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EVENT REPORT

イベント・レポート

イベント「RED ROOM #4」文:松尾 惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

2019 01 09

会場は、横浜市中区にあるクリエイティブ拠点:YCC ヨコハマ創造都市センター(以下、YCC)。横浜市が推進する「創造都市」の中心的な施設であり、幅広い世代を横断する種々のクリエイションの拠点である。建物は、1929年建造の第一銀行横浜支店の一部が残存改修された横浜市認定歴史建造物だ。三叉路の突端に、町の推移を眺めてきたような堂々とした立ち姿、列柱で支えられた半円形の荘厳なバルコニーが特徴的である。建物内の細部や天井の装飾も美しい。横浜の町には、他にも数々の明治期以降の美しい石やレンガ造りの建物が活用されている。

RED ROOMは、昨年より数ヶ月ごとにYCCの内と外を赤い光に染め、非日常的な時間をつくりだすラウンジ・イベントである。今回は、その4回目。ライティングを主体とするアートワークは、京都拠点の高橋匡太と川口怜子による。真っ赤な光のミステリアスな空間で、ドラグクイーン、コンテンポラリーダンサー、DJのパフォーマンスが繰り広げられる。初回から、横浜の歴史や大衆文化を引用しながら、回ごとに幻想的な物語の章を進めていくというスタイルである。海風が吹く夕方、暮れゆく屋外に向かって、バルコニーでのパフォーマンスからイベントがスタートする。建物前の広場には、YCCによって韓国のアーティスト:チェ・ジョンファの大型作品が設置されている。その直径8mの蓮の花の作品や突然始まるパフォーマンスに、行き交う人々が立ち止まる。バーでもナイトクラブでもないこの不思議な社交場は、徐々に観客を増やしてきた。横浜の住人、アーティストなど、次回を楽しみに待つリピーターも増えている。

舞台装置やその他空間構成する道具立てはYCCによるが、高橋氏と川口氏他、パフォーマーも京都拠点のため、時間を司るクリエイションは主に京都で行ってきた。筆者も部分的に関わり、#1から#4までを鑑賞してきた。それぞれ間尺の異なる京都と横浜の時間が重なり合うことで、予想を超えたひとつの<作品>になるところが面白い。距離を隔てたクリエイションは、思考の隙間を作るようで、それぞれが断片を継いでいくように、また次回の発想につながる気がしている。

YCCでは、今回、1人のアーティストにスポットを当てるプログラムYCC Temporaryとして、REd ROOm #4直前にダムタイプの過去作品の映像上映を行った。人間関係がダムタイプとも重なるRED ROOMも、リーダーを置かなかったダムタイプが、やはり思考のすれ違いや各々の身体能力の違いなどの、ある意味、欠如の非効率性を特徴としていたことを継いでいるように思う。それが、おそらく、歴史や都市の規模や、芸術家や芸術活動の密度の高い、京都という特異な芸術環境によるものではないかと思うのである。

また、時期を同じくして、東京の森美術館において、MAMリサーチ006として「クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」(2019年1月20日迄)が開催されている。1990年代半ばの京都のアートの生態系を探る内容であり、当時渦中にいた筆者は、ビデオ映像の中で当時を振り返って語っている。あらゆる中心である東京から見た京都が、いつも台風の渦のように強風や巻き返しの風を起こしているのかと、あらためて冷静に過去を知り、これからの表現を見ていかなければと思う。

撮影:村上美都
撮影:村上美都
撮影:村上美都
撮影:村上美都
撮影:村上美都
撮影:村上美都
撮影:出口雨
撮影:出口雨
撮影:加藤甫
撮影:加藤甫
撮影:加藤甫
撮影:加藤甫
撮影:加藤甫
撮影:加藤甫
開催日時 2018年9月21日(金)・22日(土) 各日19〜23時
会場 YCC ヨコハマ創造都市センター
〒231-8315 横浜市中区本町6-50-1 
TEL : 045-307-5305
http://yokohamacc.org
公式ページ RED ROOM#1〜#4の製作・出演者等の詳細は、以下を参照してください。
https://yokohamacc.org/redroom/
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