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EVENT REPORT

イベント・レポート

第4回京都学生アートオークション文:松尾 惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

2020 03 01

芸術家を志す学生にとって、自身で応募し、審査を通過した作品がオークションに参加できるという、他にはない仕組み。京都市や多くの企業協賛により、学生は参加無料であり、落札された際の金額をすべて受け取ることができる。

2017年の初回、予想以上の高額落札という情報は、瞬く間に広がった。その成果の上に仕組みが継続していることは喜ばしい。年々、作家志望者が減る昨今、どのような積極的な学生がいるのかと、第4回である今回、初めてオークションを見学した。

個人コレクター向きの小ぶりの作品26点が並んでいた。作品の傍に立つ作者たちは22名。自作の順番がくると、制作意図などについてコメントを述べる。パドル(札)を持った客は、約30人。オークションスタート価格は10,000円で、ほぼ5,000円刻みに上昇する。結果的に全作品が落札された。経験の浅い学生にとって、目の前の愛好家や支援者の反応はさぞかし気がかりであっただろう。もちろん、落札金額には大いに期待して臨んだことと思う。が、今回の最高落札額は55,000円、最低は10,000円(7点)。中には、額代にも満たないであろう金額で落札された作品もあったが、作品講評会と異なる価値付けを経験すること、未知の大人達に作品を凝視される経験は、ひとりひとりにとって良い刺激であっただろう。一方で、芸術家として自立したり活躍するには、自身の努力の他にも必要なものが膨大にある、とおののいたかもしれない。リーフレットに記載された<若きアーティストたちの作品を正当に評価し、その高いクオリティを広く発信する取組>という市長の言葉、<(美術大学の学生達が)アーティストとしての将来の活動に希望を持てる環境を創り出すことを目的として開催>という主催者の言葉は、個々にどう理解されただろうか。正当な評価、をどのように受け止めたか、作者たちの胸中を思うとなかなか複雑ではある。

学生作品は、卒業制作展を通じて愛好家やギャラリストや美術館関係者などの間に広まる。購入される作品もあるし、展覧会やプロジェクトへのオファーも盛んである。全国の卒業作品を選抜する展覧会も、東京では恒例行事である。最近では、学生や若手などを対象に、<アーティストが世界のマーケットを見据え、次の次元へと活躍の場を拡大するアートの特異点を目指します。>と謳うアーティストフェア(主催:京都府、ARTISTS’FAIR KYOTO実行委員会、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会)も定着しつつある。

自身という資源と、資金と、支援者は、芸術家として自立するのに不可欠である。それに加えて、大きく飛躍する若手は、実は、自由な一肢を持っていると思う。岩登りの基本姿勢は、四肢のうち三肢で体を支える<三点支持>である。芸術家には、誰の予想をも超える手がかりや足場を獲得する特別な一肢を持つ人がいる。自由な一肢は、お膳立てを大きく外れ、芸術家自身の内なる大変革である場合が多い。その一肢がいかなるものであるか、筆者にはまだ見えない。伸ばした一肢が、すでに芸術の現状を変えてしまっているからである。

※2020年のARTISTS’ FAIR開催は中止。

プレビュー会場 入口
プレビュー会場 入口
ギャラリートーク
ギャラリートーク
オークション風景
オークション風景
オークション会場 作品と説明する作者たち
オークション会場 作品と説明する作者たち

第4回京都学生アートオークション

プレビュー展示会期 2019年11月16日(土)〜23日(土)10〜20時
オープニングイベント&ギャラリートーク日時 2019年11月16日(土)18〜19時30分
オークション日時 2019年11月24日(日)14〜16時
会場 京都芸術センター(展示・イベント=ギャラリー南、オークション=講堂)
主催 京都学生アートオークション実行委員会、京都市
共催 京都芸術センター
協力 文化庁地域文化創生本部
協賛 NTT都市開発株式会社、佐川印刷株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、株式会社高島屋、株式会社ユーシン精機、ロフティ21、京都信用金庫
企画運営 株式会社AGホールディングズ
運営協力 株式会社ディレクターズ・ユニブ
公式サイト
コンセプトページ
https://k-s-a-a.com/concept/
画像 主催者提供
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