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EVENT REPORT

イベント・レポート

パンデミック下の美術館にて文・撮影:松尾 惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

2020 05 12

いつもの春であったなら、3月末に京都市美術館リニューアルオープン=京都市京セラ美術館オープンと、その新たな空間での第一歩となった「KYOTO STEAMSTEAM THINKING -未来を創るアート京都からの挑戦 国際アートコンペティション スタートアップ展」が開催され、京都の新しい波とともに4月があける信じていた。が、その頃すでに集客施設の休館、イベントの延期・中止が始まり、京都市京セラ美術館の休館は5月31日まで延期された。次々に届いた全国の休館・催し延期・中止等の通知は、もちろん一切届かない。同じ空間に集い、鑑賞の共有や対話ということが、過去の特殊な文化であるかのようだ。かろうじて参加できた3月20日、事業関係者・協賛社等内覧会の印象を記しておく。

脆弱な人類を宿主にしたウイルスは、この先、どう復元される社会を予言しているのだろうか。芸術に携わる人々は、芸術をどう機能させるべきかを考えあぐねている。現在、インターネットやSNS上で展開される種々の表現、世界の美術館・博物館の対応、有名作家の行動にヒントはたくさんあるだろう。

複雑で過酷な現況において、芸術に「総意」のあるはずもないが、多くの美術館がホームページのトップで「閉館・休館」を知らせるにとどまる中で、唯一の署名記事であろう国立国際美術館(大阪)「館長からのメッセージ 美術館ができること」は、心強い。

http://www.nmao.go.jp/guide/message.html

国内では、他に学芸員の解説付によるオンライン展覧会を発信する美術館があり、緊急事態宣言が、美術館・博物館・公演などから段階的に制限を緩和されるもようだ。

京都市京セラ美術館については、今も毎夜鑑賞可能な高橋匡太による建物のライティング作品は<希望>である。2階の美しく改修された展示室に大勢が詰めかけ鑑賞したはずの初回KYOTO STEAMは幻のようではあるが、次回への動きはすでに開始されているだろう。来年は、この春を振り返り、多くの人に揉まれ談笑しながら内覧会を迎えることだろう。KYOTO STEAM会場にいた作家たちとの語らいも、次への期待をつなげてくれた。いっぽう、静謐な空間となった1階のコレクションルームにおいて近代日本美術の名作に出会えたことは幸運だった。美術品に触れることが叶わない今、芸術という営為、逡巡したり喜びに溢れる人の手の跡がどれほど心強いものだったかと思い返している。それらは、いま浅い眠りについているが、私たちを待っていてくれる。喜びを少し先送りにするだけのことだと思いたい。

※休業要請の段階的緩和により、5月26日の開館が決定した(5月16日発表)。完全予約制で、22日からホームページと電話で受け付けるとのこと。

中央ホール
「中央ホール」
かつての大陳列室。2015年京都国際現代芸術祭PARASOPHIAでは蔡國強の巨大インスタレーションの会場となった。1991年にダムタイプがパフォーマンス"pH"を上演したことはあまり知られていない。当時、高所作業専門職の人々が天窓を遮光し、完全暗転が実現した。(運営主管:京都市「芸術祭典・京」演劇部門、プロデューサー:遠藤寿美子)
光の広間 天の中庭
「光の広間 天の中庭」
空調機器の室外機等が積まれ使用されていなかったかつての中庭。建物外部西にあった清水九兵衛作品が移築されている。
2階展示室
2階展示室
「STEAM THINKING -未来を創るアート京都からの挑戦 国際アートコンペティション スタートアップ展」久保 ガエタン(美術家) × 株式会社コトブキ/株式会社タウンアート

KYOTO STEAM-世界文化交流祭-2020
STEAM THINKING -未来を創るアート京都からの挑戦
国際アートコンペティション スタートアップ展 事業関係者・協賛社等内覧会

日時 3月20日(金)
会場 京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
URL https://kyoto-steam.com/program/event01/
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