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EVENT REPORT

イベント・レポート

2014年度春季特別展 鄭周河(チョン・ジュハ)写真展
「奪われた野にも春は来るか」

2014 05 30
会 期: 2014年5月3日(土)~7月19日(土)
開館時間: 午前9時30分~午後4時30分(入館は4時まで)
休館日: 月曜日
参観料: 大人400円、中高生300円、小学生200円
※20名以上の団体50円引
会 場: 立命館大学国際平和ミュージアム1階・中野記念ホール
〒603-8577京都市北区等寺院北町56-1
電話075-465-8151
http://www.ritsumei.jp/
主 催: 立命館大学国際平和ミュージアム
共 催: 鄭周河写真展実行委員会
後 援: 京都市、京都府、京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都市内博物館施設連絡協議会、KBS京都、朝日新聞社、京都新聞、毎日新聞、読売新聞社
協 力: 立命館大学コリア研究センター
展覧会のチラシ: http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/documents/2014syunki.pdf

韓国の写真作家:鄭周河(チョン・ジュハ)は、2011年11月、原発事故後の福島被災地を撮影し、「奪われた野にも春は来るか」と題する写真集を発表した。 本展は、その中からの20点による巡回展。地震の驚異的なエネルギーに歪められた風景、建物に染み付いた津波の黒い痕、荒れた農地を飛び交うカラスたち。黙したそれらの情景から、砂地を踏む写真家の足音や荒れ地を吹き渡る風の音が聴こえてくる。

「奪われた野にも春は来るか」は、1920年代の抵抗詩人と呼ばれた朝鮮の詩人:李相和(イ・サンファ)の詩の1節である。日本に国土を奪われた朝鮮の人々の絶望や悲惨の中にも「春」が巡りくる。一筋の希望を表している詩なのではないかと知った。鄭周河氏は、「(原発事故は)海の過ちではない」と言う。「朝鮮語の<春>には、<みる>という意味がある」という言葉もあった。かつて日本の国策によって東アジア諸国から奪われたものは何か。とどまることない人々の欲望は、当たり前の暮らしと尊厳を奪う。鄭周河氏が<みる>福島は寡黙だ。しかし、そこから人々の存在や歴史が雄弁に滲み出てきて、観る者の想いをただ風景の前に留まらせておくことはけっして無い。

鄭周河氏は、日本の事故以前から韓国の原発にも関心を寄せてきた。農を「この世」と「あの世」を繋ぐものとしてとらえたシリーズもあると聞く。本展は、<境界を超えた対話と平和のための思索の契機>を願った写真展であるだけでなく、資本主義社会の芸術家であるにもかかわらず、自身が<みる>ものを手段にせず、目的にせず、動機にせず、免罪にせず、素材にしない、何ものも搾取しない鄭周河という写真家の存在を知る貴重な機会だと思った。真の共有や共感を知る人の行いに感動した。鄭周河氏を招いてのトーク(会期初日・終了)のほか、トークセッション(6月7日)がある。これまでの活動や作品、本写真展の内容をより理解する機会となるだろう。チラシやパンフレットに寄せられた写真家や作家:徐京植氏の文章も貴重な道標である。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

© 정주하 鄭周河 2012

© 정주하 鄭周河 2012

© 정주하 鄭周河 2012

© 정주하 鄭周河 2012

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

鄭周河氏を招いてのトーク

鄭周河氏を招いてのトーク


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