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EVENT REPORT

イベント・レポート

信楽ACT 2012特別公演「MuDA DORO」

2012 05 23
開催日: 2012年4月14日(土) 17:30~
会 場: 滋賀県甲賀市信楽町長野新宮神社内
主 催: 信楽座(信楽ACT 2012) http://shigarakiza.com/act2012/index.html
支 援: 京都芸術センター(制作支援事業)
制 作: MuDA http://www.muda-japan.com/

都会から少し遅れて桜の季節となった信楽の町で、4回目となる信楽ACTが開催された。窯元工房の散策をメインに、町並みを活用した作品展示やライブパフォーマンスやワークショップが開かれた。

2月の京都公演以来、私の周囲でじわじわと評判を上げつつある京都のアーティスト集団MuDAのパフォーマンスをターゲットに、電車を乗り継いで信楽へ向かった。淡白でゆるやかなコミュニケーションのみのような今、股間を小さい白布で覆っただけの男たちが身体をぶつけあう舞台。それがどれほどのリアリティーをもって迫ってくるのか、唯一の興味であった。

会場は、窯元散策路のスタート地点にある新宮神社である。神楽殿からつながった特設の円形舞台に、信楽の陶土が敷きつめられている。アフリカの蟻塚のように成形された陶土の塊が、そのうえに点在している。鎮守の杜の杉木立の間に日没間近の空がのぞいている。小さい炎のようなパフォーマーがふたり、準備のような演技のような、舞台のまわりの砂利の上でゆっくりと何かしている。

じゅうぶんに待った観客の間に妙な連帯がうまれた頃、神楽殿奥から静かに現れた白服の女が神楽殿の周縁を歩きはじめ、客席の後ろから走り出て来た白服の男が口上を述べると、パフォーマンスはいよいよ始まった。
女は巫女のような存在であり、そのゆっくりとした動作によって観客は知らず知らず異界につながれてゆく。巫女が観客を異界へ手渡す頃、裸の男たちが現れる。

噂どおり、男たちは激しく動く。筋肉の屈伸はどんどん速度を増す。蟻塚のような陶土の塊と格闘する。激しく跳んで着地する陶土の舞台は、でこぼこである。ぬるぬるとからだを包み込むような柔らかさでもない。健康な男たちの身体が陶土をこねるかのようでいて、逆に、陶土が彼らをこねまわしているように見える。そして、劇場という閉じた空間なら、これだけの激しい彼らの汗や鼓動や息づかいが観客に伝わるのだろうが、鎮守の杜はそれらをいとも容易く吸収してしまい、彼らの身体の極限は、不思議と遠くに見える。

舞台上に具象的な筋書きは何もなく、また、男たちの身体がかたまったりほどけたりする様子も、私たちが日々いつくしむ身体とは別の、いわばとても抽象的な存在に見えてくるのである。すべらかな筋肉や柔軟で頑強な骨格も、誰か具体的な存在の所有というよりは、肉・骨という概念として迫ってくるのである。なぜか笑いがこみあげてくる。それは、思考する脳が笑うというよりも、目の前のいろいろな無茶?挑戦?をしつづける身体に向かって、とても原始的な身体が笑い返すのである。これが期待したリアリティーというなら、過去に比べようのないリアリティーである。あるいは、太古に置いてきた身体の正直な記憶かもしれないとさえ思う。もしかすると、どこか奥地の少数民族の祝いや弔いなどの踊と同じかもしれない。こういう往還がつづけば人は異界と交信し、現実の身体の生臭さから解放されるのかもしれない。身体は、やがて抽象的、記号的に現実世界に繋留されるだけである。

気がつくと闇に包まれていており、杉木立の間に金星が輝いていた。神楽殿の奥のスクリーンを跳ね上げて、赤い髪の鬼女のような存在が現れる。ロマンティックな歌を歌い、円形舞台へ降りて来ると、土の上に転がる男たちを助け上げる。が、結局はなぎ倒し、踏み越え、ひとしきり存在をぎらつかせて、消えていく。

8人の男たちの身体は、具象的な世界観と抽象的な世界観をつなげるメディアだった。巫女と鬼女は明らかにメディウム(霊媒)である。舞台をふくむ空間構成は、美術家の井上信太による。異なる文化やジャンルを横断的に活動してきた井上氏にとっての美術もまた、身体や精神の繋留先を求める仕事であるかもしれない。舞台に敷きつめられた終演後の陶土は、それぞれが係留した何かの痕跡のようであった。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

MuDA DORO製作クレジット

ダンス:
QUICK、合田有紀、辻本佳、松本成弘、渡邉尚、内田和成、
村上渉、竹本泰弘、野村香子、秋山はるか、荒木泰代

ドラァグクイーン:FRANSOIR AL DENTE

音 楽: 山中透、石川智久、水上和真

空間構成: 井上信太

美 術: 出川晋

映 像: 竹内祥訓

衣 装: 南野詩恵

照 明: 古谷晃一郎

MuDA大阪公演『MuDA 菌』

会 期:
2012年7月6日(金) ~ 8日 (日)
6日(金) 19:00  7日(土) 14:00 / 19:00  8日(日) 14:00
※開場は開演の30分前

会 場:
大阪市立芸術創造館  〒535-0003 大阪市旭区中宮 1-11-14

料 金:
【一般】  前売 2,300円/当日 2,800円
【学生、ユース(25歳以下)】  前売 2,000円/当日 2,500円
※学生またはユースの方は必ず証明書をご提示下さいませ。

チケット取扱・お問い合わせ:
■ MuDA
Mail:muda.japan@gmail.com
Tel:090-1177-9715 (制作 秋山)
※ご予約の際は、氏名、日時、枚数、ご連絡先をお伝え下さい。
こちらからの返信をもってご予約完了とさせて頂きます。
■ 大阪市立芸術創造館 06-6955-1066 (10:00~22:00)

詳細はこちら:
■ MuDA http://www.muda-japan.com/
■ 大阪市立芸術創造館 http://www.artcomplex.net/art-space/

photo Tsujimurakoji

photo Tsujimura koji

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photo Midori

photo Midori

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