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EVENT REPORT

イベント・レポート

コレクション名品展Ⅰ 朝鮮のやきものと木工芸−日本の「民芸」との関わり−

2013 05 08
会 期: 2013年4月6日(土)~6月2日(日)
会 場: 高麗美術館
http://www.koryomuseum.or.jp/
〒603-8108 京都市北区紫竹上岸町15番地
TEL 075-491-1192  FAX 075-495-3718
休館日: 月曜日
時 間: 10:00-17:00(入館受付16:30まで)
観覧料: 一般¥500、大高生¥400、中学生以下無料

本展には、朝鮮時代のやきもの(陶磁)と木工家具を中心に、高麗美術館所蔵品約80点が展示されている。営々と流れてきた時を感じながら、民藝(注:本展では「民芸」と表記される)の源流と静かに向き合うことができる。
大正から昭和にかけ、柳宗悦や河井寛次郎、濱田庄司らは、朝鮮の民衆の生活に、長い年月を経て熟練の技に裏打ちされた陶磁や木工を見いだした。それが「用の美」という言葉となり、民藝の精力的な普及活動へと発展する。本展では、あらためて、芹沢銈介や河井寛次郎などによる意匠や紋様が、朝鮮の人々の暮らしへの慈しみから生まれてきたと確信する。

東北の大震災以降、私たちは、長い時をかけてつくられた暮らしを、いっそう大切なものと考えるようになった。現在、若い人々の中には、東北の産業、民衆芸能などの再生・再開活動があり、彼らの多くが、民藝運動を拠りどころにしている。たしかに、今の動きにも民藝運動の要素を垣間みるが、反対に、それらをつうじて、民藝運動というものが、民藝のつくり手・各地の無名の職工の精神が、当時の成熟した知識人たちの振る舞いをかるがると越えていく過程であったのだろうと気づくのである。ともすれば拡散したであろう民藝の繋留点は、たとえば、無銘で多くを語らない朝鮮のやきものや木工の佇まいであろう。本展の展示品ひとつひとつには、遠い昔の町の喧噪や物音、匂いまでが立ちのぼり、人々がそばにいる気配すら感じるのである。無銘であるからこそ、やきものや木工に、永遠の時が宿ったのだと感じ入る。

筆者は、現代美術の仕事に疲れると、高麗美術館の庭に立つ石像を思い浮かべる。そのおだやかな微笑は、創作者の自己や現代的価値基準から遠く心を遊ばせてくれるのである。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

白磁鉄絵草花文水滴(18世紀)

白磁鉄絵草花文水滴(18世紀)

粉青鉄絵草文高脚杯(16世紀)

粉青鉄絵草文高脚杯(16世紀)

木雁

木雁


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