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EVENT REPORT

イベント・レポート

開校140周年記念企画展「京都府画学校への道」文:松尾 惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

2020 03 09

明治13年(1880年)に創立された京都府画学校は、日本初の公立美術学校。1989年に京都市の経営に移った後、現在にいたる、京都市立芸術大学の礎だ。
本展では、創立や開校当初の指導に関わった画家たちの作品や絵手本、その他の資料74点を観ることができた。近年になり明治初め創立の番組小学校が数々閉校した後、各校にゆかりのあった芸術家たちの寄贈作品などが、この博物館の管理となった。ここでは、それらが手に取るように間近で鑑賞できる機会がある。本展展示の軸の多くにも、近づいて、筆の勢いや絵の具のぼかしなど、存分に観ることができた。当時の新進作家の成熟度に驚く。その他、画学校創立当初にすでにあった西洋画科(西宗)の指導にあたった田村宗立の鉛筆・淡彩画「琵琶湖疏水工事図巻」を興味深く見た。

そして、ひときわの存在感は、画学校設立建議書である。当時34歳の幸野楳嶺ほか久保田米僊らの新進画家たちが、京都府宛に、明治維新以降の京都の再起や美術復興のために画(絵)の必要を説いて、公立の美術学校を強く求めた文章なのだ。画はすべての産業に通じるという意味の内容だったが、昨今の行政の文化事業が謳う「アート市場の確立」に比べて、はるかに志が高く、未来への責任感に満ちていた。京都市立芸術大学は筆者の母校でもあるが、遊んでばかりだった筆者は、幸野楳嶺の胸像の下を毎日通りながら、その志を想像することなく4年間を過ごした。本展と別の資料で知った逸話に、幸野楳嶺は、有名な観相家から「一流の画家になる才能ではないが、一流の画家を育てるだろう」と言われ、教育者を目指したとあった。その教育が受け継がれた環境で、無知なりにも過ごせた4年間は幸運だったと思う。

現在、某私立芸術系大学が、京都市立芸術大学に酷似する校名への変更を希望されている。世間では「紛らわしい」と反感が起こっているが、本展の建議書と向かい合った筆者は、校名変更への欲望に欠けているのは、140年前の若い芸術家たちへの敬意ではないかと思った。若手を支え、2年後には画学校が実現した当時、政治、経済も、芸術を頼りにひとつになったのだ。今もまた、そのような信頼関係が必要なときではないのだろうか。

終了した回もふくめ、会期中の関連講演会の日程は以下のとおり。開催時間は、いずれも14時〜15時半。聴講無料。
なお、3月8日(日)に予定されていた京都市立芸術大学で学んだ現代の日本画グループ<景聴園>によるトークショーは、新型コロナウィルスの万が一の影響を避け、中止となった。
景聴園は、上坂秀明、合田徹郎、服部しほり、松平莉奈、三橋卓、乃村拓郎、古田理子による。本展の3階会場に出展している。

http://www.keichoen.info

いずれも事前申し込みが必要。

http://kyo-gakurehaku.jp/exhibition/H31/020201/index.html

2月16日(日)「京都府画学校の歴史」
講師:松尾芳樹(京都市立芸術大学芸術資料館学芸員)
2月29日(土)「画家たちが目指した京都府画学校」
講師:森光彦(京都市学校歴史博物館学芸員)
3月22日(日)「画家はどのように絵を学んできたか - 近世から近代へ - 」
講師:田島達也(京都市立芸術大学)
4月4日(土)「京都府画学校設立の立役者 幸野楳嶺」
講師:多田羅多起子(京都造形芸術大学非常勤講師)
会場風景
会場風景
画学校建議書(楳嶺・玉泉)
「画学校建議書(楳嶺・玉泉)」 京都市立芸術大学芸術資料館蔵
幸野楳嶺 龍馬負河図図
(左)幸野楳嶺「龍馬負河図図」 明治13年 京都市立芸術大学芸術資料館蔵
(右)西川桃嶺「花籠図」 明治~大正期
池田雲樵 画学校絵手本
池田雲樵「画学校絵手本」 京都市立芸術大学芸術資料館蔵

開校140周年記念企画展「京都府画学校への道」

会期 2020年2月1日(土) ~ 4月7日(火)
午前9時~午後5時(入館は閉館時間の30分前まで)
水曜日休館
会場 京都市学校歴史博物館
第1会場:1階 第2展示室 , 第2会場:3階 第3展示室
〒600-8044  京都府京都市下京区御幸町通仏光寺下る橘町437‎
TEL 075-344-1305 / FAX 075-344-1327
http://kyo-gakurehaku.jp/
入場料 常設展示と企画展示
大人300円 小・中・高生100円
※20人以上の団体は,大人240円 小・中・高生80円)
※市内の小・中学生は土・日曜日入館無料
※その他の割引
http://kyo-gakurehaku.jp/guide/index.html#waribiki
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