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EVENT REPORT

イベント・レポート

イベント 「ひかりの広場」文:松尾 惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

2019 01 09

2017年12月に重要文化財である旧三井家下鴨別邸を会場に展覧会「ひかりの現代美」を企画・運営した<芸術計画 超京都>では、活動を新たな段階へと進めている。京都という特徴的な文化・芸術空間において伝統文化と現代芸術の関わりを深めたいと考えてきたが、京都をさらに理解するには、芸術が、歴史や現代に持ち越してきた社会の諸課題ともあるべきだと考えたのである。京都では、現代美術をはじめ、現代芸術の普及や定着が困難と思われているが、逆に、街のすみずみに潜在する諸課題と対峙できるのは、現代芸術だけである。ソーシャリー・エンゲージド・アートという考え方だ。ソーシャリー・エンゲージド・アートは、<現実社会に積極的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて、何らかの社会変革(ソーシャル・チェンジ)をもたらそうとするアーティストの活動の総称>(NPO法人アート&ソサイエティ研究センターHPより)。<芸術計画 超京都>は、自由な活動形態をつうじて、現代芸術の普及や芸術家・支援者・協力者など人材の発掘に関する情報収集や意見交換を重ねてきた。潜在的な<人>の感性や能力をつなぐ活動と言っても良いのかもしれない。そもそも現代芸術活動が同時代の人々との共同であると捉えれば、芸術の専門家以外との関わりは、観客や協力者としてのみならず、150年余りの間に沈滞しつつある芸術そのものを揺さぶる存在としても重要である。

目標のひとつにそういった<人>とのつながりも挙げながら、2016年春より京都市に対して、まちづくりやソーシャリー・エンゲージド・アートとしての活動参加を提案してきた。そして2018年、ようやく、市が公募した「京都駅東南部エリア活性化方針の推進 ~文化芸術と若者を基軸とした新たなまちづくり推進事業~に係る業務」を受託することになった。京都駅東南部エリアとは、京都芸大の移転する地域とほぼ隣接しているが、広大な空き地がいくつかあるJR東海道線・奈良線より南側の地域である。

6月以降、地域との協議、ワークショップ開催、ニュースレター発行などを経て、11月にイベントを開催した。準備から開催までの内容は以下のとおり。

  1. 「ひかりのクローバー」。4000㎡の空き地の地表に、準備・ワークショップをつうじて、地域・芸術系大学生・一般参加の小学生や親子など計約270人が白砂を用いて、約500の「クローバー模様を描いた。日没後、LEDによって、虹色やクローバーの緑色をライティング。2017年に重要文化財を伝統色で照射した高橋匡太氏によるアートワーク。
  2. 「世界でひとつの宝物づくり」。いずれ住宅や何らかの施設が建てば消失する空き地の記憶を込め、空き地の土10%を混合した陶土を用いて、器やオブジェを作成。
  3. 「野点とおやつ屋台」。土地の土による器を用い、お茶提供。オブジェを空き地で野焼き。
  4. 「アートとあったか屋台」。芸術家のグッズ販売や、地域の食べ物販売など。

本事業をつうじて、地域や、地域内に開館する民間の劇場<Theater E9>のメンバーとの親交が始まっている。もとより、筆者は<芸術計画 超京都>の代表であって、2010年より当財団をはじめ多大な支援をいただきながら、芸術文化の貴重な空間、人、機会との関わりを得た。本事業「ひかりの広場」は、100年単位の壮大なプロジェクトの始まりのそのまたきっかけでしかないが、本稿として最初の一歩を記録できることは幸運だ。関係者の世代が交代する将来に向けて、今後も活動の記録をしていければと思っている。

ひかりの広場
ひかりの広場
ひかりの広場
ひかりの広場

ドローン空撮動画

ドローン空撮写真
ドローン空撮写真
開催日 2018年11月23日(金)・24日(土)各日10〜20時
会場 京都市南区東九条 北河原市営住宅跡地
主催 京都市
企画 芸術計画 超京都
運営チーム 北原和規・藤井良平・山本アキヒサ・野田菜奈美・前田英一
協力 新見化学工業株式会社、株式会社ハートス、滋賀県立陶芸の森/世界にひとつの宝物づくり実行委員会つちっこプログラム、2018東九条音楽祭
連携 京都駅ビル開発株式会社
WEBサイト イベント 「ひかりの広場」 公式WEBサイト
http://www.chokyoto.com/hikarinohiroba/
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