから、今回「DRIFT@KCUA-CAFÉ/漂流するアクアカフェ 」の対談の中にあった<芸術=(生きる)技術である>という言葉は、強い実感をともなって響く。あるがままの世界を理解するにも疑ってかかるにも想像力は不可欠で、それらを伝えるには創造性が必要なのだ。この時代、この世界、この国で生きていくうえでの芸術とは、より逞しく生きるための高度な漂流の方法といってよいかもしれない。開校以来、京都市内を転々としてきた京都芸大も、近現代社会という大海の漂流体のようであって、そのときどきさまざまな漂流民を乗せながら生きてきたといえるだろう。度重なる移転の歴史を見ると、時代の波を乗り切ってきた人々の熱が伝わってくる。

いま、社会を漂流するのは芸術家にとどまらない。芸術家のそもそもの漂流感覚は、これから先、種々の理由や状態で漂流する人々の案内人として繋留点や漂着地をつくることができる。セーフティーネットの結節点として、この時代に町の混沌の中に芸大があり、芸術家が存在することは、大変な救いであるように思う。

京都市立芸術大学は、2024年頃、1980年来の現在地からJR京都駅の東の崇仁地区に移転する。「DRIFT@KCUA-CAFÉ/漂流するアクアカフェ」は、移転を見据え、井上明彦教授とプロジェクトメンバーを中心とした<未来の京都芸大を考える>移動型プラットフォームである。大海にある京都芸大を曳航するボートのひとつといえるだろう。政治や制度と切り離された自由な対話の場であり、めいめいが新しい思考回路や感覚をみつける機会と理解すればよいだろうか。これまでに、在校生や卒業生を巻き込んだ新聞発行、非公開の研究会型対話の場などが実践されている。かつてのんきな学生であった筆者も、卒業生のひとりとして、移転までの約10年間、このプロジェクトに大きな希望を持ち続けたいと思っている。

ところで、12月初旬には、大阪市住之江区北加賀屋の名村造船所跡地において、筆者も立ち上げメンバーのひとりであったプロジェクト「NAMURA ART MEETING '04-'34」vol.5に出向き、継続メンバーと対話した。ほぼ廃墟であった造船所跡地に見えない海図を広げ、10年前、私たちも<未来を創造する>と共感しあったのだった。その後、出来事の数々が層となって、海図は立体化しつつある。プロジェクト終了期限の2034年まで、こちらは20年。個人的に、再びプロジェクトメンバーとして動きたいと思っている。
京都と大阪の芸術プロジェクトに共通する海、船、海図、漂流、漂着。今、とてもリアルだ。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

漂流するアクアカフェ 第1回

漂流するアクアカフェ 第1回 森林食堂

漂流するアクアカフェ 第2回

漂流するアクアカフェ 第2回 京都市立芸術大学

漂流するアクアカフェ 第3回

漂流するアクアカフェ 第3回 徳正寺

漂流するアクアしんぶん 1号・2号

漂流するアクアしんぶん 1号・2号


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